2021.12.11 - Cinema Music Composers
Be My Love Be My Love
Nicholas Brodszky

(1951)

(2021年12月5日SSB「年忘れリクエスト大会」で、Nicholas Brodszky が書いた Sarah Vaughan "Wonder Why" がかかりました。そしてクリスマス時期にぴったりな "Be My Love" の出自も合わせて。)

Cinema Music Composers シリーズ
ウクライナ生まれの歌劇、映画作曲家の Nicholas Brodszky を取り上げます。
特に今回は、"Wonder Why" が登場した1951年の映画『Rich, Young & Pretty』を中心に。

映画『Rich, Young & Pretty』は1951年にMGM映画社で制作されたミュージカル映画です。まだフレッシュで成長株のジェーン・パウエル(Jane Powell)、フランスからダニエル・ダリュー(Danielle Darrieux)を招き出演しました。ジェーン・パウエルとダニエル・ダリュー、2人とも美しいソプラノを披露、両者甲乙つけがたく、この映画の聴きどころ、見どころになっています。まだゲストにはまだ若きシンガーのヴィック・ダモン(Vic Damone)も出演しています。脚本にはこれも若き頃のシドニー・シェルドン(Sidney Sheldon)も参加しています。

実はこの映画、コーラスグループ、The Four Freshmen が出演している数少ない映画でもあります。The Four Freshmen が楽しいパフォーマンスを披露。The Four Freshmen ファンにとって貴重な映画になっています。


Wonder Why(Nicholas Brodszky-Sammy Cahn) From "Rich, Young & Pretty" / Vic Damone(1951)

Wonder Why(Nicholas Brodszky-Sammy Cahn) From "Rich, Young & Pretty" / Vic Damone and Jane Powell(1951)

まずは "Wonder Why" から。Vic Damone がしなやかな美しいボーカルで歌い上げます。そして、ヴィック・ダモンとジェーン・パウエルのダンスシーン、そしてデュエット。フレッシュな2人です。


We Never Talk Much(Nicholas Brodszky-Sammy Cahn) From "Rich, Young & Pretty" / Danielle Darrieux and Fernando Lamas(1951)

We Never Talk Much(Nicholas Brodszky-Sammy Cahn) From "Rich, Young & Pretty" / Vic Damone and Jane Powell(1951)

2組のデュエットの聴き比べを。とても可愛い曲。まずはダニエル・ダリューとフェルナンド・ラマス(Fernando Lamas)。ダニエル・ダリューの美声、フェルナンド・ラマスのテナーもいい感じ。そして先程登場したヴィック・ダモンとジェーン・パウエル。若い2人は楽しく歌っています。ジェーン・パウエルは2021年9月に92才で亡くなりました。


Dark Is The Night(Nicholas Brodszky-Sammy Cahn) From "Rich, Young & Pretty" / Danielle Darrieux(1951)

ダニエル・ダリューのソロパートを。抑制の効いたソプラノが美しいです。ダニエル・ダリューは1930年代から女優として活躍していましたが、1960年代はシンガーとしても活動。1967年のフランス映画『ロシュフォールの恋人たち』(Les Demoiselles de Rochefort)では主要出演者の中でもただ1人と言っていい程、吹替なしで歌いました。2017年に100才で亡くなりました。


How D'Ya Like Your Eggs in the Morning(Nicholas Brodszky-Sammy Cahn) From "Rich, Young & Pretty" / Four Freshmen, Vic Damone and Jane Powell(1953)

Four Freshmen の登場シーンです。レストランのコックたちに扮して、楽しいパフォーマンスを披露しています。ヴィック・ダモンとジェーン・パウエルと一緒に歌っています。メンバーの Ross Barbour は得意技の "ベビーヴォイス" で笑わせてくれます。




映画作曲家の Nicholas Brodszky は1905年にオデッサ(現在はウクライナ)で生まれました。1920年代はウィーンでオペレッタなどを書いていたそうです。その後、ドイツとオーストリアで映画音楽を書き、1930年代の終わりにナチス党の台頭を恐れて、イギリスに移住、その後、1940年代の終わりにアメリカ、ハリウッドに渡ります。

アメリカで Nicholas Brodszky は1950年の映画『ニューオーリンズの美女』(The Toast of New Orleans)、1951年の映画『Rich, Young and Pretty』、1952年の映画『Because You're Mine』などのMGMミュージカル映画に楽曲を提供。特にイタリア系アメリカ人のテナーシンガー、俳優のマリオ・ランツァ(Mario Lanza)に楽曲を書くことが多く、映画『ニューオーリンズの美女』から生まれた "Be My Love" はミリオンセラーとなりました。

Nicholas Brodszky の代表曲をいくつか聴いてみたいと思います。


Be My Love(Nicholas Brodszky-Sammy Cahn) From "The Toast of New Orleans" / Kathryn Grayson and Mario Lanza(1950)

Be My Love(Nicholas Brodszky-Sammy Cahn) / Mario Lanza(1950)

1950年の映画『ニューオーリンズの美女』(The Toast of New Orleans)から "Be My Love" を。聴いての通り、始めにキャスリン・グレイソン(Kathryn Grayson)が歌い、途中からマリオ・ランツァが飛び出して歌い上げます。
マリオ・ランツァ が歌った "Be My Love" は同年、RCA Victor Records で録音。Billboard charts 1位を34週続きました。


My Flaming Heart(Nicholas Brodszky-Leo Robin) From "Small Town Girl" / Nat king Cole(1953)

1953年の映画『Small Town Girl』から。ゲスト出演した Nat king Cole が歌いました。同年、Capitol Records からシングルリリース。そのシングルバージョンは Nelson Riddle の楽団で録音されました。


I'll Never Stop Loving You(Nicholas Brodzsky-Sammy Cahn) From "LOVE ME OR LEAVE ME" / Doris Day(1955)

I'll Never Stop Loving You(Nicholas Brodzsky-Sammy Cahn) / Doris Day(1955)

最後に Nicholas Brodszky が書いた曲で一番好きな曲を。Nicholas Brodszky の晩年の作品となります。
1955年の『情欲の悪魔』(LOVE ME OR LEAVE ME)から、主演のドリス・デイ(Doris Day)が歌いました。同年、Columbia Records からシングルリリース。Percy Faith & His Orchestra をバックに録音されました。Nicholas Brodszky はこの曲を書いた3年後、1958年に亡くなりました。



映画『Rich, Young & Pretty』(1951)



(富田英伸)

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