


1999.02.22 |
LP(英)
Idea/Cooking Vinyl COOK 172*1 |
1999.02.17 |
CD(日)
ポニーキャニオン PCCY-01341 |
1999.02.22 |
CD(英)
Idea/Cooking Vinyl COOKCD 172 |
1999.02.23 |
CD(米)
TVT TVT 3250-2 |


LP |
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A-1 |
River
Of Orchids |
Partridge |
A-2 |
I'd
Like That |
Partridge |
A-3 |
Easter
Theatre |
Partridge |
A-4 |
Knights
In Shining Karma |
Partridge |
A-5 |
Frivolous
Tonight |
Moulding |
B-1 |
Greenman |
Partridge |
B-2 |
Your
Dictionary |
Partridge |
B-3 |
Fruit
Nut |
Moulding |
B-4 |
I
Can't Own Her |
Partridge |
B-5 |
Harvest
Festival |
Partridge |
B-6
|
The
Last Balloon |
Partridge |
CD |
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01 |
River
Of Orchids |
Partridge |
02 |
I'd
Like That |
Partridge |
03 |
Easter
Theatre |
Partridge |
04 |
Knights
In Shining Karma |
Partridge |
05 |
Frivolous
Tonight |
Moulding |
06 |
Greenman |
Partridge |
07 |
Your
Dictionary |
Partridge |
08 |
Fruit
Nut |
Moulding |
09 |
I
Can't Own Her |
Partridge |
10 |
Harvest
Festival |
Partridge |
11
|
The
Last Balloon |
Partridge |

Personel: |
Andy
Partridge(g,vo)
Colin Moulding(b,vo)
|
Guest: |
Dave
Gregory(g,kb)
Prairie Prince(ds)
Guy Barker(tr, flugelhorn(B6))
Steve Sidwell(tr) (A3)
Mike Batt(orchestra arr.) (B1,4)
Gavin Wright(The London Session Orchestra leader)
|
Producer: |
Haydn
Bendall & Nick Davis |
Engineer: |
Haydn
Bendall & Nick Davis |
Recording
Studio: |
Chipping
Norton (Oxfordshire), Abbey Road Studio(for Orchestra) |

*1 XTCとしては初めての二つ折りジャケットLP。これまでにはThe
Dukes of StratosphearのPsonic Psunspotだけだった。 |

1999.02.22 |
LP(英)
Idea/Cooking Vinyl COOK 172 |
1999.02.17 |
CD(日)
ポニーキャニオン PCCY-01341*2 |
1999.02.22 |
CD(英)
Idea/Cooking Vinyl COOKCD 172 |
1999.02.23 |
CD(米)
TVT TVT 3250-2 |
CD |
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1-1 |
River
Of Orchids |
Partridge |
1-2 |
I'd
Like That |
Partridge |
1-3 |
Easter
Theatre |
Partridge |
1-4 |
Knights
In Shining Karma |
Partridge |
1-5 |
Frivolous
Tonight |
Moulding |
1-6 |
Greenman |
Partridge |
1-7 |
Your
Dictionary |
Partridge |
1-8 |
Fruit
Nut |
Moulding |
1-9 |
I
Can't Own Her |
Partridge |
110 |
Harvest
Festival |
Partridge |
111
|
The
Last Balloon |
Partridge |
2-1
|
How
Easter Theatre Came To Be |
Partridge |
2-2
|
How
Frivolous Tonight Came To Be |
Moulding |
2-3 |
How
I'd Like That Came To Be |
Partridge |
*2 Disk2 は初回版のみの特典
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数年に及ぶストライキの結果、遂に Virgin レーベルを離れて自己の独立レーベルを設立し、その間に某バンドのメンバーとプライベート・スタジオの使用の件で揉めたり、録音の途中でまたまたプロデューサーが替わったり、そして演奏及びアレンジにおける自分の活躍の場がなくなったことを感じた
Dave Gregory の脱退により一枚岩と思われた体制がついに崩れるなど、数多くの辛苦を経て完成した7年ぶりの最新アルバムです。
当初は2枚組として発表する予定だったようですが、資金難から1枚分の録音しか出来ないため、作品を「アコースティック/オーケストラ編」と「エレクトリック編」に分け、先にまとめて録音された前者分がこの
Vol.1 に相当します。後者からなる Vol.2 も年内に発表する予定でしたが、「2000年直前のどさくさ紛れに出される作品共と一緒にされたくない」という理由で翌年に延期されました。
前作以降ほとんど音沙汰がなかった為、正直言って7年ぶりというのは心配でした。ますます時代から取り残されて内に籠ってしまうのではないかと思いましたし、また発売直前のレビューには「親父臭い」だの「地味だ」だのネガティブなことも書かれていたので。
ところが買ったばかりの CD の最初の数分を聞いただけで、すっかりホッとしました。別に変わった訳でも衰えた訳でもなかった。いつもの挑戦的な XTC がそこに居ました。今回も彼らは裏切らなかった。それだけですっかり満足してしまいました。しかも、バンドサウンドは完全に蔭を潜めているにもかかわらず、そのことが全くマイナスにもなっていないことにも感服しました。
最初の複雑なオーケストレイションから始まる「River of Orchids」からして衝撃的でした。Peguine Cafe Orchestra を彷彿させるミニマルなチェンバー・ミュージックとアラブ的音楽を統合した独特の世界。「レコード・コレクターズ」1999年
5月号でのインタビューで、Andy はカッワーリー(パキスタンの宗教音楽。故 Nusrat Fateh Ali Khan が有名)をよく聞いていたと書かれていたのが思い出されます。
その次が「Love on a Farmboy's Wage」以来の XTC 流フォーク・ロックと言える「I'd Like That」、これまで以上にオーケストラの大胆な導入が効果的な「Easter
Theater」、XTC 流ワールド・ミュージックの集大成感のある「Greenman」、結婚生活の崩壊を歌う自伝的バラッド「Your Dictionary」と粒ぞろいの曲がメジロ押し。
そして最後を飾る「I Can't Own Her」,「Harvest Festival」,「The Last Balloon」の3連発。いずれも異なるタイプのバラードで、「Easter
Theatre」と並んでこのアルバムを象徴する曲ばかり。イノセントな叙情を湛えた歌詞が映像的で想像が広がります。特に「The Last Balloon」における、ある意味で悲しくもあり恐ろしくもある情景はインパクトがあります。
ストライキの間も Andy はずっと曲を書き溜めていたとのこと。その7年間のソングライティングの集積がこれほど濃厚な内容の作品を仕上げる結果ともなりました。彼自身「最高傑作だ」と公言してますけど、それが決して誇大表現とは思えないほどの作品ばかり。楽曲の充実度は過去最高かも知れません。40代半ばにしてこの境地。Andy
の歌も素晴らしく、声の伸びは明らかに今までで一番ですね。
方や Colin は前作『Nonsuch』の延長線のような諧謔味を含んだ作品を2曲提供。「Fruit Nut」などは Colin らしい軽快な曲で楽しめましたが、7年ぶりにしてはちょっと軽すぎたかというのが私の感じる贅沢過ぎる不満。でも今回の
Andy の重厚な作品群とのバランスを考えると丁度良いという気もします。
アコースティック的であるにも関わらず、明らかに Andy 色が強いアルバム。 XTC は穏やかでアコースティックな作品と、ポップできらびやかな作品を交互に出すという特徴があります。次作がシンプルでエレクトリックな音楽になると宣言されていますが、これこそ
XTC 特有のバランス感覚だと言えます。
この作品に対して「後ろ向き」だの「時代と隔絶」だのいろいろと意見もございましょうが、私個人の感想としては、いつもの XTC だと思わせつつも単なるノスタルジックな音楽で終ってはいません。それどころか今後、音楽家としてさらに一層良くなるだろうと思わせるほどの充実ぶり。今でも彼らは自身のオリジナリティでもって独自の世界を切り開くことができる、そのことがわかっただけで十分であります。
また同じ年の秋に、Apple Venus Vol.1全曲のデモ・ヴァージョンと、Andy と Colin の解説音源からなるアルバム Homespun
が日本先行発売されました。これを聞けば、本当にデモ・バージョンなのかと言いたくなるような完成されたアレンジに舌を巻く事でしょう。とは言え、完成盤より隙間のある音作りなので、こちらの方を好む方もいると思います。私などは「I'd
Like That」や「Frivolous Tonight」はデモ版の方が気に入りました。
今年の2月頃には「ソングストーリーズ」の日本訳本の発売 (対訳:藤本成昌氏)が予定され、4月頃にはApple Venus Vol.2 が完成するという話。
XTC ファンの至福の時間はもうしばらく続きそうです。
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