2019.09.12 - Cinema Music Composers
Moon River Moon River
Henry Mancini

(1961)

(2019年9月8日SSB『リクエスト特集』でHenry Mancini "Love Theme From Sunflower" がかかったので、)

Cinema Music Composers シリーズ
今回は Henry Mancini を取り上げたいと思います。

Henry Mancini は特に人気がある映画音楽作曲家で、映画音楽ファンのみならず一般の音楽ファンからも愛された音楽家です。多くの優れた楽曲があるため、今回は4回に分けて書いていきたいと思います。今回、第1回目は初期の作品を中心に取り上げていきます。


Henry Mancini は1924年、オハイオ州クリーブランドでイタリアの移民の一家に生まれました。父親も音楽演奏家でその影響もあって、幼い頃からピッコロなどを習っていたそうです。1942年にジュリアード音楽学校に入学。しかし翌年には戦争の影響で米国陸軍に入隊、そこにはGlenn Miller 縁りのミュージシャンがいて、そのミュージシャン達の勧めもあって、軍隊内で音楽に携わり、強制収容所等での慰問演奏活動などを行っていたそうです。

軍隊退任後の1946年、新しく編成された Glenn Miller Orchestra にピアニスト兼アレンジャーとして入団します。Glenn Miller は既に1944年に亡くなっていましたが、この Glenn Miller Orchestra でプロのアレンジャーとして腕を磨いていくことになります。

1952年にユニバーサル映画会社の音楽部門に入社、映画音楽の世界に飛び込むことになります。数本の映画音楽を担当したのち、1954年にかつて縁があった Glenn Miller の伝記映画『グレン・ミラー物語』(THE GLENN MILLER STORY)の音楽を担当することになります。この作品でアカデミー賞にノミネート、Henry Mancini は業界内でその名が知られるようになります。

1958年に1人の映画人と出会います。その後、30年以上の付き合いとなるブレイク・エドワーズ(Blake Edwards)です。ブレイク・エドワーズは数本の映画を撮ったばかりのまだ芽が出ない状況で、当時テレビ番組『ピーターガン』(PETER GUNN、1959-1961)を手掛けていました。ブレイク・エドワーズは Henry Mancini の才能にいち早く気づき、テレビ番組『ピーターガン』の音楽を依頼。この作品やその他のブレイク・エドワーズが手掛た番組から素晴らしい曲が次々誕生していきます。

1961年、ブレイク・エドワーズ監督の映画への本格的復帰となった作品、映画『ティファニーで朝食を』(BREAKFAST AT TIFFANY'S)で、盟友の Henry Mancini に音楽を依頼、この映画から あの "Moon River" が生まれました。

次回に続きます。

今回は Henry Mancini が手掛けた初期の作品を聴いていきたいと思います。


The Glenn Miller Story Love Theme (Too Little Time) (Henry Mancini) / Victor Young And His Singing String (1953)

Too Little Time (Don Raye-Henry Mancini) / June Hutton & Axel Stordahl (1954)

Henry Mancini にとって初期の作品にあたる映画『グレン・ミラー物語』(THE GLENN MILLER STORY、1954)から。当時リリースされた Victor Young 楽団の演奏を。そして詩が追加されたボーカル入りのバージョンも合わせて。ボーカル入りのバージョンを歌った June Hutton は The Pied Pipers のメンバーでもあった女性です。


What's It Gonna Be (Bill Carey-Henry Mancini) / Jimmy Daley & The Ding-a-Lings (1957)

What's It Gonna Be (Bill Carey-Henry Mancini) / The Four Freshmen (1957)

1957年に公開されたティーンズ向けの音楽映画『Rock, Pretty Baby』から。1曲目はサウンドトラックから。続いてはその年に The Four Freshmen がこの曲を取り上げました。The Four Freshmen は選曲のセンスもとてもいいグループです。


Free And Easy (Henry Mancini) / Jimmy Daley & The Ding-a-Lings (1957)

Free And Easy (Bobby Troup-Henry Mancini) / Jackie And Roy With Bill Holman's Orchestra (1958)

同じく、音楽映画『Rock, Pretty Baby』から。インスト曲ですが、しなやかないいメロディーをしています。翌年にボーカルデュオ、Jackie And Roy が取り上げました。詩を書いたのはジャズ・ミュージシャンの Bobby Troup です。
ちなみに映画『Rock, Pretty Baby』にはその Bobby Troup も楽曲提供しており、Alan Copeland が表題曲 "Rock, Pretty Baby" を歌ったり、そして Rod McKuen も挿入歌を歌っているようです。一度、観てみたい映画です。


Dreamsville (Livingston-Evans- Mancini) / Lola Albright (1959)

Dreamsville (Livingston-Evans- Mancini) / Henry Mancini and Chorus

ブレイク・エドワーズが手掛けたテレビ番組『ピーターガン』(PETER GUNN、1959-1961)から。有名なピーターガンのテーマもありますが、この作品に出演したシンガー、女優のローラ・オルブライト(Lola Albright)が1959年のアルバム『Dreamsville』で取り上げました。このアルバムは全曲、Henry Mancini のオーケストレーションとなっています。詩は Livingston-Evans チームが書きました。後に Henry Mancini 自身が取り上げたものも一緒に。


Lujon (Slow Hot Wind) (Henry Mancini) / Henry Mancini (1959)

Slow Hot Wind (Norman Gimbel-Henry Mancini) / Serrgio Mendes & Brasil '66 (1966)

同じくブレイク・エドワーズが手掛けたテレビ番組『Mr. Lucky』(1959-1960)から。1961年の Henry Mancini のアルバム『Mr. Lucky Goes Latin』に収録されました。ラテンの匂いを感じる艶めかしい曲です。そのせいもあってが、Serrgio Mendes & Brasil '66 が1966年のデビューアルバムで取り上げました。Lani Hall のボーカルはいつもクールです。詩を書いたのは Norman Gimbel です。


Bachelor in Paradise (Mac David-Henry Mancini) / Gaynel Hodge (1961)

Bachelor in Paradise (Mac David-Henry Mancini) / Ann Margret (1961)

ちょっと楽しい曲を。1961年公開の映画『Bachelor In Paradise』(1961)から。映画はボブ・ホープ(Bob Hope)、ラナ・ターナー(Lana Turner)らが出演したコメディ映画。このサウンドトラックで歌っている Gaynel Hodge は The Platters に所属していたこともあるそうです。詩を書いたのは Hal David の兄の Mac David。同年、女優でシンガーの Ann Margret が色っぽく歌いました。アレンジは Hank Levine。


Man's Favorite Sport (Johnny Mercer-Henry Mancini) / Henry Mancini (1964)

Man's Favorite Sport (Johnny Mercer-Henry Mancini) / Ann Margret (1964)

もう1曲、コメディ映画から。1961年の映画『男性の好きなスポーツ』(Man's Favorite Sport、1964)のタイトルバック。溌溂で洒落たタイトルバックです。
監督は硬派で知られるハワード・ホークス。この曲も Ann Margret が歌っていますので一緒に。


Moon River (Johnny Mercer-Henry Mancini) / Audrey Hepburn (1961)

最後に映画『ティファニーで朝食を』(BREAKFAST AT TIFFANY'S、1961)から "Moon River" を。こうやってみてくると、この曲がブレイク・エドワーズ監督とのコラボから生まれたのは必然だったような気がします。この作品により、主演したオードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)とのコラボも始まります。

次回はそのブレイク・エドワーズ監督との関係が深い作品を中心に取り上げてみたいと思います。



(富田英伸)

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