2021.05.08 - Songwriter
Travelin' Man Travelin' Man
Jerry Fuller

(1961)

(2021年5月2日SSB『棚からひとつかみ』で、Gary Puckett & The Union Gap の "Over You" がかかったので、2016年11月14日分をアップグレードして再アップします。)


Songwriterシリーズ
今回は Jerry Fuller を取り上げます。

Jerry Fuller は1950年代後半からシンガー、ソングライター、プロデューサーとして長く活躍してきた偉大なミュージシャン。今回は2回に渡り、特にソングライターとしての Jerry Fuller について書いていきたいと思います。

Jerry Fuller は1938年、テキサス州フォートワースで生まれました。10代の頃から兄達と一緒に歌っていたそうです。1950年代後半にLAで音楽業界に入り、デモシンガーとしてそのキャリアを出発しました。1959年、Challenge Records から有名な楽曲 "The Tennessee Waltz" をロカビリー・スタイルにしてシングル・リリース。これがヒットになります。1959年同年に Jerry Fuller 自身が書いた "Betty My Angel" をリリース。その後も基本的には Jerry Fuller 自身が書いた曲で"シンガー"として活躍することになります。

Challenge Records には当時、"Tequila"(テキーラ)のヒットで知られるロックンロール・バンド、The Champs が在籍しており、The Champs と一緒にツアーしていた時にまだ無名であった Glen Campbell と知り合います。(後に Glen Campbell は The Champs でも演奏していたようです)。その後2人は楽曲共作していく盟友となります。

Jerry Fuller は Glen Campbell の助けを借りながら、Sam Cooke のために作曲活動します。ここで生まれた楽曲が "Travelin' Man"。残念ながら Sam Cooke の手に渡りませんでしたが、Ricky Nelson が歌い、1961年全米1位ゴールド・ディスクに輝きます。その後、Jerry Fuller は Ricky Nelson に多くの楽曲を提供していくことになります。

その Ricky Nelson 以外にも楽曲制作も行っています。一部を挙げてみると、後にセッションコーラス・グループで名を上げる The Blossoms、Johnny Crawford、The Champs といった人達。特に The Champs では Glen Campbell と一緒にコーラスなども手伝っていたようです。

2年程の兵役後、一時期、ニューヨークに住んでいた Jerry Fuller はビートグループ、The Knickerbockers を見い出し、彼らのデビューの手助けをしています。彼らのデビュー先は彼の古巣である LAの Challenge Records でした。

LAに戻った Jerry Fuller は本格的に音楽活動を再開。1967年、大手レコード会社である Columbia Records のプロデューサーとなります。そこで最初に任されたグループが、Gary Puckett & The Union Gap でした。

ここでは一部ではありますが、主に1960年代に Jerry Fuller が世に送り出した楽曲を聴いてみたいと思います。


Betty, My Angel (W. C. Silva-J. Fuller) / Jerry Fuller (1959)

1959年、デビューとなった "The Tennessee Waltz" に次いでリリースしたシングル。早速、自作の楽曲を録音しています。聴いてわかる通り、Jerry Fuller はとてもいい声をしています。その後の Calenge Rocords からリリースしたシングルは殆ど自作の曲となります。シンガーソングライターの走りとなった人です。


Travelin' Man(Jerry Fuller) / Ricky Nelson (1961)

Jerry Fuller が書いた曲でもっとも有名なナンバー。アメリカの誰にでも愛されたこの曲、エバーグリーンです。当初通り、Sam Cooke が歌っていたらアメリカの音楽の歴史は大きく変わっていたかもしれません。


Young World (Jerry Fuller) / Ricky Nelson (1962)

Jerry Fuller が Ricky Nelson に書いたナンバーの中でも、 "Travelin' Man" と同じくらい好きな曲。Jerry Fuller が書く曲はカントリー調ではあるけれども、都市部に住んでいる人々にも受け入れられるような親しみやすさがあるような気がします。顔よし、声よしのRicky Nelson 。当時絶大な人気あった Ricky Nelson にバックにいた "ソングライター" Jerry Fuller の存在はとても大きいです。


Desire (Jerry Fuller-Lon Dobro) / The Trophies (1961)

ちょっと珍しい音源を。この Doo Wop グループはいわゆるスタジオのみのでっちあげのグループですが、メンバーが凄いです。そのメンバーとは....、Jerry Fuller、Ricky Nelson、Glen Capmbell、そして一緒に音楽活動していた Dave Burgess の4人。Doo Wop のスーパー・グループ。きっと仲間でハモリたかったのでしょう。


For Your Sweet Love (Jerry Fuller) / The Cascades (1963)

For Your Sweet Love (Jerry Fuller) / Rick Nelson (1963)

お馴染みの The Cascades の "For Your Sweet Love"。1963年、RCA Records からリリース。アレンジは Perry Botkin, Jr.。
オリジナルは同年1963年にリリースした Rick Nelson に提供された曲でした。聴き比べを。


Hollywood Star (Jerry Fuller) / Jerry Fuller (1964)

Jerry Fuller 自身のシングルに戻ってみましょう。1964年 Challenge Recordsからリリース。聴いてわかる通り、 Phil Specter サウンドを意識した音作りとなっています。Jerry Fuller は当時流行した他の音楽シーンにも研究熱心だったのがうかがい知れます。そのことは後のプロデューサーとなった時にも活きてきたのではないでしょうか。


Gary Puckett & The Union Gap - Young Girl (Jerry Fuller) / Gary Puckett & The Union Gap (1967)

Gary Puckett & The Union Gap のデビューはカントリー畑出身の Jim Glaser-Jimmy Payne のペンによる "Woman, Woman" (1967)。そして第2弾はプロデューサー Jerry Fuller が書き下ろしたこの "Young Girl" でした。 Billboard の最高2位を記録。その後も "Lady Willpower"、"Over You" と Jerry Fuller が書いた曲で立て続けにヒットを出しました。
Columbia Records でプロデューサーとして再出発した Jerry Fuller 。順風満帆なスタートとなりました。Jerry Fuller が書く曲も大きく変化をみせ、都会的でスケールの大きい楽曲を書くようになります。一時期、LAを離れ、NYに住んでいたいたことも大きかったのかもしれません。

*写真は左から Ricky Nelson、Jerry Fuller、Glen Campbell

(後半に続く)

(富田英伸)

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