2021.01.12 - Songwriter
The Shadow Of Your Love The Shadow Of Your Love
Ted Daryll

(1966)

(2021年1月10日SSB「新春放談」で、Ted Daryll が書いた Bobby Freeman "The Shadow Of Your Love" がかかりましたので)

Songwriterシリーズ
Ted Daryll というソングライターを取り上げます。
元々は、ドラマーだった人ですが、ソングライターになってから、とっても素敵なバラード曲を多く書いている人です。

Ted Daryll についての詳細バイオ等は不明ですが、10代の頃に、Chip Taylor と一緒にバンド活動をしていました。Ted Daryll はドラムを担当。その頃、Chip Taylor は本名の Wesley Voight と名乗っており、The Town & Country Brothers という3人グループを結成。このグループに Ted Daryll は "Sandy, Sandy" を書きます。曲は本国アメリカではヒットしませんでしたが、オーストラリアでかなりヒットしたそうです。

1960年代に入って Chip Taylor がソングライターとして活動を開始すると、Ted Daryll も Chip Taylor に追随してソングライターとして活動するようになります。そして2人の共作曲も多く生まれます。Ted Daryll はJay & The Americans、Dusty Springfield、Reparata And The Delrons ‎などに楽曲を書き、職業ソングライターとなります。

1960年代中期、Chip Taylor から1人のミュージシャンを紹介されます。そのミュージシャンは Billy Vera で、彼は1965年、Chip Taylor と共作し、Barbara Lewis ‎に提供した "Make Me Belong To You" が小ヒットになっていました。Ted Daryll と Chip Taylor は Billy Vera をミュージシャンとしてプロデュース、2人によるプロデュースは実り、Billy Vera はAtlantic Records の Jerry Wexler に認められるミュージシャンとなっていきます。また Billy Vera と Ted Daryll の2人はソングライターチームとしても活動を開始します。

Ted Daryll はソングライター活動と続けながらミュージシャンとしても活動。1960年中期には後に Salt Water Taffy というグループを結成することになる Rod McBrien と The Eastern Scene というグループで活動しました。

今回は、1960年中期以降、Billy Vera と活動していた時代、それ以降の楽曲を聴いていきたいと思います。1960年代前半、Chip Taylor と活動した時期はまたあらためて。


I've Been Here Before(Ted Daryll-Billy Vera) / Peggy March(1968)

1968年にアイドルシンガーを脱皮した Peggy March に提供した楽曲。Billy Vera との共作曲です。プロデュースは Ted Daryll が行っています。とっても切なく美しいバラードです。Lee Holdridge のオーケストレーションも素晴らしいです。この曲でノックアウトされ、Ted Daryll の名前が脳裏に刻まれました。


Thinking Through My Tears(Ted Daryll-Billy Vera) / Peggy March(1968)

これも同年、Peggy March に提供した楽曲となります。ちょっと複雑な構造をした曲です。これもプロデュースは同じく Ted Daryll が担当。アレンジは後に Chip Taylor と Just Us、Gorgoni, Martin & Taylor を組むことになるギターリストの Al Gorgoni が担当しています。


I Had A Dream I Lost You(Ted Daryll) / Angels(1967)

Ted Daryll は1967年、1960年代初期3人組アイドルガールグループだった Angels をプロデュースしています。Ted Daryll の単独クレジット作品で素敵なバラードナンバーです。こちらのアレンジは Chip Taylor の人脈で、Gorgoni, Martin & Taylor の 今度は Trade Martin が担当しています。


It's Here For You(Ted Daryll) / Freda Payne(1966)

1966年、 Freda Payne ‎のアルバム『How Do You Say I Don't Love You Anymore』に収録された曲。これも Ted Daryll 単独クレジット作品で、Ted Daryll らしい憂いを持ったバラード曲です。この人が書くバラードはどこか切なさがあります。元々ドラマーだったとは思えないです。


The Shadow Of Your Love(Ted Daryll) / The Blue Eyed Soul Featuring Billy Vera(1966)

The Shadow Of Your Love(Ted Daryll) / Bobby Freeman(1966)

1966年、The Blue Eyed Soul Featuring Billy Vera ‎の名義でリリースされた作品。Ted Daryll 単独クレジット作品で、プロデュースは盟友である Chip Taylor が担当しました。Billy Vera はボーカリストとしても才能を発揮しています。
西海岸では同年、Bobby Freeman がシングルリリースしました。アレンジは Shelby Flint "Magic Wand" を書いた Hank Levine。プロデューサーの Joe Wissert が見つけてきてこの曲を取り上げたんだと思います。


When Do We Go(Ted Daryll-Chip Taylor) / Billy Vera & Judy Clay(1967)

Atlantic Records は、Billy Vera と Dionne Warwick のいとこにあたるゴスペルシンガー、Judy Clay と組ませ、シングル及びアルバムをリリースします。プロデュースは Chip Taylor-Ted Daryll が担当しました。楽曲も Chip Taylor, Ted Daryll の曲です。2人とも身震いするほど素晴らしい歌唱です。


Let Me Be The One You Hit On(R. Heid-T.Daryll-W.Heller) / Shirley Alston(1977)

1970年代に入ってからの作品。1960年代初期に活躍したガールグループ The Shirelles に在籍していた Shirley Alston のアルバム『Lady Rose』に収録された楽曲。Billy Vera のグループ、Billy Vera Band がリズムセクションを担当しています。


This is Forever(Ted Daryll) / Major Harris(1978)

これも1978年の作品。 Major Harris ‎のアルバム『How Do You Take Your Love』に収録された作品。このアルバムは Jerry Ragovoy がプロデュースした作品で、Jerry Ragovoy はかつて Chip Taylor と共作をしていた間柄でした。もしかすると、Chip Taylor を経由して、楽曲制作の依頼があったのかも知れません。


Let's Be More Than Friends Tonight(Ted Daryll) / Eastern Scene(1966)

Let's Be More Than Friends Tonight(Ted Daryll) / Pebbles & Shells(1966)

最後に Ted Daryll が在籍した3人組グループ、Eastern Scene が1966年にリリースしたシングルを。翌年には Gary Lewis and The Playboys が取り上げています。1966年には、Pebbles & Shells というグループが取り上げています。プロデュースをしたのは Eastern Scene のメンバーであった Rod McBrien。Rod McBrien はその後、Eastern Scene のもう1人のメンバー、John Giametta と一緒に Salt Water Taffy を結成することになります。


* 写真:Ted Daryll(左、ドラムス)、Chip Taylor(中)、Greg Richards(右)

* 上記写真:Ted Daryll(左)、Chip Taylor(右)



(富田英伸)

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