2020.05.20 - Songwriter
In Other Words (Fly Me to The Moon) In Other Words (Fly Me to The Moon)
Bart Howard

(1954)

(ここ最近、NHKでエヴァンゲリオンを放送していたので、それにかこつけて)


Songwriterシリーズ
今回は Bart Howard を取り上げます。

今回は、多くのシンガーに愛された曲、"Fly Me to The Moon" の話を中心に。"Fly Me to The Moon" はボサノバのレパートリーとして取り上げられる機会が多い曲です。曲を書いたのは Bart Howard という人で、この曲は1954年に初レコーディングされ、世に出ました。

Bart Howard は1915年、アイオワ州バーリントンで生まれ、2004年に亡くなっています。10代の頃からピアノ伴奏者として活動していました。Bart Howard はマンハッタンの Blue Angel というクラブで1952年から8年間、ピアニスト、演奏家、司会者として働きます。

1954年、そのクラブ Blue Angel で、Bart Howard が作った曲を彼のピアノをバックに Felicia Sanders という女性シンガーが初めて歌ったそうです。タイトルは "In Other Words" というナンバー。Felicia Sanders が歌ったこの曲はレコーディングされませんでしたが、同年、女優でシンガーの Kaye Ballard が取り上げ、Decca Records からシングルリリースされました。Felicia Sanders がこの曲をレコードに吹き込んだのは1959年でした。

In Other Words (Bart Howard) / Kaye Ballard (1954)

In Other Words (Bart Howard) / Felicia Sanders (1959)


クラブ Blue Angel を訪れ、Bart Howard のピアノで歌うようになった青年がいました。まだデビュー前の Johnny Mathis です。彼はビロードのような声の持ち主でした。1956年、Johnny Mathis のデビューアルバム『Johnny Mathis』で "In Other Words" を取り上げました。アレンジは Modern Jazz Quartet の John Lewis が担当。以降、後述するように Bart Howard は Johnny Mathis に多くの楽曲を提供するようになります。

In Other Words (Bart Howard) / Johnny Mathis (1956)


"In Other Words"が持つ美しさがジャズ界で評判になって、Gloria Lynne、April Stevens、Don Heller といったシンガー、The George Shearing Quintet がレコーディングしました。1960年、ベテランシンガーの Peggy Lee がアルバム『Pretty Eyes』で取り上げ、テレビ番組『Ed Sullivan Show』で歌い、多くの人がこの曲を知るようになります。この時、 Peggy Lee から作者の Bart Howard へ、この曲のタイトルを "In Other Words" から "Fly Me to the Moon" に変えてみては?という提案があったそうです。素晴らしいアレンジは Billy May によるもの。

In Other Words (Bart Howard) / Peggy Lee (1960)


この頃から "Fly Me to the Moon" というタイトルが使われ出します。1963年、Joe Harnell His Piano And Orchestra 名義でアルバム『Fly Me To The Moon And The Bossa Nova Pops』をリリース。ボサノバのリズムとこの曲がしっくりいき、ボサノバのレパートリーとして定着していきます。

アポロ計画が実施された時代。フランク・シナトラ(Frank Sinatra)はこの "Fly Me to the Moon" を1964年にシングルリリースしましたが、その音源は月を周回するアポロ10号の船内でオンエアされたそうです。そのことを受けて、このバージョンは2000年のクリント・イーストウッド監督の映画『スペースカウボーイ』(SPACE COWBOYS)のエンディングに使われました。


Bart Howard はこの曲以外に多くの楽曲を遺しました。ここからは、Bart Howard が Johnny Mathis に提供した曲を5曲、集めてみました。いずれも美しく素晴らしいバラード曲。Johnny Mathis がしなやかに歌い上げています。

Let Me Love You (Bart Howard) / Johnny Mathis (1957) Orchestra Under The Direction Of – Percy Faith

Year After Year (Bart Howard) / Johnny Mathis (1957) Orchestra Under The Direction Of – Percy Faith

I'll Be Easy To Find (Bart Howard) / Johnny Mathis (1959) Directed By Arranged By – Glenn Osser

Miracles (Bart Howard) / Johnny Mathis (1963) Arranged By, Conductor – Don Costa

Sky Full Of Rainbows (Bart Howard) / Johnny Mathis (1964) Arranged By - Allyn Ferguson


最後に友人から教えてもらったロマンティック・コメディ映画『恋は邪魔者』(DOWN WITH LOVE、2003)の1シーンを。レネー・ゼルウィガー(Renee Zellweger)の画面では、Astrud Gilberto。ユアン・マクレガー(Ewan McGregor)では、Frank Sinatra のバージョンが流れます。とってもキュートで楽しいシーンです。Astrud Gilberto は1965年録音で、アレンジは Claus Ogerman。Frank Sinatra は1964年録音で、アレンジは Count Basie Orchestra と Quincy Jones となっています。

Fly Me To The Moon (Bart Howard) From"DOWN WITH LOVE"(2003) / Astrud Gilberto (1965) 、Frank Sinatra (1964)

(富田英伸)

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