2020.07.23 - Cinema Music Composers
Suicide is Painless Suicide is Painless
Johnny Mandel

(1970)

Cinema Music Composers シリーズ
Johnny Mandel の続きです。


1958年の映画『私は死にたくない』(I Want To Live!) の音楽を担当したことによって、Johnny Mandel には映画製作スタッフからジャズスタイルの楽曲を求めて、映画音楽の制作の依頼が舞い込むようになります。

1964年に映画『卑怯者の勲章』(The Americanization Of Emily) の音楽を担当。映画の方はそれ程話題になりませんでしたが、。テーマ曲 "Emily" はとっても美しい楽曲で、多くのジャズシンガー達がこの曲をこぞって取り上げ、Johnny Mandel は作曲家としても認められる存在となっていきます。

1965年の映画『いそしぎ』(The Sandpiper) の音楽を担当し、テーマ曲となった "The Shadow of Your Smile" は前作以上に人気の高い曲となり、ジャズのスタンダードナンバーになっていきます。

その後も映画『動く標的』(Harper、1966)、映画『アメリカ上陸作戦』(The Russians Are Coming the Russians Are Coming、1966)、映画『殺しの逢びき』(An American Dream、1966)、映画『殺しの分け前』(Point Blank)とジャズスタイルの音楽を担当しました。

1970年にはロバート・アルトマン監督作品で、戦争をブラックユーモアで皮肉った映画『マッシュ』(M*A*S*H) の音楽を担当。ここから生まれた曲、"Suicide is Painless" はベトナム戦争時代を反映してフォークソング的要素もあり、評判となります。テレビシリーズの『マッシュ』(M*A*S*H) でもこのテーマ曲が使われるようになります。

1970年代の映画音楽の代表作としては映画『さらば冬のかもめ』(The Last Detail、1973)、映画『午後の曳航』(The Sailor Who Fell from Grace with the Sea、1976)、映画『アガサ/愛の失踪事件』(Agatha、1979) などがあります。
映画音楽制作と同時に、アレンジャーとして、Quincy Jones、 Manhattan Transfer、David Sanborn、Barbra Streisand、Michael Jackson、Natalie Coleといったミュージシャンのレコード制作にも加わりました。

2020年6月30日、Johnny Mandel は94才で亡くなりました。今回は作曲家としての Johnny Mandel が作ってきた曲を聴いてきましたが、主に長きに渡ってジャズの編曲家として活躍しました。それはまたの機会に。Johnny Mandel が作った曲、とても海の風景が似合います。


Suicide is Painless (M.Altman-J.Mandel) From "M*A*S*H" (1970)

1970年公開の映画『マッシュ』(M*A*S*H) の主題歌。フォーク調の曲ですが、切なさが残る曲です。歌っているのは西海岸で活動していたスタジオミュージシャンである以下の4人です。

John Bahler
Tom Bahler
Ron Hicklin
Ian Freebairn-Smith (Singers Inc.)


Cinnamon and Clove (Johnny Mandel-A&M.Bergman) / Sérgio Mendes & Brasil '66 (1968)

1968年の Sérgio Mendes & Brasil '66 のアルバム『Equinox』に提供した1曲。Lani Hall のボーカルをフィーチャーして。"The Shadow of Your Smile" の影響で、ボサノバ調の曲が多い感じがしますが、意外と少ないんですね。


Close Enough For Love (Johnny Mandel-Paul Williams) / The Singers Unlimited (1981)

この曲は1979年の映画『アガサ/愛の失踪事件』(Agatha) のために作れられた曲です。詩を書いたのは映画と関係が深いシンガーソングライターの Paul Williams です。今回はBonnie Herman のボーカルをフィーチャーして、The Singers Unlimited のバージョンで。


Sea Dream From "THE SAILOR WHO FELL FROM GRACE WITH THE SEA" / Johnny Mandel (1976)

1976年の映画『午後の曳航』から。原作は三島由紀夫で舞台をイギリスのとある港町に移して撮られました。Johnny Mandel の音楽も海の風景に寄り添い詩情豊かに響きました。


A Christmas Love Song (Johnny Mandel-A&M.Bergman) / Barbra Streisand (2001)

ここからは映画のために書かれたものではなく、縁のあるミュージシャンに提供された楽曲を聴いていきたいと思います。まずは Barbra Streisand の2001年のクリスマスアルバム『Christmas Memories』に提供した曲。クリスマスの季節らしいとってもロマンティックな曲です。流れるようなストリングスも美しいです。


You Are There (Johnny Mandel-Dave Frishberg) / Bob Dorough (1999)

1999年に作られた Johnny Mandel とDave Frishberg との共作曲です。ポップス・ファンの間では Spanky & Our Gang のアレンジ等で知られる Bob Dorough が弾き語りで歌っています。


Where Do You Start (Johnny Mandel-A&M.Bergman) / Kenny Rankin (2002)

最後にこの曲を。Kenny Rankin の2002年のアルバム『A Song For You』に提供した曲。Kenny Rankin のギターが静かに鳴り、あの優しいボーカルが聴こえてきます。Johnny Mandel のメロディは Kenny Rankin の声にとっても合います。とっても好きな曲。

(富田英伸)

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