2021.06.05 - Magic Voice
Happier Than the Morning Sun Happier Than the Morning Sun
B. J. Thomas

Billy Joe Thomas (1972)

Magic Voicesシリーズ
2021年5月29日に亡くなった、B. J. Thomas さんのことを書いておきたいと思います。


朝の光よりも僕は幸せ。それは君に恋してるから。
希望溢れる B. J. Thomas の声。そして Stevie Wonder のハーモニカは心の奥で響き渡り、涙しているのも忘れてしまう。


今回は、1972年の B. J. Thomasのアルバム『Billy Joe Thomas』に纏わる話を。

当時、NHKFMで土曜、夕方にオンエアしていた、映画音楽評論家、関光夫さんがやっていた「ポピュラーアラカルト」という番組をよく聴いていたのですが、特に心に響いたのが、" Raindrops Keep Fallin' on My Head"(邦題「雨にぬれても」)でした。西部劇『明日に向って撃て!』(Butch Cassidy and the Sundance Kid)は当時、ビデオもなく殆ど、僕が住む地方都市では観ることがきませんでしたが、この「雨にぬれても」のメロディを聴いて、この映画をいつか観たいなあと思っていました。

僕が住む地方都市では、いわゆる輸入レコードを扱ったレコード店がありませんでした。しかし年1回に夏に、巡業で比較的大きなレコード店の軒先で、輸入レコードの販売が行われていました。物珍しさもあって、初めて見る輸入レコードを端から端まで眺めていました。「雨にぬれても」を歌っていた B. J. Thomas のアルバム『Billy Joe Thomas』が見つかりました。

褪せたような地味なジャケット。裏には曲名も書いてありません。輸入盤なので、シールドされていて、曲目等中身が確認できません。でも有名な曲、「雨にぬれても」は収録されているだろうとそのアルバムを思い切って買ってみました。

自宅に帰って、シールドを裂き、アルバムを開いた時の、あの独特の輸入盤のインクの匂いが鼻をつつきました。あの匂いは今でも忘れていません、大好きな匂い(笑顔)。中を確認したら、聴きたかった「雨にぬれても」は収録されていませんでした。残念だったのですが、後に大切なアルバムとなりました。

はじめは地味かなと思ったのですが、何度も何度も聴いているうちにだんだんと心に染みてくる。これはたぶん僕が過去一番聴いているレコードだと思います。

見開きのジャケットには参加ミュージシャン達のレコーディング風景がコラージュされているのですが、時が経つうちに名前と顔がだんだん一致してくるのがちょっとした僕の楽しみでした。そう、Barry Mann のことを初めて知ったのもこのレコード。そしてこのアルバムのクレジットはレコードを探す時やミュージシャンを知るためのいいガイドにもなっていました。




『Billy Joe Thomas』は1972年の作品で、プロデュースにあたったのは、Steve Tyrell と Al Gorgoni 。Al Gorgoni は、Chip Taylor(本アルバムにも参加)と " Just Us " というグループ、また Trade Martin を加えて " Gorgoni,Martin & Taylor " というグループを結成して活動していた人で、アコースティック・ギタリストとしても優秀なミュージシャン。

Steve Tyrell は Scepter Records のスタッフ・プロデューサーですが、1999年に、突如ソロ・アルバムを発表しました。このアルバムは、この2人の音楽的人脈より、楽曲を提供した作曲者自身が演奏やコーラスに参加しており、作家達が楽曲に込める想いは、 B. J. Thomas の素晴らしい歌唱によって充分に引き出されています。

Al Gorgoni(g.)、Kirk Hamilton(b.)、Alan Schwartzberg(dr.)、Glen Spreen(key. str-arr.)らの演奏に、作家陣である Paul Williams、Stevie Wonder、Barry Mann、Jimmy Webb、Carole King、Wayne Carson、Mark James、Jon Stroll、John Sebastian が参加。これだけバラエティで個性豊かな人々が参加していますが、サウンドの要になった Al Gorgoni や Glen Spreen の力量により内省的で落ち着いたトーンに仕上がっています。




アルバム『Billy Joe Thomas』は、僕が初めて買った輸入レコード。ザラついたセピア色のジャケの感覚、輸入アナログ盤独特の匂いは過去のものになってしまったけれども、Billy Joe の歌は褪せることなく僕の心に響いています。

B. J. Thomas さんが2021年5月29日に亡くなりました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

アルバム『Billy Joe Thomas』からこの2曲を。

Happier Than the Morning Sun(Stevie Wonder) / B. J. Thomas(1972)

Roads(Barry Mann-Cynthia Weil) / B. J. Thomas(1972)(1972)



レコーディング風景に写真掲載されているミュージシャン達(アルバム『Billy Joe Thomas』見開きジャケット)

Paul Williams
Al Gorgoni
Barry Mann
Stevie Wonder
The Blossoms
等々
(富田英伸)

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