2021.06.19 - Cinema Music Composers
The Cincinnati Kid The Cincinnati Kid
Lalo Schifrin

(1965)

Cinema Music Composers シリーズ
今回は Lalo Schifrin を2回に分けて取り上げます。

Lalo Schifrin こと Boris Claudio Schifrin は1932年、アルゼンチンのブエノスアイレスで誕生。父親はオーケストラでバイオリンを弾いていたそうです。パリで音楽を習い、その後ジャズピアニストとして活躍することになります。1956年には自国でアルゼンチンのサックス奏者、作曲家の Gato Barbieri と一緒にレコーディングもしているようです。同時期に Dizzy Gillespie の楽団に参加し、ピアニスト、アレンジャーとして働き出します。その後、Xavier Cugat の楽団にも招かれ、ここでも楽曲を提供していきます。その影響もあってか、Lalo Schifrin の音楽的興味はラテン・ジャズでした。

1959年にはリーダーアルバム『Piano Espanol』をリリース。1960年代に入っても、ラテン・ジャズ、ボサノバのアルバムをリリースしていきます。1962年の Quincy Jones And His Band のアルバム『Big Band Bossa Nova 』にピアニスト、作曲者として参加。1963年にはアメリカに移住。Quincy Jones の片腕として働くようになり、それが縁となり、1965年の映画『シンシナティ・キッド』(THE CINCINNATI KID)の音楽を担当、主題歌は Ray Charles が歌いました。


Lalo Bossa Nova(Lalo Schifrin) / Quincy Jones And His Band(1962)

Lalo's Bossa Nova (Samba Para Dos)(Lalo Schifrin) / Lalo Schifrin(1963)

Samba Para Dos(Lalo Schifrin) / Lalo Schifrin With Bob Brookmeyer(1963)

1962年の Quincy Jones And His Band のアルバム『Big Band Bossa Nova』にピアニストとして参加した Lalo Schifrin はこのアルバムに1曲書き下ろしています。溌溂としたナンバーです。レコーディングには Phil Ramone が立ち合いました。1963年、Lalo Schifrin のリーダアルバム『Piano, Strings And Bossa Nova』でも自ら取り上げました。演奏メンバーは一部重複していますが、プロデュースは Creed Taylor が当たりました。また1963年はトロンボーン奏者の Bob Brookmeyer との共作アルバム『Samba Para Dos』でも"Samba Para Dos" のタイトル曲で取り上げます。プロデュースは同じく、Creed Taylor です。


Mima(Lalo Schifrin) / Eddie Harris(1963)

1963年のサキソフォン奏者、ピアニストの Eddie Harris のアルバム『Bossa Nova』から。まだその頃新しい音楽だったボサノバを取り上げたアルバムです。Lalo Schifrin はこのアルバムで、ピアノ、アレンジを担当しました。


Silvia(Lalo Schifrin) / Lalo Schifrin(1963)

1963年、Lalo Schifrin のリーダアルバム『Piano, Strings And Bossa Nova』に戻ってこの曲を。ここでは美しいストリングスを書いています。後に CTI Records を興す Creed Taylor からみて、ラテン、ボサノバ志向の Lalo Schifrin の音楽スタイルは新鮮に映ったんだと思います。


Les Félins (Thème Principal)(Lalo Schifrin) / Lalo Schifrin(1964)

Theme From "Joy House" (Just Call Me Love Bird)(Lalo Schifrin-Peggy Lee) / Peggy Lee(1964)

Lalo Schifrin が初期に手掛けた映画音楽から。1964年フランス映画『危険がいっぱい』(LES FELINS)から2曲。監督は映画『太陽がいっぱい』(PLEIN SOLEIL、1960)のルネ・クレマン(Rene Clement)。主演はアラン・ドロン(Alain Delon)。サスペンス映画にはこういったクールなジャズが似合います。この映画からは他に Jimmy Smith によるオルガンが印象的な "The Cat" というナンバーも生まれています。同年、この曲に Peggy Lee が詩をつけて歌いました。アレンジも Lalo Schifrin が施しました。


Once A Thief(Dorcas Cochran-Lalo Schifrin) / Irene Reid(1965)

The Right To Love(Gene Lees-Lalo Schifrin) / Irene Reid(1965)

Return To Trieste(Lalo Schifrin) / Lalo Schifrin(1965)

アラン・ドロン主演の映画が続きます。1965年のアメリカ映画『泥棒を消せ』(ONCE A THIEF)から3曲。ボーカルの2曲はいずれもジョージア州出身のジャズシンガー、Irene Reid が歌いました。"Return To Trieste" はLalo Schifrin のピアノに美しいストリングスが聴けるインストナンバーです。サウンドドラック盤のプロデュースは Creed Taylor。


Reflections(Gene Lees-Lalo Schifrin) / Stan Getz(1964)

1964年のサックス奏者、Stan Getzのアルバム『Reflections』から表題曲。Creed Taylor プロデュース、Phil Ramone エンジニアで製作されたアルバム。アレンジは、Lalo Schifrin と Claus Ogerman が分け合って行いました。コーラスが艶っぽく、Stan Getz のサックスにも色香を感じます。


The Cincinnati Kid(Dorcas Cochran-Lalo Schifrin) / Ray Charles(1965)

1965年のスティーヴ・マックィーン(Steve McQueen)主演のアメリカ映画『シンシナティ・キッド』の主題歌。Ray Charles が主題歌を歌いました。旧知の Quincy Jones から紹介があったのだろうと思います。ここら辺から Lalo Schifrin 節が炸裂。この曲で Lalo Schifrin の存在が広く映画界でも知られるようになります。



*アメリカ映画『シンシナティ・キッド』(THE CINCINNATI KID、1965)

(次回に続く)


(富田英伸)

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