2020.01.19
Marie Provost Marie Provost
Nick Lowe

Bowi (EP) (1977)

本日のサンソンは、初期の Nick Lowe のしかもインスト!がかかるという慶事だったので、その曲がらみのお話を。

サンソンオンエア曲は、子年にちなんだ "Shake That Rat" という曲でした。この曲は彼の『BOWI』という4曲入りEPで発表された曲でしたが、同EPの中で筆者が一番気になるのは "Marie Provost" という曲です。

Marie Provost / Nick Lowe

"Marie Provost" は実在の女優(マリー・プレヴォー)の悲劇を歌った曲です。彼女はサイレント時代の人気女優で『結婚哲学』という作品は今でも日本でDVDが手に入るようです(私は残念ながら彼女の映画を見たことがありませんが)。

Nick Lowe の曲は警察が彼女の住居に踏み入るところから始まります。死後2-3週間たっての発見。そこにいた空腹の愛犬のエサになってしまったという悲劇を「Winner」という単語とポップなサウンドでアイロニカルに歌います。トーキー時代が到来して、彼女はついていけなかった。アルコールに依存し、40歳で孤独な死を迎えた映画スターを歌った曲でした。アルバムでいうと彼のファースト『Jesus of Cool』に収録されています。名作です。

収録のEP『BOWI』ですが、David Bowie が『LOW』というアルバムを発表したことへのあてこすりです。直後に企画されていて、ニックが自分の名前をタイトルにしてくれたことを喜んだのか、あるいは末尾の "e" がないことへの抗議とか諸説ありますが、悪ふざけです。わるふざけとえいば、そのころニックは自曲にして名曲の "Peace, Love And Understanding" をコステロに歌わせて、自分のシングルのB面に収録、しかし Elvis Costello のクレジットはなく、ジャケットをよく見るとギターのフレットに "Costello" と書いてあるというのもありました。

ねずみ年の棚つかで、まさかのニックのインストがかかりましたので、来たる(なん年後か?)いぬ年では、ニックの "Marie Provost" をみんなでリクエストしよう!


(たかはしかつみ)

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