2022.02.25
A Whiter Shade of Pale A Whiter Shade of Pale
Procol Harum

Procol Harum (1967)

Procol Harum の Gary Brooker が亡くなったことが報じられました(2022年2月19日逝去)。Procol Harum の活動期間は1967年から70年代中頃でした。彼らは1990年代に復活し、そこから継続的に活動していました。2012年にはユーミンと「青い影」を録音し(『日本の恋と、ユーミンと。』収録)、来日もしました(行けばよかったな)。

筆者は何年か前に YouTube でたまたま彼らの野外ライブ映像を目にして、以来ときどきそれを繰り返し見ていました。森のお城みたいな環境のオケ+合唱付きの野外ライブで、目にされた方も多いと思います。DVDとして出ていたようですが、入手困難。Procol Harum Denmark 2006 と検索すると見つかるかと思います。すばらしいライブ。そのハイライトは当然「青い影」。オケによるイントロが、歌が始まるのか心配するくらい長くて充実、ブルッカーの声はオリジナル音源とどっちがいいのと賛否が別れるレベルです。



さて「青い影」というと達郎さんでもある。本サイトに、山下達郎の2回の「青い影」演奏のレビューが残っていました。ここに再掲しておきます。





難波弘之 プロ・デビュー25周年記念ライブ
"Thanks to Singers"
2001年11月21日 渋谷 ON AIR EAST
https://www.circustown.net/ct/book/20011205/procol_harum.html

難波弘之オルガン、山下達郎ヴォーカルによる「青い影」。幸運は難波弘之プロ・デビュー25周年記念ライブでおきました。このライブは難波さんのキャリアを、ゲスト・シンガーが讃えるというもので、金子マリ、DIAMOND◇YUKAI (Red Warriors)らが自身の持ち歌をたずさえて登場。受けて立つ難波さんにしてみればニュー・ミュージックからプログレ、ストーンズ、はては Marvin Gaye とあっちゃこっちゃにひっぱり回され、ふらふらって感じでありましたが(一体誰のライブだか?!)、それがかえって難波弘之らしさを表現していたとも。難波さんでなければできないことです。

「DERAM、IMMEDIATE で育った」という達郎さんが、「これだけブリテッシュな人たちと演る機会はない」といって用意したのは、彼が中学・高校時代に聴き込んだというブリテッシュなカバーばかり5曲。その3曲目に「3枚のフェイバリット・シングルのひとつ」と紹介され演奏されたのが「青い影」。このイントロが流れた時には体が震えました。聴きなれた通りのオルガンのイントロ、朴訥なヴォーカル、曲調をよく捕まえたドラムス。行き過ぎない暗さと遅さと強さが組合さって、曲の神秘性を再現していました。技術ある演奏者が、体に染み付いた曲を演奏してくれることに勝る幸せはなく、充実した英国サウンド、堪能いたしました。

山下達郎セットリスト

難波弘之 (Key), 大谷令文 (G), 松本慎二 (B), 下田武男 (Dr)

Brand New Cadillac / The Shamrocks
Nights In White Satin / Moody Blues
A Whiter Shade Of Pale / Procol Harum
Fresh Air / Quicksilver Messenger Service
Gimme Some Lovin' / Spencer Davis Group




難波弘之 鍵盤生活40周年記念ライブ
〜 一生 鍵命 〜  
2016年9月10日 EX THEATER ROPPONGI
https://www.circustown.net/new/book/20160914namba/

高嶋政宏の怪演のあと、難波弘之が舞台下手の袖に立って次のゲストを招き入れる。一瞬の沈黙のあと山下達郎登場。で、ぼそぼそと下手で話す2人がかわいらしい(機材設定のための時間稼ぎ)。「ブリテッシュはこんな時でないとできない」の弁は15年前の難波弘之25周年ライブ時のゲスト出演と同じなれど、前回の緊張感とは違い、最初っから達郎さんバンドの上手さを讃えるたたえる。入りは和やかなれど演奏始まると高い集中。「DERAM、IMMEDIATE で育った」という山下達郎フェイバリットが「Cadillac」「サテンの夜」「青い影」と3連発。60年代後半に巣鴨・池袋でロックな中高生活を同い年として過ごした仲を見せつけます。続いて「難波君がどうしてもやりたいというので1曲増えた」という The Nice の "Hang On to a Dream"。Tim Hardin がどうたらこうたらと一瞬サンソンモードもいいところ。さらに驚きは "Still Got the Blues"。「バーニーさんがいるならこの曲」と山下達郎のリクエストで達郎ヴォーカルと泣きのバーニーギターを満喫。山下達郎はバンドを絶賛し終止、歌う嬉しさが止まらない状態。とくにバーニーへの賛辞は最上級。締めは「これぞロックンロール」と宣言しガツンとキンクス!ここまで達郎6曲、マニアックツアーよりもマニアックなステージで大団円(あれ、誰のステージ:)。そして舞台は SOW にもどり難波の華麗な旋律と指さばきが楽しめる「DUNE」を3名で奏でます。

山下達郎セットリスト

SENCE OF WONDER 〔難波弘之(Key,Vo) そうる透(D) 松本慎二(B)〕

Cadillac / The Shamrocks (1965)
Night in White Satin / Moody Blues (1967)
A Whiter Shade of Pale / Procol Harum (1967)
Hang On to a Dream / The Nice (1969)
Still Got the Blues / Gary Moore (1990)
You Really Got Me / The Kinks (1964)



Gary Brooker 氏のご冥福をお祈りします。

(たかはしかつみ)

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