2023.02.06 - Songwriter
Happy Birthday Happy Birthday
Neil Hubbard (Kokomo)

(1975)

(2023年2月5日SSB「バースデーで棚からひとつかみ」で、Kokomo "Happy Birthday"がかかりましたので。)

Songwriterシリーズ
今回はイギリスのバンド Kokomo に在籍していたギターリスト Neil Hubbard を取り上げます。

まず、バンド Kokomo について
1969年に Terry Reid のカバーにあたる "Friends" という曲をヒットに持つイギリスのグループ、Arrival が原型となって、1973年頃に結成されたのがバンド Kokomo 。リーダー格のキーボード奏者、ボーカリストの Tony O'Malley のソウル指向、しゃがれた声が特長で、イギリスのブルーアイドソウルグループと言われるようになります。

Kokomo 結成時、参加メンバーとして声がかかったのは、サックスに King Crimson に在籍していた Mel Collins。Joe Cocker のツアーバンドにあたる The Grease Band からベーシスト Alan Spenner、そして今回取り上げるギターリスト Neil Hubbard が招集されました。アメリカからやって来た少女、Jody Linscott は Kokomo で初めてパーカッションに触れ、後に売れっ子パーカッショニストとなります。Kokomo のメンバーは全員10人で構成されています。

バンド名 Kokomo の由来は 1972年の Aretha Franklin のアルバム『Young, Gifted And Black』に収録されている楽曲、"First Snow In Kokomo" から来ているようです。

ギターリスト Neil Hubbard について
Neil Hubbard は1948年、イギリスのケンブリッジシャー生まれ。Joe Cocker のツアーバンド The Grease Band に在籍しながら、ロンドンで結成された Juicy Lucy というグループにも参加していたようです。セッションミュージシャンとして1970年のミュージカル『Jesus Christ Superstar』のアルバムのクレジットにベーシスト Alan Spenner と一緒にその名前を見つけることができます。

バンド Kokomo は Arrival 出身者の Tony O'Malley、Frank Collins が主体となって楽曲制作、ブルーアイドソウル指向の音作りを目指しましたが、Neil Hubbard も数少ないながらも楽曲を提供しています。その洒落た感じがブルーアイドソウル色を少し薄め、そのバランス感覚がとても気に入っています。

その後、Kokomo は数枚のアルバムを残して解散しますが、Neil Hubbard はセッションギターリストとして Roxy Music のアルバムなどに参加。リーダー格の Tony O'Malley は10cc にメンバーとして参加することになります。

以下、Kokomo のアルバムから Neil Hubbard が書いた曲を聴いていきたいと思います。


Anytime(Neil Hubbard) / Kokomo(1975)

Kokomo の1975年のファーストアルバム『Kokomo』から。ボーカルは Arrival 出身の Tony O'Malley と 女性ボーカリストの Dyan Birch。間奏のギターは Neil Hubbard だと思われますが、スマートな良いギターです。このファーストアルバム『Kokomo』は Procol Harum、Badfinger、Roxy Music などを手掛けていた Chris Thomas がプロデュースを務めています。


Happy Birthday(Neil Hubbard) / Kokomo(1975)

Kokomo の1975年リリースのセカンドアルバム『Rise And Shine』から。ボーカルは Arrival 出身の Paddy McHugh が執っています。プロデュースは Wilson Pickett、Millie Jackson や James Brown を手掛けてきたこともあるアメリカの Brad Shapiro が務めマイアミで制作されました。間奏のフルートは Mel Collins でしょうか。清涼感を運んでくれます。愛すべきバースデーソング。


Part-Time Affair(Neil Hubbard) / Kokomo(1982)

1982年にリリースされた実質的再結成のアルバム『Kokomo』から。このアルバムを務めたのはアメリカ、シカゴのプロデューサー Leo Graham と James Mack。




ここからは Kokomo が取り上げたソウルナンバーを2曲、聴き比べを。
まずは Bobby Womack のペンによる、"I Can Understand It" から。キーボード、リードボーカルはTony O'Malley 。ギターを弾いている髪の長い方が Neil Hubbard。1973年の The New Birth のカバー曲となります。
Kokomo、The New Birth ともライブ映像が現存しています。

I Can Understand It(Bobby Womack) / The New Birth(1973、Live)

I Can Understand It(Bobby Womack) / Kokomo(1975、Live)


1975年のファーストアルバム『Kokomo』のラストに収録されていた Aretha Franklin のカバー "Angel"を。オリジナルの Aretha Franklin のバージョンは Aretha Franklin と Quincy Jones のプロデュースです。
イギリスのバンド Kokomo のアメリカン・ソウルへの憧憬を感じ取ることができます。

Angel(Carolyn Franklin-Sonny Sanders) / Aretha Franklin(1973)

Angel(Carolyn Franklin) / Kokomo(1975)



* Kokomo(左から3番目が Neil Hubbard)

(富田英伸)

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