2021.01.31
He's A Rebel He's A Rebel
The Crystals

Go!Go!Niagara Phil Spector 特集 (1962)

Phil Spector が亡くなりました。大滝詠一のゴー・ゴー・ナイアガラを通してスペクターサウンドを振り返る第2弾、クリスタルズです。

ゴー・ゴー・ナイアガラ第83回 クリスタルズ特集
1977年1月10日放送オンエアリストは Go!Go!Niagaraデータベースで「各自で」お確かめください

クリスタルズの Philles Records でのシングルはこの9曲でした。

There's No Other Like My Baby - Philles 100
Uptown - Philles 102
He Hit Me (It Felt Like A Kiss) - Philles 105
He's A Rebel - Philles 106
He's Sure The Boy I Love - Philles 109
Da Doo Ron Ron - Philles 112
Then He Kissed Me - Philles 115
Little Boy - Philles 119
All Grown Up - Philles 122

この日の放送では、シングル全9曲とそのカバー等が紹介されました。

クリスタルズはフィレスレコードの最初のアーチストとして順調な活躍をみせます。

  1. There's No Other Like My Baby (Spector-Bates) / The Crystals (1961) - Philles 100
"There's No Other" この曲はクリスタルズのデビュー曲であるとともに、フィレスのデビューともなりました。20位まであがりました。好調なスタートをきったわけです。-Each
  1. Uptown (Mann-Weil) / The Crystals (1962) - Philles 102
この曲も13位、なかなか好調な滑り出しだったのですね。フィレスレコードはクリスタルズを先頭に持ってきて売りはじめたのですが、スペクターは Shirelles のようなグループをもうちょっと若くしてやったみたいなんです。-Each
  1. He Hit Me (It Felt Like A Kiss) (Goffin-King) / The Crystals (1962) - Philles 105
3作目はキャロルキングの曲ですがこれがちっともはやらなかったのです、詩がショッキングだったのかもしれませんね。はやりそうにないというのもわかりそうな気がしますが。-Each


3曲シングルをリリースしたところで、ジーン・ピットニーが登場します。
  1. He's A Rebel (Gene Pitney) / The Crystals (1962) - Philles 106
フィル・スペクターはフィレスレコードを始める前にも、自分たちでやった Teddy Bears から、Curtis Lee、Paris Sisters など、いろんな人たちをプロデュースしていました。なかでもジーン・ピットニーの "Every Breath I Take"、あれはすばらしくよくできた作品ですね。キング・アンド・ゴフィンの曲もさることながら、実にあの頃のドラミング、エコー、あの時にすでにフィレスサウンドが出来上がっているのではないかと思います。ジーン・ピットニーとのコンビが非常にうまくいっていたと思うのです。ここで "He Hit Me" があたらないので、ジーン・ピットニーの登場するわけでございまして、ジーン・ピットニーの書いた曲がなんとフィレスレコードの初のナンバーワンヒットになるのでございました。-Each


フィル・スペクターは、とてもダーレン・ラブを重用していました。
"He's A Rebel" にはミステリアスな事実が隠されているのでありまして、この曲のリードヴォーカルをとっていたのがダーレン・ラブ。Bob B. Soxx & the Blue Jeans のリードシンガーや、ソロシンガーとして後にフィレスレコードからでた人ですが、この曲でクリスタルズをバックにリードをとっていたんです。
最後の「ノーノーノー」はダーレンラブでなければ歌えない。クリスタルズのメンバーは当時18歳から16歳。まったく若くてどうしようもなかったのではという気もするんですよ。ちょうどその時に現れたのがダーレンラブだったと思います。フィレスでいちばん歌唱力があるのがダーレンラブ。彼女に歌わせたということになるのです。Bob B. Soxx の "Zip-a-Dee-Doo-Dah" はこのすぐ後、フィル・スペクターは彼女を気に入って "(Today I Met) The Boy I'm Gonna Marry" でソロシンガーとしても一本立ちさせます。その辺に "He's A Rebel" に隠された、秘密が現れているのではないかと思います。まあ、同じレコード会社ですから取っ替え引っ替えというのはどってことないと思いますね。


そのダーレン・ラブですが、"He's A Rebel" だけでなく、つづく "He's Sure The Boy I Love" のヴォーカルも彼女だったということが現在は確定しています。当時情報のない中イーチ氏の耳は確かでした。
  1. He's Sure The Boy I Love (Mann-Weil) / The Crystals (1962) - Philles 109
正真正銘のクリスタルズに戻って "He's Sure The Boy I Love" を聴いていただきました。じっくり聴いてみると、これもダーレンラブが歌っている気がしないでもないですね、なんとも。"He's A Rebel" は完全にわかっているんですけどね。


この後ダーレンラブはついに彼女名義でシングル "(Today I Met) The Boy I'm Gonna Marry" -Philles 111 をリリースします。
当初このレコード番号 111 はクリスタルズに与えられていたんですが、なぜかダーレンラブに変わってるんですね。最初クリスタルズからだんだんダーレンラブに心が移っていったフィルスペクターの気持ちがわかりますけどね。


そして「クリスタルズが人気を不動のものにした」と紹介される "Do Doo Ron Ron" が発表されます。
  1. Da Doo Ron Ron (Greenwich-Barry-Spector) / The Crystals (1963) - Philles 112
  2. Da Doo Ron Ron / Ian Matthews (1972)
  3. Da Doo Ron Ron / Jack Nitzsche (1963)
  4. Da Doo Ron Ron / The Raindrops (1963)
The Crystals No1 Hit! "Da Doo Ron Ron" 1963でしたー。
レインドロップスはこの曲の作曲者、ジャックニッチェはアレンジャー、オリジナルの人はおもしろくやるもんです。
クリスタルズは "Da Doo Ron Ron" でピークを迎えるわけです。
この好調が次にも続きました。-Each


好調を受けての次なるシングルは "Then He Kissed Me" でした。
  1. Then He Kissed Me (Greenwich-Barry-Spector) / The Crystals (1963)- Philles 115
  2. Then I Kissed Her / The Beach Boys (1965)
"Then He Kissed Me" -Philles 115 はベスト10に入りました。飛ぶ鳥を落とす勢いのすごいクリスタルズなのですが、この後ガクッとだめになっちゃうんですね。
これを考えてみますと、次の 116 が "Be My Baby"。ヴェロニカはその後フィルスペクターと結婚して、ロニー・スペクターになるんですね。その辺を考えますといろんなことがありますけど、人間はどうでもいいんです。作る音楽がよければ。

このあと、ジョンソンとライトは素行が悪くてもグランドで活躍してくれればいいという長嶋監督のコメントがなぞの紹介をされていました。彼らは実質上「巨人初の助っ人」でライト投手はよく新聞を賑わしていました。この時1977年1月、長嶋政権3年目のキャンプイン前の放送です。


続くシングルはジェフとエリーの作でしたが、クリスタルズの快進撃は前作までだったようです。「全然はやりませんでしたが聴いてみましょう」と紹介されます。
  1. Little Boy (Greenwich-Barry-Spector) / The Crystals (1964) - Philles 119
これはレコーディングセッションとしてはとても成功していますが、軽い特徴のクリスタルズとしてはちょっと重々しく、ロネッツっぽくなっていますね。それが当たらなかった理由になっているような気がします。これの不発がかなり痛かったと思います。



さらにクリスタルズは "All Grown Up" というシングルをリリース。これも不発でリリースがなくなってしまいました。参考にしたというチャック・ベリーの曲とともに。
  1. Almost Grown / Chuck Berry (1959)
  2. All Grown Up (お蔵入りver.) / The Crystals (1964)
  3. All Grown Up (Greenwich-Barry-Spector) / The Crystals (1964) - Philles 122
これが Philles の122番でこれ以降クリスタルズは表立った活動をしませんでした。末期は寂しい感じでした。


"He's A Rebel" と "Da Doo Ron Ron" の楽しい楽曲のクリスタルズ。ここにダーレン・ラブとジーン・ピットニーを交えたドラマがありました。最後に同日の放送からイーチにしめてもらいましょう。
よくかんがえると、"Da Doo Ron Ron"、"Then He Kissed Me" はジェフとエリー、ロネッツの "Be My Baby" と "Baby I Love You" もジェフとエリー、やっぱりフィレスレコードではジェフとエリーが一番重要な役割を果たというのがぼくの見解です。-Each


次回は、Bob B. Soxx & Blue Jeans とダーレン・ラブを予定しています。

その1:The Ronettes
その3:Bob B. Soxx & Blue Jeans / Darlene Love

(たかはしかつみ)

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