2024.03.24 - Cinema Music Composers
Smoke Gets In Your Eyes Smoke Gets In Your Eyes
Jerome Kern Part 2

(1933)

Cinema Music Composers シリーズ
Jerome Kern の第2回目です。

1909年に Jerome Kern はイギリスに長期滞在、旅行先で出会った女性、Eva Leale と出会い翌年に結婚。帰国後は無声映画用の伴奏音楽を手掛けました。1914年にはミュージカルライターの Guy Bolton とイギリス人のP. G. Wodehouse と組んでミュージカルショー『The Girl from Utah』を上演。このミュージカルのために書いた "They Didn't Believe Me" が評判となり、Jerome Kern の認知度はミュージカル界で上昇、1917年にはブロードウェイミュージカル『Oh, Boy!』が公演。このミュージカルから、伝記映画の表題となった曲 "Till the Clouds Roll By" が生まれています。

1920年代になるとアメリカでミュージカル人気が上昇、ブロードウェイで数多くのミュージカルが上演されるようになります。1920年には Guy Bolton が書いたブロードウェイミュージカル『Sally』が初演となり、Sally 役には新進のミュージカルスター Marilyn Miller が演じました。このミュージカルからはその後多くのシンガーに愛されることになる楽曲 "Look for the Silver Lining" が生まれています。

1925年に作詞家、劇作家の Oscar Hammerstein II と出会います。同年、作詞家 Otto Harbach と Oscar Hammerstein II と組んでミュージカル『Sunny』を上演。このミュージカルから "Who?" が生まれています。

1927年、Jerome Kern は女流作家エドナ・ファーバー(Edna Ferber)が出版した『Show Boat』を読んで感銘を受けます。人種差別、夫婦の争い、アルコール依存症など様々な社会問題を孕んだこの物語をミュージカル化できないかと P. G. Wodehouse と Oscar Hammerstein II に相談、エドナ・ファーバーから許可が出てミュージカル化の権利を得ます。興行主の Florenz Ziegfeld はオーディションを行い大規模なセットを構築、同年、『Show Boat』は初演を迎えました。その後、ミュージカル『Show Boat』は1929年、1936年、1951年と3回、映画化されました。

1920年代のアメリカ映画はまだサイレント映画が主流で、ワーナー・ブラザースが1927年に初の長編トーキー映画『ジャズ・シンガー』(JAZZ SINGER)を公開にすると、各映画会社がトーキー映画制作に乗り出すようになります。1929年にはミュージカル『Sally』が映画化、舞台でも Sally 役を演じた Marilyn Miller が主演、劇中で "Look for the Silver Lining" を歌いました。1930年には『Sunny』も映画化。主演は同じく、Marilyn Miller が演じ人気スターとなりました。Marilyn Miller に関しては1949年に Marilyn Miller の伝記映画『LOOK FOR THE SILVER LINING』が制作されており、この映画でもこの頃に Jerome Kern が作った楽曲を聴くことができます。


Smoke Gets In Your Eyes(Jerome Kern-Otto Harbach) From "ROBERTA" / Fred Astaire and Ginger Rogers(1935)

Smoke Gets In Your Eyes(Jerome Kern-Otto Harbach) From "TILL THE CLOUDS ROLL BY" / Cyd Charisse and Gower Champion(1946)

Smoke Gets In Your Eyes(Jerome Kern-Otto Harbach) From "LOVELY TO LOOK AT" / Marge and Gower Champion(1952)

Smoke Gets In Your Eyes(Jerome Kern-Otto Harbach) / The Platters(1958)

1933年のブロードウェイミュージカル『Roberta』のために書かれた楽曲です。2年後、アイリーン・ダン(Irene Dunne)主演で映画『ロバータ』(ROBERTA)として映画化されます。この映画で当時人気高かったフレッド・アステア(Fred Astaire)とジンジャー・ロジャース(Ginger Rogers)がダンスします。
1946年の伝記映画『雲流るるはてに』ではこの曲で、ガワー・チャンピオン(Gower Champion)とシド・チャリシー(Cyd Charisse)がダンスしました。
1952年の映画『LOVELY TO LOOK AT』ではそのガワー・チャンピオンが奥様のマージ・チャンピオン(Marge Champion)と踊っています。
1958年に The Platters がシングルをリリース、 Billboard Hot 100 の1位となります。プロデュースしたのは Buck Ram です。


I’ve Told Every Little Star(Jerome Kern-Oscar Hammerstein II) / Jack Denny & His Waldorf-Astoria Orchestra Vocal By Paul Small(1932)

I’ve Told Every Little Star(Jerome Kern-Oscar Hammerstein II) / Linda Scott(1961)

I’ve Told Every Little Star(Jerome Kern-Oscar Hammerstein II) From "MULHOLLAND DR."/ Linda Scott(1961-2001)

1932年のミュージカル『Music in the Air』のために書かれた曲。このミュージカルは1934年に映画化されました。初レコーディングとされる Jack Denny & His Waldorf-Astoria Orchestra の演奏のものを。
1961年に"星姫"、Linda Scott が Canadian-American Records からシングルリリースしたバージョンが US Billboard Hot 100 の3位となります。プロデュース、アレンジは Hutch Davie。
2001年の映画『マルホランド・ドライブ』(MULHOLLAND DR.)の中で、Linda Scott のバージョンが使われました。


Why Was I Born?(Jerome Kern-Oscar Hammerstein II) From "SWEET ADELINE" / Irene Dunne(1934)

Why Was I Born?(Jerome Kern-Oscar Hammerstein II) From "TILL THE CLOUDS ROLL BY" / Lena Horne(1946)

Why Was I Born?(Jerome Kern-Oscar Hammerstein II) / Margaret Whiting(1960)

1929年のミュージカル『Sweet Adeline』のために書かれた曲。1934年に映画化され、主演のアイリーン・ダン(Irene Dunne)が歌いました。
伝記映画『雲流るるはてに』(TILL THE CLOUDS ROLL BY、1946)では レナ・ホーン(Lena Horne)がゲスト出演し、歌唱を披露します。
1960年の Margaret Whiting のアルバム『Sings The Jerome Kern SongBook』のバージョンも合わせて。Russell Garcia のコンダクト、アレンジ。素晴らしい演奏、素晴らしい歌唱です。


Yesterdays(Otto Harbach-Jerome Kern) From "ROBERTA"/ Irene Dunne(1935)

Yesterdays(Otto Harbach-Jerome Kern) / The Hi-Lo's(1958)

Yesterdays(Otto Harbach-Jerome Kern) / The Four Freshmen(1958)

1933年のミュージカル『Roberta』の時に誕生した楽曲。1965年に映画『ロバータ』(ROBERTA)として映画化され、主演を務めたアイリーン・ダン(Irene Dunne)によって歌われました。
2つのボーカルグループ、The Hi-Lo's と The Four Freshmen のバージョンも合わせて。The Hi-Lo'sは憂いたっぷりにしっとりと。The Four Freshmen の方はラテン調にアレンジしてあります。両バージョンとも1958年の制作です。


Let's Begin(Jerome Kern-Otto Harbach) From "ROBERTA" / Fred Astaire and The Band(1935)

Let's Begin(Jerome Kern-Otto Harbach) From "ROBERTA" / Margaret Whiting(1960)

1933年のミュージカル『Roberta』から生まれた楽しい曲。1935年に映画化され、フレッド・アステア(Fred Astaire)が歌いダンスしました。フレッド・アステアのカンカン帽姿、とてもユーモラスな場面。思わず、ジンジャー・ロジャース(Ginger Rogers)も踊り出します。
1960年の Margaret Whiting のアルバム『Sings The Jerome Kern SongBook』のバージョンも合わせて。


I Won't Dance(Jerome Kern-Oscar Hammerstein II and Revised lyrics by Dorothy Fields, Otto A. Harbach and Jimmy McHugh) From "ROBERTA" / Fred Astaire and Ginger Rogers(1935)

I Won't Dance(Jerome Kern-Oscar Hammerstein II and Revised lyrics by Dorothy Fields, Otto A. Harbach and Jimmy McHugh) From "LOVELY TO LOOK AT" / Gower Champion and Marge Champion(1952)

I Won't Dance(Jerome Kern-Oscar Hammerstein II and Revised lyrics by Dorothy Fields, Otto A. Harbach and Jimmy McHugh) / Blossom Dearie(1957)

元々は1934年のミュージカル『Three Sisters』の時に書かれた曲で、1935年の映画『ロバータ』(ROBERTA)で取り上げらます。以降ジャズのスタンダードナンバーとして有名になります。その時に Oscar Hammerstein II の詩に "On the Sunny Side of the Street" の作者、Jimmy McHugh や Dorothy Fields ら演劇人が補詩しました。映画ではフレッド・アステア(Fred Astaire)のピアノから始まり、楽しいタップを披露します。
全曲、Jerome Kern の曲で占められた1952年の映画『LOVELY TO LOOK AT 』ではこの曲で、Gower Champion、Marge Champion 夫妻がダンスしました。
1957年の Blossom Dearie のアルバム『Blossom Dearie』に収録されたバージョンも合わせて。フランス語の詞が出てくるのがいいですね。



* フレッド・アステア(Fred Astaire)とジンジャー・ロジャース(Ginger Rogers)


* ガワー・チャンピオン(Gower Champion)、マージ・チャンピオン(Marge Champion)
マージ・チャンピオンは若い頃、ディズニーアニメーション映画『白雪姫』(Snow White and the Seven Dwarfs、1937)のアニメーション作成のための撮影モデルになった人です。)Marge Champion as Disney’s Snow White (1937) Live-Action References COMPARISON

(富田英伸)

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