2021.09.04 - Songwriter
All I Have To Do Is Dream All I Have To Do Is Dream
Boudleaux and Felice Bryant

(1958)

(2021年8月29日SSB『納涼夫婦放談』で、2人が歌う、"All I Have To Do Is Dream" がかかったので、2016年9月20日分をアップグレードして再アップします。また、The Everly Brothers の Don Everly が2021年8月21日に亡くなりました。ご冥福をお祈りします。)


Songwriterシリーズ
今回は Bryant 夫妻として知られる、Boudleaux and Felice Bryant を取り上げます。

Boudleaux Bryant は1920年ジョージア州シェルマン生まれ。子どもの頃はバイオリンに親しんでいたそうです。Felice Bryant こと Matilda Genevieve Scaduto はイタリア系移民の一家として、1925年にウィスコンシン州ミルウォーキーで生まれています。

Felice こと Matilda が19才の時、地元のホテルでエレベーターガールとして働いていた時のこと。Boudleaux Bryant が参加していたカントリーバンドがそのホテルに滞在した時、2人は出会ったそうです。なんでも Matilda さんから Boudleaux Bryant に声をかけ、2人は駆け落ちするように結婚。このことは後に2人が書いた曲、"All I Have To Do Is Dream" の詩に表現されたようです。

結婚して2人は楽曲制作を始めますが、当初はあまりうまくいかず、トレーラーハウスに寝泊りしながら曲作りをしていたそうです。1949年、ノベルティ・カントリーソングを歌っていた Little Jimmy Dickens に提供した"Country Boy" が US Billboard Country の7位を記録。Boudleaux and Felice Bryant が書いた曲が少しずつ世の中に知られていきます。
その多くがカントリー・ミュージックですが、今回はカントリー以外の作品に少し触れ、聴いてみたいと思います。


Only A Pastime (Boudleaux Bryant) / Darrell Glenn (1953)

1953年に Darrell Glenn に Boudleaux Bryant が提供した曲。ジャズ風の落ち着いたいいメロディです。この夫妻はやはりカントリー調が多いのですが、こういった曲も書けるところが素晴らしいです。
ちなみに歌っている Darrell Glenn という人は同年に "Crying In the Chapel" を歌った人で曲を作ったのは彼のお父さんで Artie Glenn という人です。


Have A Good Time (Boudleaux and Felice Bryant) / Tony Bennett with Percy Faith & His Orchestra (1952)

1952年に当時の大スター、イタリア系の歌手の Tony Bennett に提供した楽曲。こういうオールドスタイルな曲調も夫妻にとっては珍しいですが、ロマンチックないい曲です。Percy Faith のオーケストラで録音されました。


Hot Spot (Boudleaux and Felice Bryant) / Boudleaux Bryant & The Sparks (1959)

1959年、Boudleaux Bryant 自身がリリースしたインスト・ナンバー。ナッシュビル録音なので、バックコーラスは Anita Kerr のグループじゃないかと思います。


兄弟デュオ、The Everly Brothers は1956年に自身の作詞作曲で、"Keep A-Lovin' Me" を Columbia Records からリリースしていましたが、翌年、Cadence Records に移籍。Bryant 夫妻が書いた "Bye Bye Love" が大ヒット、ゴールドディスクに輝きます。以降、Bryant 夫妻は The Everly Brothers に曲を書き続けます。以下の曲以外に挙げてみると、"Wake Up Little Susie"、"Bird Dog" (Boudleaux Bryant 単独クレジット)、"Problems"、"Take a Message to Mary" などがあります。
今回は厳選して3曲聴いてみたいと思います。


Like Strangers (Boudleaux Bryant) / The Everly Brothers (1960)

1960年にシングルリリースした作品。遠くに想いをはせてしまうメロディです。 "Bye Bye Love" や "Wake Up Little Susie" のような快活な曲もいいですが、このようなバラードもとても素晴らしいです。


All I Have To Do Is Dream (Boudleaux Bryant) / The Everly Brothers (1958-1960Live)

1958年にシングルリリース、映像は1960年ライブ映像です。
奥さんの Felice さんの回想インタビューによると、この詩のようにFelice さんは後の夫の Boudleaux に出会う前から、夢の中で Boudleaux さんの姿をみて知っていたとのこと。それで初めて会った時に、運命を感じたそうです。


Love Hurts (Boudleaux Bryant) / The Everly Brothers (1960)

Boudleaux Bryant 単独クレジットによる作品。心の芯に染み入ってくる切ない曲。個人的にもいろいろ想いが募る曲です。同年、 Roy Orbison もこの曲をシングル・リリースしています。


写真:左から、Phil Everly、プロデューサーの Wesley Rose、Boudleaux Bryant、Don Everly。


この頃、Bryant 夫妻は The Everly Brothers 中心に楽曲提供していきました。The Everly Brothers 以外のミュージシャンに提供してきた楽曲も聴いてみたいと思います。

My Last Date (Bryant-Cramer-Davis) / Skeeter Davis (1960)

1960年に Skeeter Davis に提供した楽曲。Boudleaux と Floyd Cramer と Skeeter Davis との共作曲。プロデュースは Chet Atkins が担当。Boudleaux と Chet Atkins とは1950年代から関係が深く、Chet Atkins に "Blue Ocean Echo" などのインストナンバーを提供しています。


Raining in My Heart (Boudleaux and Felice Bryant) / Buddy Holly (1959)

1959年、ロックン・ロール・ミュージシャン、Buddy Holly に提供した楽曲。Buddy Holly には珍しく、オーケストラをバックに歌っています。オーケストレーションは Dick Jacobs が担当。この曲は後に Skeeter Davis も取り上げました。


Angel, Angel (Boudleaux and Felice Bryant) / Sue Thompson (1961)

1960年代に入って、夫妻はネバダ出身のガールシンガー、Sue Thompson に数曲、楽曲提供しています。この曲は1961年に提供した楽曲。バックコーラスは、The Anita Kerr Singers が担当。良質なガールポップス・ナンバーです。


Come Live With Me (Boudleaux and Felice Bryant) / Roy Clark (1973)

1970年代に入ってからの作品。カントリー・ミュージシャン Roy Clark に提供した楽曲で、U.S. Billboard Hot Country Singles 1位になりました。アレンジは Bill Walker が担当。Boudleaux が1982年、Felice が2003年に亡くなりました。



(富田英伸)

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