2021.01.23 - Radio Program
Be My Baby Be My Baby
The Ronettes

Go!Go!Niagara Phil Spector 特集 (1963)

Phil Spector が亡くなりました。2021年1月16日 享年81歳。カリフォルニアで20年近く服役したままで、死因は新型コロナによると報じられています。

我が国におけるスペクターはしばし大滝詠一氏と結び付けられて語られますが、少なくとも1980年代以降の大滝のスペクターへの影響は大きいものでした。イーチ大滝のラジオ番組「ゴー・ゴー・ナイアガラ」で1977年の1月に5回に渡ってスペクター特集が組まれした。ロネッツから始まる特集。そこから、スペクターの音楽を振り返りたいと思います。


ゴー・ゴー・ナイアガラ第82回 ロネッツ特集
1977.1.3@ゴーゴーナイアガラデータベース

ロネッツの Philles Records でのシングルは、下記の8曲。たった8曲だったのですね。

Be My Baby - Philles 116
Baby I Love You - Philles 118
(The Best Part Of) Breakin' Up - Philles 120
Do I Love You - Philles 121
Walking In The Rain - Philles 123
Born To Be Together - Philles 126
Is This What I Get For Loving You - Philles 128
I Can Hear The Music - Philles 133

このロネッツ特集では13曲がオンエア。上記シングル8曲が全て紹介され、さらにPhilles 以前の2曲、他アーチストによるカバー3曲を添えて、とてもためになるプログラムでした。以降放送に沿って紹介していきましょう。

リリース順に放送されます、まずは最強のファースト、セカンドシングルです。

  1. Be My Baby (Greenwich-Barry-Spector) / The Ronettes (1963) - Philles 116
  2. Baby I Love You (Greenwich-Barry-Spector) / The Ronettes (1963) - Philles 118
Ronnie and the Ronettes! デビューヒットと第2弾ヒット曲を聴いていただきました。どちらも Jeff Barry and Ellie Greenwich の作品です。-Each


続く2曲はカバー。M3はちょっとふざけたカバーで「珍しいので」ということで、M4は「Jeff Barry プロデュース」ということで紹介。
  1. Be My Baby / The Young ideas (1968)
  2. Baby I Love You / Andy Kim (1969)
"Be My Baby" でデビューしたロネッツですが63年、僕は中学3年の秋から冬になりかけの時でした。なんとも強烈なベースドラムのイントロにはぶっ飛びました。それから3ヶ月くらいでビートルズの「抱きしめたい」ですからあの頃はいい時代でしたねー。-Each


ここでスペクター前のシングル2作が紹介されます。
  1. I Want A Boy (Robert Dinu) / The Ronettes (1961)
1961年の11月くらいに Colpix からリリースされました。この頃は Ronnie and the Relatives と名乗ってました。フィル・スペクタープロデュースではありませんでしたが、彼女の色気ゴエは変わっていませんな、なんとも。 -Each
Colpix からもう一枚、ここからは The Ronnetes という名前に変わっています。-Each
  1. I'm On The Wagon (Seneca-Steward) / The Ronettes (1962)
1961年は The Crystals が1枚目 "There's No Other"♪ を出しています。この頃はもうクリスタルズが活躍していたのですね。最初の100番です、Philles は 136 まででしたっけ、"Be My Baby" は 116 ですから途中から出てきたのです。
Philles 前はぜーんぶ不発でした、プロデューサーは大きいです。-Each


フィレスにもどって第三弾、四弾がオンエア。
  1. (The Best Part Of) Breakin' Up (Anders-Poncia-Spector) / The Ronettes (1964) - Philles 120
  2. Do I Love You (Anders-Poncia-Spector) / The Ronettes (1964) - Philles 121
この辺は中ヒットというふうに終わってしまいました。アンダース&ポンシアは弟子という形でいましたが、なんとなくわかるでしょ、大ヒットしない感じが。- Each
スペクターには Phil Spector Records、Phi-Dan、Annette などのレーベルもありました。Niagara も軌道に乗ったら『華厳』とか『養老』とかを本気で作ろううと思ってます。-Each
のちに Ken-on がレーザーディスクで、Yoo-Loo が満里奈のダブルオーで実現されました。

そして、本日の山場、である "Walking In The Rain" です。イーチ氏がどれだけこの曲を聴き込んできたかがよくわかる解説です。
  1. Walking In The Rain (Mann-Weil-Spector) / The Ronettes (1964) - Philles 123
"Walking In The Rain" これぇーはいいねえ。ロニー彼女自身の話ではこれがベスト。本当にこれはいいんですよ、フックラインのところでバックの音が大きくなって歌がオフになっていき、雨に打たれて心がしぼんでいく感じを表している。そこがウォーカーズと違いで、フィルスペクターの手にかかっては、ぼくはウォーカーまでもいかないですが。-Each
ヴィクターからステレオで出ています。昔はモノだったんですけど、スペクターはでっかいボリュームで聞いてください。非常にエコーが深いですから、奥の方まで耳をそばだてて、音を大きくして聞くことをお勧めします、いろんな音が入っています。-Each


当時何が起きていたのか?イーチ得意のレコード番号からの推理です。興味深い。
Philles 123 は Darlene Love の "Stumble And Fall" の予定だったんですよ。それが急遽 123 ででてくる。やったーと思って番号なんて無視して出しちゃったんだじゃないでしょうか。-Each
マン=ウェイルが出てきました。Philles 124 はライチャスの "You've Lost That Feelin'" です。この辺が一番売れた、そういう時期だったのではないかと思います。-Each


"Walking In The Rain" 後は退潮傾向のの2曲です。
  1. Born To Be Together (Mann-Weil-Spector) / The Ronettes (1965) - Philles 126
マン=ウェイルがもう一度出てきます。あまりヒットしませんでした。ライチャスに主流をうばわれていました。-Each
  1. Is This What I Get For Loving You (Goffin-King-Spector) / The Ronettes (1965) - Philles 128
ロネッツでは珍しい、キャロル・キングです。このへんとなると、なんというか、、ですね。
ロネッツもたくさん録音していたんですが、なんで出さなかったのでしょうかね、不可解なところですが。だんだんやる気がなくなっちゃったのではないかと思います。-Each


ロネッツのフィレス最後のシングルは、あの素晴らしい1曲でした。
  1. I Can Hear The Music (Greenwich-Barry-Spector) / The Ronettes (1966) - Philles 133
1年間くらい出しませんでした。そして、翌年66年の10月になって1曲出したんです。100位に入ってそれだけでした。ロネッツもがっくりでした、それも悪い曲じゃないんですよね。-Each
  1. I Can Hear The Music / The Beach Boys (1969)
Beach Boys のカバーは、非常にすばらしいものだったと思っております。来週は Crystals を特集したいと思います。-Each



ロネッツは、ジェフとバリーの "Be My Baby" と "Baby I Love You"、そして マン=ウェイルの "Walking In The Rain" という永遠の名作を軸に語られることに異論はないところでしょう。さらに前者の直後にクリスマスアルバム『A Christmas Gift for You from Phil Spector』が(1963.11)、後者の直後にロネッツの唯一のアルバム『Presenting the Fabulous Ronettes featuring Veronica』が発表されています(1964.11)。イーチが紹介した8枚のシングル曲とこの2枚のアルバムでロネッツのほとんどを聴くことができます。フィル・スペクターとロネッツは本当に密度の濃い1963−64年を過ごしたのでした。


次回はクリスタルズを予定しています。

その2:The Crystals
その3:Bob B. Soxx & Blue Jeans / Darlene Love

(たかはしかつみ)

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