2020.06.02 - Songwriter
Close Your Eyes Close Your Eyes
Chuck Willis

(1955)

(2020年5月31日SSB「山下達郎 おうちカラオケ&おうちアカペラで棚からひとつかみ」で、"Close Your Eyes" がかかったので)


Songwriterシリーズ
Chuck Willis を取り上げます。

今回は、Chuck Willis が書いた楽曲、"Close Your Eyes"、そしてブルース・クラシックとなった曲達を聴いていきたいと思います。

Chuck Willis こと Harold Willis は1928年(1926年の説もあり)、ジョージア州アトランタ生まれています。アトランタ中心に南部で音楽活動をしていました。
アトランタのラジオ局、WGSTのDJだった Zenas "Daddy" Sears という人物によって見い出され、1951年に Columbia Records 傘下の Okeh Records と契約、2枚程のシングルをリリースします。翌年に "My Story " という曲をリリース、それを Lula Reed、Margie Day といったシンガーが歌い、ソングライターとしても注目され始めます。1954年には "Oh What A Dream" という曲を Ruth Brown、Patti Page といった大物シンガーが取り上げました。

1956年に Okeh Records から Atlantic Records に移籍。1920年代のアトランタに伝わるブルースナンバーに題材を求めた "C. C. Rider" が Billboard R&B chartの1位を獲得。このバージョンがきっかけに、この曲は後に LaVern Baker、Mitch Ryder & the Detroit Wheels、Animals、Elvis Presley 等によって歌い継がれていきます。その後、ソングライターとして、The Clovers、The Five Keys、The Cadillacs といった Doo Wop グループに楽曲を提供していきます。

1957年にリリースした Fred Jay-Art Harris 作の "What Am I Living For" も Billboard R&B chartの1位に輝きます。しかし翌年の1958年4月、胃の手術中にこの世を去ってしまいました。30才の若さでした。1962年に Atlantic Records からメモリアルアルバム『I Remember Chuck Willis』がリリースされました。


Chuck Willis が書いた楽曲、"Close Your Eyes " がリリースされたのが1955年。その1955年に以下の3つのミュージシャングループが歌いました。今日はここから聴いてみたいと思います。


Close Your Eyes(Chuck Willis) / The Admirals(1955)

1955年、King Records からリリース。The Admirals は前身、The Sultans と名乗っていた Doo Wop グループで、メンバーには後にソロシンガー、ソングライターに転身する Eugene McDaniels(Gene McDaniels) が在籍していました。Eugene McDaniels とソングライティングチームの Billy Barnes もこのグループに在籍していた人です。


Close Your Eyes(Chuck Willis) / The Five Keys(1955)

1955年、Capitol Records からリリース。 The Five Keys ‎は1950年初頭、ゴスペル音楽を源流に Rudy and Bernard West の兄弟中心に結成された Doo Wop グループ。以前は Aladdin Records からレコードリリースしていましたが、1954年に大手の Capitol Records に移籍しています。このバージョンが U.S. R&B chart の5位となります。


(Close Your Eyes) Take A Deep Breath(Chuck Willis) / Eydie Gorme And Steve Lawrence(1955)

1955年、Coral Records からリリース。‎Eydie Gorme、Steve Lawrence 夫妻による歌唱です。男女のデュエットは後述する Peaches and Herb のバージョンの原型が見られます。タイトルは"タメイキ"を意識して、"(Close Your Eyes) Take A Deep Breath" となりました。


Close Your Eyes(Chuck Willis) / Peaches and Herb(1967)

1967年、Date Records からリリース。Herb Fame と Francine "Peaches" Hurd Barker との男女デュオグループ。R&B chart の4位を記録しました。アレンジは Bert Keyes が担当しました。


続いて、"C. C. Rider"の聴き比べです。
Chuck Willis の最大のヒット曲、1956年リリースの"C. C. Rider"。その時のシングルの作詞曲クレジットには Chuck Willis と記載されていたため、その後の多くのミュージシャンが取り上げた時も Chuck Willis がクレジット記載されています。この曲が誕生した頃を含め3曲、聴き比べしてみたいと思います。

See See Rider Blues / Gertrude "Ma" Rainey(1924–1925)

1920年代にジョージア州アトランタで歌われたこのブルース曲が原型、作者である女性 Ma Rainey が歌う音源が残っています。故郷のアトランタで Chuck Willis は幼い頃、すぐ両親と離れ、祖母の元で育ったそうです。その頃に聴いていたのだと思います。


C.C. Rider(Chuck Willis) / Chuck Willis(1956)

1957年、Atlantic Records からリリース。Atlantic Records の Jerry Wexler からの勧めもあって録音されたようです。伴奏、コーラスアレンジは The Chords の "Sh-Boom" 等を手掛けた Jesse Stone が担当。


See See Rider(Ma Rainey) / Eric Burdon & The Animals(1966)

1966年、イギリスの Eric Burdon & The Animals がリリースしたシングル。作詩曲クレジットは Ma Rainey となっています。The Animals は特にアメリカの南部ブルースに音楽的ルーツを持つグループで、独自の解釈で一世を風靡しました。イギリスではヒットしませんでしたが、US Billboard Hot 100の10位となりました。


ここからは Chuck Willis が書いたクラシックとなったブルースナンバー曲をいくつか聴いていきたいと思います。

The Door Is Still Open (To My Heart)(Chuck Willis) / Cardinals(1955)

The Door Is Still Open (To My Heart)(Chuck Willis) / Dean Martin(1964)


1955年に Doo Wop グループ、Cardinals に提供した1曲。Cardinals は1946年に結成された老舗の Doo Wop グループ。 リードボーカルの Ernie Warren がしなやかな声で歌っています。
1964年に俳優、シンガーの Dean Martin が歌い、 Billboard Hot 100 の6位となりました。Jimmy Bowen がプロデュースしています。


It's Too Late (She's Gone)(Chuck Willis) / Chuck Willis(1956)

It's Too Late (She's Gone)(Chuck Willis) / Derek & The Dominoes(1970)

1956年に Atlantic Records からリリースした。‎Atlantic Records 移籍した頃の作品でこの曲もブルース・クラシックとなり、Dorothy Collins、Roy Orbison など多くのミュージシャン達が取り上げました。今回は 1970年の Derek & The Dominoes の演奏で。


You're Still My Baby(Chuck Willis) / Chuck Willis(1953)

You're Still My Baby(Chuck Willis) / Ike & Tina Turner(1973)

1953年に Okeh Records からリリースした曲。この曲も同様、Otis Redding などのソウルシンガーに愛されました。今回は、1973年にリリースした Ike & Tina Turner のバージョンで。


Don't Deceive Me(Chuck Willis) / Chuck Willis(1953)

Don't Deceive Me(Chuck Willis) / Screamin' Jay Hawkins(1972)

同じく、1953年に Okeh Records からリリースした曲。後に Little Richard なども取り上げています。今回は Screamin' Jay Hawkins のバージョンで。Screamin' Jay Hawkins は Chuck Willis の友人だったらしく、Chuck Willis のターバン帽のアイデアは Screamin' Jay Hawkins からだったそうです。

(富田英伸)

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