達郎書き起こしプロジェクト by ロック軍曹とサーカスタウン

2000/02/20 Sunday Song Book「Barry Mann ソロ・ワークス特集」



Barry Mann/Who Put The Bomp 1961『Who Put The Bomp』*1
Barry Mann/When You Get Right Down To It 1971『Lay It All Out』*2
Barry Mann/Sometimes When We Touch 2000『Soul & Inspiration』*3,4
Barry Mann/I'm A Survivor 1975『Survivor』*5,6
Barry Mann/We're Over 1980『Barry Mann』*7
Barry Mann/Angelica 1966 Single *8
Barry Mann/Nobody But You 1975『Survivor』*5,9
Barry Mann/You've Lost That Lovin' Feelin' 2000『Soul & Inspiration』*3,10

*1 自身による唯一のBest 10ヒット。デモがそのままシングル化された。
邦題は「しびれさせたのは誰」。
*2 未CD化。Delfonicsのヒット曲(1970年)のセルフカバー。Ronnie Dysonもカバー。
*3 2/23に日本盤発売。
*4 Dan Hillの大ヒット曲(1978年、邦題「ふれあい」)のセルフカバー。
*5 Bruce Johnstonがプロデュース。2/23に日本盤で世界初CD化。
*6 Single。日本盤LPでは収録されていた。
*7 Casablancaレーベル。未CD化。
B.J.Thomas『Songs』(1973年)への提供曲のセルフカバー。
*8 Capitolレーベル。デモのシングル化。Oliver(1970年), Roy Hamilton,
Lou Rawlsがカバー。
*9 以前はJackie Wilsonのバージョンもかけた。
*10 Righteous Brothers(1964年)で超有名。Carole Kingとのデュエット。

内容の一部(鈎括弧内は達郎氏のコメント)

・近況

スタジオ暮らしもそろそろフィニッシュ。自分とまりやさんのシングルレコー
ディングも完了するので、3月になれば再びにまりやさんのアルバム作りに戻
る予定。曲やタイアップの予定は後日報告。

・Barry Mann特集

「番組のヘビーリスナーならご存知でしょうが、私が最も好きな作曲家。30年
近く追っかけをやってます。これまでに2回特集をやってます。珍しい番組で
すね。2/23に20年ぶりの新作と名盤の誉れ高き『Survivor』が同時に日本で発
売されるので、3度目の特集はソロワークで攻めてみました。5枚のソロアル
バムと、シングルでしか発売されていない作品から。作曲家ですけど大変歌の
うまい人で、情感溢れる歌の表現力を持っています。心に染みるBarry Mannの
名曲と名唱をたっぷりとお楽しみください。」

「1939年生まれで、22才の時に「Who Put The Bomp」という唯一のヒットが出
た。こうしたヒットが続けば作曲家にならずにアイドルシンガーになったかも
しれない。元もとはブロードウェイのミュージカル作曲家を目指していたのが、
ロックンロールの世代に生まれたので、ロックンロールソングで戦後アメリカ
を代表する作曲になりました。今でも現役バリバリ。」

「1960年代の頭に仕事を始め、早40年。90年代にもヒット曲を出すという、ま
さに怪物です。奥さんのCynthia Weilの作詞で、Mann & Weilというコンビで
星の数ほどのヒット曲を出しました。」

「10年後に出た2ndの『Lay It All Out』は、シンガーソングライターの時代
の作でCarole King『Tapestry』がメガヒットしていて、それに影響されて作
られたSSWのアプローチのアルバム。KingとMannは同じ出版社で一緒に仕事を
した人なので、自分も影響されてやってみようと思ったのだろうけど、成功し
なかった。でも内容的には申し分ない。ある意味で「When You〜」はBarry
Mannのバージョンの方がヒットしたものよりも優れている。Joel O'Brienの素
晴らしいドラムに、Charles Larkey(b), Danny Kootch(g)とJo Mamaの面々が
バックを務め、Barry MannとCarole Kingのダブルキーボードと実に豪華。
Electric Ladyland StudioのNYのエコーがいたします。」

「このところ作曲家が自分の作品を弾き語りに近いスタイルで歌う企画をして
いるFred Mollenというプロデューサがいて、Jimmy WebbとKris
Kristofersonなどにアンプラグド的なスモールコンボでセルフカバーさせるア
ルバムを作っていたが、その一環として今年『Soul & Inspiration』が作成さ
れた。このアルバムのライナーにはBarry Mann自身のコメントが書かれ、エグ
ゼクティブ・プロデューサのJay Landersから本作のアイディアを持ち掛けら
れた時には大して良いアイディアだと思わなかったそうで、同じ人が同じアイ
ディアで手掛けたJimmy Webbのアルバム(『Ten Easy Pieces』)が素晴らしかっ
たので、こういうやり方だったらできるんじゃないかと思い、またいろんなゲ
ストを呼ぶことで曲の新鮮さを新しく感じることができた、と。お聞きいただ
ければ判るように、薄めのオケで作っていることが成功している。しっとりし
たいいアルバムで、71年の「When〜」と全く変わらない情感がある。30年前と
変わらない。これがまた素晴らしい。」

「25年前にRCAから『Survivor』というソロアルバムを出した。正確には
EquinoxというBruce JohnstonとTerry Melcherの二人が作ったプロダクション
から出た。Equinoxはほとんど成功しなかったが、日本ではかなりのマニアが
います。私もその一人。このプロダクトで『Circus Town』の片面やっちゃっ
たという。なぜかNYの作曲家のBarry MannがWest CoastでBruce Johnstonと組
んで作った一枚。これがまた素晴らしい。このEquinoxという会社は複雑な権
利関係が錯綜していて、なかなか許諾が降りなかったが、この度めでたく日本
でBMGからCD化される。「I'm A Survivor」はシングル用に作られ、その後無
理矢理LPに加えられた。よって1stプレスと2ndプレスが違う。」

「75年当時は35才なので、作家としては今以上に盛りを過ぎていると見なされ
ていた。葛藤のある年齢で、そうしたことを含みつつ『Survivor』というタイ
トル。そしてシングルはとてもアイロニカルな歌。「アイドルだって何だって
成れる。気分が悪くなるほど下品にだってなれるし、甘ったるいポップだって
カントリーだってバッチリだし、4トラック8トラック16トラック、カウボーイ
ブーツにブルースエード履いて、フォーク、ポップ、リズム&ブルース、何だっ
てやれるんだ、I'm a survivor」という内容。売れなかったけど、今聞いても
考えさせれることが多い。」

「80年はCasablancaから『Barry Mann』を出した。時代はAOR全勢なのでそう
したテーストの書き下ろし曲、それから有名無名な曲のセルフカバー。
B.J. Thomasのアルバムに書いた「We're Over」は死ぬ程好きで、殊玉の名曲
だと思う。1,3,5とCD化され、2ndとこの4thは未だ。早くCD化されることを祈
る。」

「60年代のロックの作曲家はデモテープを全部自分で歌って作った。歌がうま
い人だとそれがそのままレコードにしてヒットしたりした。最初かけた「Who
Put The Bomp」などはデモテープ。その延長でシングルになる平和な時代。今
の「孫」なんかもそうですね。彼のアルバム化されてないシングルは、ほとん
どはデモテープをシングル化したもの。「Angelica」もそうした一つで、彼に
しては珍しいマイナーチューン。盤質が悪いのはご勘弁ください。」

「現在自分のHPを作ろうと思って、いろんな作曲家のソンググラフィーを何十
年もしこしこ作っている。中でもBarry Mannはかなり充実してきたが、なかな
か700曲もあると完璧という訳にはいかない。大体確定しているタイトルの演
奏者がわかっている曲は調べ尽くしているんだけど、後は曲はわかるけど誰が
やっているのかわからないというのがあって、そうなると片っ端からそれらし
いレコードを買っていくしかない。この間、ふた月で30枚ぐらい仕入れたけど、
ヒットした3枚しかなかった。後は全部同名異曲(笑)。情けない世界ですが、
そういうしこしこした作業が実を結ぶだろうと。HPが出来たら、Barry Mannの
ソンググラフィーは結構よくここまで、という感じですから期待して下さい。」

「CD化されていない残る2枚の内、71年の『Lay It All Out』は契約が何処も
ない。名盤なんですけどね。これと『Survivor』で僕は『Circus Town』の海
外レコーディングのコンセプトを決めたぐらいの物なんです。CD化してくれま
せんかね。」

「作曲家のソロワークというとCarole Kingが外せないだけど、Carole Kingは
一度も特集したことがないんですよね。今度やってみましょうかね。でも僕の
趣味としてはLeiber & Stollerを先にやりたいなと。それからBert Bernsや
Jerry Ragavoy、George JacksonなどDeepなR&B系の作家もいいなと。夢は広が
るのですが、番組が長く続けば続く程出来るというと感じです。」

・今週金曜にオンスト1,2,3のアナログ盤が発売されます、との告知がありました。

・宝塚市の岡本さんから三浦豊樹さんにお誕生日メッセージ
上田市の柳原さんから瀬戸秀洋さんにお誕生日メッセージ
がありました。おめでとうございます。

今後の予定ですが

・2/27は聴取率週間で、「友達の歌特集」。
・3月に「Curtis Mayfield 追悼特集」。
・3月には、「雛祭り恒例ガールグループ特集」も予定。

# 「友達の歌」って、友がタイトルに付く歌ですかね。
# 「君の友だち」(JT)とか「友達でいさせて」(TR)とか「旧友」(S&G)とか。


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