2022.06.10
相合傘 相合傘
Boyish

ブルー・レイン (2021)

6月に入り、先日、関東地方の梅雨入りが発表されました。毎年のことながら、これから一ヶ月余り、傘の手放せない季節になりました。
季節柄というわけでもないのですが、雨の歌を取り上げます。

Boyish の「相合傘」。

私が Boyishというインディーズのバンドを知ったのは、以前のレビューで取り上げた女性シンガー・ソングライターの kiss the gambler さんの昨年9月の複数のバンド、ミュージシャンの出演したイベントで見たのがきっかけでした。元々、彼女のバンド編成のライブのメンバーのドラマーが Boyish のドラマーでもあっての当日の出演でもあったようです。そのライブでの彼らのサウンドが私の音楽の琴線をくすぐりました。

Boyish は、2012年に結成されたバンドで、3年ぶりに、昨年12月に4枚目になる「相合傘」をリード・トラックにする『ブルー・レイン』をリリースしました。今まで彼らは、バンドのメンバー交替やコロナ禍の活動他の紆余曲折があり、このアルバムのリリースとともに、6人編成のバンドとして再開しました。

彼らの音楽は、男女混声のヴォーカルを生かし、AOR、シティ・ポップ、ネオ・アコ等の影響を感じさせるサウンドが聴く者の耳に心地よく爽やかに届きます。

今回のアルバムは、タイトルの『ブルー・レイン』が示すように、「雨」をテーマにしたコンセプト・アルバムと言ったら、おかしいでしょうか。

中でも、先述した kiss The Gambler さんのピアノ演奏ではじまる「愛が募ると」からつながる「相合傘」は彼らの魅力的な男女混声ヴォーカルからはじまる歌です。

「すれ違う傘で/見えなくて/僕は一人/はねかえる雨で/染めあげる/街を/桃色に」

という歌詞の世界に、サックスの音色が雨降る街の情景を色づけるサウンドがマッチして、優しく耳に入ってきます。

また、同曲のMVでは、歌の後に kiss The Gambler さんのピアノ演奏(「愛が募ると」)がながれ、歌の余韻を感じさせ、歌の魅力を倍加させます。

アルバム全体を耳にすると、ミディアム・テンポの曲が多く、やや単調に聴こえるきらいがありますが、繰り返して耳にするうちに彼らのサウンドによって聴く者を雨の街の情景に溶けこませます。

ただ、とても残念なことは、このアルバムを作ったメンバーでのライブをアルバム・リリースの後、数回行なった後、バンド自体が解散してしまったことです。これから、リーダーの方のソロ・プロジェクトとしての活動になるのかどうかが気になるところです。

今日の1曲

(伊東 潔)

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