Destiny/Felix Cavaliere
(Bearsville POCY00738)
 彼女は1971年に結婚をしていますが、2年後に離婚。また身内の不幸などもあったようですが、そうしたプライヴェートな出来事がきっかけかどうかはともかく音楽活動から遠ざかっていきます。1975年に盟友 Felix Cavaliere の『Destiny』というアルバムの1曲にコーラスで参加。続く1976年にアルバム『Smile』でようやく復帰を果たします。



Smile (Clumbia C33912)

 活動を停止していた間にどのような心境の変化があったのかは知る由もありませんが、穏やかな微笑みを浮かべている真っ赤なジャケットが、今までとは全く違った印象を与えており、内容的にも今までのセンシティブな雰囲気からは一線を画しています。プロデューサーには再び Charlie Calello を迎え、ニューヨークの一流セッション・ミュージシャン達をふんだんに集めて制作されています。Rick Marotta、Chris Parker、Allan Schwartzberg らのドラムス、Will Lee のベース、John Tropea、Jeff Mironov のギター、Randy & Michael Brecker のホーンなど、そうそうたるメンバーによる演奏は、当時のニューヨーク、ジャズ・フュージョン・シーンの最前線とも言うべきサウンドに仕上がっており、彼女のもう一つのルーツであるジャズのしっとりとした香りが漂っています。しかし、彼女の本来的な持ち味である情緒の力が影を潜めているわけではなく、押さえ気味のヴォーカルからそうした一面を見ることができます。また彼女はこの当時から日本に対する興味を抱いていたようで、「Smile」では日本人奏者による琴の演奏を聴くことが出来ます。彼女はプライヴェートでも京都を訪れたり、のちに日本食レストランでの出来事を歌った「The Japanese Restaurant Song」なども作曲しており興味深い一面であると言えます。

a good friend
is a rare find
Their straight talk
can ease your mind
a good pimp's
gonna rob you blind
money money money

"Money" Lyric by Laura Nyro 1976

no I'm not
like you people
you wheel & you war
& you white wash your day away

"The Cat-Song" Lyric by Laura Nyro 1976

Winter
turn on the night
turn on your love-light
I'm a non-believer
but I believe
in your smile

"Smile" Lyric by Laura Nyro 1976



Season Of Lights-Complete Version-
(Sony SRCS6807)

 このアルバムの発売後、彼女は完全復帰を証明するかのように全米ツアーを行います。そして、この模様を収めたアルバム『Season Of Lights』を翌77年に発表します。このアルバムは当初2枚組で発表される予定でしたが、制作側の意図もあってか16曲の予定が10曲に減らされてのリリースとなりました。その後1993年になって突如日本でのみ当初予定されていた16曲入りで復刻されました。バックのミュージシャンは先の『Smile』にも参加していた John Tropea やRichard Davis をはじめ、ニューヨークのセッションの名手達。タイトなサウンドが彼女のヴォーカルと巧みに絡み合いライブならではの緊張感をもたらしています。とりわけ 1曲目「Money」で印象的なギター・ソロを聴かせている John Tropea のプレイに耳を奪われてしまいます。彼は当時 Laura Nyro の恋人とも噂されており、彼の参加でリラックス・ムードに包まれているかのよう。『Smile』発表直後ということもあり『Smile』からの曲が6曲と一番多く収録されています。またジャズ・オリエンテッドにアレンジを変えた「And When I Die」や「The Confession」などの初期の曲に混じって「The Morning News」という新曲が披露されています。この曲はこれ以降の作品にも収録されておらず、貴重な1曲と言えるでしょう。ジャケットには谷内六郎の絵が使われています。


Nested (Clumbia PC35449)
 翌1978年、彼女は『Nested』を発表します。淡いサーモン・ピンクのジャケットの中で穏やかな表情を見せている彼女は、この当時妊娠しており、インナー・スリーブの写真からもその様子がうかがえます。このアルバムの中で彼女は、自らが母になった喜びと自覚の中で自然や地球そして子供といったより大きなテーマを歌っています。優しげな曲調やしっとりとした歌い方にも彼女の満ち足りた生活ぶりや心境の変化が感じられます。特に「Springblown」ではもうすぐ生まれてくる我が子をいとおしむ母の姿がくっきりと浮かび上がっており、初期の狂おしいまでの情熱とは対局に位置するかのような軽やかなヴォーカルが美しく響いてきます。
 近作でお馴染みのニューヨークのセッション・メンに加えて再び Felix Cavaliereが参加したのをはじめ、The Lovin' Spoonful のメンバーだった John Sebatian もハーモニカで客演、ニューヨーク・コネクションとでも言うべき彼女の良き理解者達が参加しています。プロデューサーとしてクレジットされているのは Roscoe Harring。前作『Season Of Lights』でもロード・マネージャーとして参加していましたが、このころから長きに渡って彼女の良きマネージャーとして行動をともにしています。

My Innocence,my innocence
comes from my mother
my innocence,my innocence
comes from my warm earth mother
out along the gravestones
the sky is speechless
and my mind
It blows away

"My Innocence" Lyric by Laura Nyro 1978

I come from the earth
and the earth is a again
in the galaxy
could you send some peace on earth
to a child of the universe

"Child In A Universe" Lyric by Laura Nyro 1978




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