Paul McCartney

東芝EMI EPR-20644
1979

 The Beatles のクリスマス・ソングというと、ジョンとヨーコのものが有名。
『Anhtology』のどさくさで出た Beatles 自身の「Christmas Time is Here Again」というのもありましたが、これはPaul McCartneyのクリスマス・ソング。温かいコンピュータをバックにポールが幸せいっぱいのクリスマスを祝います。
 当時のポールは自分のバンド、Wings で『Back to the Egg』を発表し何度目かの絶頂期。Led Zeppelin や The Who のメンバーまで招いたセッション、Rockestra を実現し、伝説のカンボジア難民救済コンサートも成功、向かう所、敵なしの感を強くしていました。
 そんな'79年の冬に出たのがこのシングル。何を思ったのかコンピュータ演奏による一人録音。何でもちょこまかと手を出してしまうのが、この先生の悪い癖なれど、その「軽さ」までもがファンにはたまりません。あっという間に仕上がったような一見「雑な」録音が
またポールのポップさを強烈に印象づけます。音楽的にはシンセのエコーのリズムとポールの手癖いっぱいのドラムが合体して心地よいビートを作っています。テクノ・クリスマスだけど、手作りの温かさ。テクノでも何でも、手にしたものはたちまちポップになってしまうという魔法です。

初年度の国内盤は何故か不思議なジャケットが付けられていました。

 ちなみに先生の絶好調は明けて'80年も続きます。来日したものの余分なものがカバンに入っていて、成田で御用になった先生は、武道館公演を中止する羽目に。それでもメゲずに、先生は帰国後すぐに全編テクノ・アルバム『McCartneyII』をリリース、「Coming Up」で全米1位を獲得とがんばります。しかし来日の一件がが元で Wings は解散(ウイングする=何もしないで帰る、というサ変動詞もできた)、おまけに年末にはジョンの悲しい出来事、ポール先生の絶好調もしばしお預けとなりました。

       

 ところで皆さん、新編『Yellow Submarine SongTrack』はどう聞かれましたか?筆者はあのリミックスはすごいと思いました。一番よいのは「All You Need is Love」(華麗さに磨き)、いまいちなのは「Only a Northan Song」(粗が目立つ)。読者の皆さんはどうでしたか?
 オリジナルはシングルでの発売、B面はポールが大好きなスカのリズムの「Rudolph the Res-Nosed Reggae」赤鼻のトナカイをレゲエにしたもの。現在は両面とも『Back to the Egg』のCDにボーナス曲として収録されています。

(たかはしかつみ)

 
 
 一方 Ringo Starr の新譜『I Wanna be a Santa Claus』が届いたので、早速紹介します。新曲とスタンダードのカバーそれぞれ6曲ずつで構成された本作は、筆者も予期せぬ大傑作。Ringo Starr、還暦間近にしてアーチスト・パワーが爆発しています。

Ringo Starr

Mercury 546 668-2
1999

 
 「I am the Greatest!」で暴れたポップ怪人、「Yellow Submarine」味の世界平和のなごみ声、「Act Naturally」のカントリー英国青年、「Back off Boogaloo」の狂喜のドラマー、「Good Night」のエンタテイナー、そのどれか一つでも好きな人には絶対おすすめします。プロデューサー兼共作者の Mark Hudson の貢献で、新曲もスタンダードもすべて「リンゴ味」に。リンゴからのメッセージは、クリスマスは楽しまなきゃ!
 なお「Christmas Eve」という曲が収録されていますが、ディープな circustown の読者諸君、勘違いはしないで下さいね。
 さてクイズです。サンタさんになりたいリンゴですが、一方サンタは何になりたいでしょうか?(答えはCDに)

(たかはしかつみ)

 

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