2019.07.24
Summer Breeze Summer Breeze
大滝詠一

NIAGARA CONCERT ’83 (2019)

本日2019年7月24日は、大滝詠一の西武球場ライブがあった日、1983年7月24日の36年後その日でした。ということで、36年前の夏を思い出していきたいと思います。

回想はまず現場から、ということで、西武球場に行ってきました。今日と言いたいところですが、残念ながら本日野球は開催なしなので、週末の7月20日に西武対オリックスをみてまいりました。西武球場は今はドームですが、既存の球場に屋根を架けただけなので当時のままと言えなくもないです。バックスクリーンが立派になりましたが、その台座は昔のままですね。そして球場を取り囲む森が見えるのも昔のままです。



2019年7月20日の西武ドーム


天候はどうだったでしょう。大滝詠一がステージにいたのは18時ごろでした。

 所沢 1983年7月24日 18時 25.4℃ 曇り無風
 所沢 2019年7月20日 18時 26.8℃ 曇り無風
 (気象庁過去の気象データ検索より)

かなり近いですよ。1983年の関東地方の梅雨明けは7月26日だったそうなので、24日現在梅雨明けしてない今年と似たような7月だったのでしょうか。

1983年はどんな年だったか。
1981年3月『A Long Vacation』発表、1982年3月『Triangle Vol.2』と来て、さて『Each Time』で発売延期だ、ということが起きていましたがそれが全く気にならないほど、われらの音楽シーンが充実していました。

1982年 8月「ゴーゴーナイアガラ」TBS DJANGO枠で再開
1982年10月『CM Special Vol.2』
1982年11月 冬のリヴィエラ (森進一)
1983年 1月 秘密の花園 (松田聖子)
1983年 3月 君に、胸キュン。 (Y.M.O.)
1983年 4月 天国のキッス (松田聖子)
1983年 4月『No Damage』(佐野元春)
1983年 5月 探偵物語/すこしだけやさしく (薬師丸ひろ子)
1983年 6月『MELODIES』(山下達郎)
1983年 6月『ひとかけらの夏」(村田和人)
1983年 8月 ガラスの林檎/SWEET MEMORIES (松田聖子)
1983年 9月 Tシャツに口紅 (ラッツ&スター)

すごいでしょう?ちなみに映画は「E.T.」がめちゃヒットしていて、野球は広岡監督、エース東尾、4番タブチ君で、西武ライオンズが日本一という時でした。

そんな中、大滝詠一の西武球場ライブは開催されたのでした。


LIVE JAM T (Back)
当日物販されていたTシャツ (Back)


さて、どんなライブであったのか。

筆者の席はいわゆるバックネット裏の上の方。野球であれば良い席だったんでしょうが、ステージから最遠の場所、スクリーンの投影もありませんでしたし、遠くで何かが進んでいる、という感じ。視覚的に唯一覚えているのが、巨大拍子木。パーカッションの4人が頭上で長い板をバーンと叩いていたのですが、それだけです。そもそもこのライブの写真をみたいと長年探し続けていたのですが、本当に「なかった」ことが今回のCDリリースでわかり、納得と困惑です。イーチが締め出してしまったのですね。36年という年月、やはり記憶の維持には「写真をながめる」行為が不可欠であるのではないですかね。ちなみに、当時はスマホどころかデジカメすらなかったので、コンサートにカメラを持っていく人もいなかったと思います。


LIVE JAM T (Front)
当日物販されていたTシャツ (Front)


音はどうだったのか?ヴォリュームはそれなりの出力があったと思うのですが、細部までは筆者は聞き取ることができていませんでした。CD聴いてビックリ、ここまでやっていたんだと。歌の上手さ、これもCDで思い知らされるのですが、これも当日の現場ではわかりませんでした。歌とサウンドが溶け合い、あたかも白日夢のような、こんな頼りのない記憶しかありません。ちなみに録音の方は、ラジカセの小さいようなのを持っていく人がそれなりにいた、みたいな時効話を聞きますが、筆者は当時のニッポン放送であったとされるオンエアも含め聴いてはいませんでしたので、このCDのリリースはタイムカプセルでしたね。


西武球場パンフレット
パンフレット


ついでにパンフ。元はB4サイズでしたが、CDのブックレットはとてもよく再現しています。表紙表裏を完全再現して、イーチのページも同様に再現しています。ラッツとサザンのページもイーチと同じ構成で、各見開き3面ずつ割り当てられていました。また相倉久人氏の「ポップス」に関するコラムが掲載されています。「いいきってしまうと、ポップスは空間的にも時間的にも自由なのだ。」と書かれています。今の youtube でのJポップブームを予言しているのではないでしょうか。


Each""
Each


RATS & STAR
RATS & STAR


SAS
SAS


大滝詠一の西武球場ライブは、1981年にロンバケが売れてからのファンにとって、実質上大滝詠一を見る最初のチャンスでした。そして翌々年の「はっぴいえんど 再結成」が最後のチャンスになるのです。この実現に尽力された各位に感謝をしたいと思います。このコンサートが大滝本人からどう顧みられたかを知る機会がないまま今に至っているのですが、いまこの音源を聴いてその趣旨は「ナイアガラ・オーケストラを演ってみせる」だったのではないでしょうか。野球場で新日フィル込みという無謀ともいえる試みでしたが、3万人の客にみせてくれたのは有り難いことでした。一方で、淡白というか、スタジアムライブとして必要なアクションがなかったことも事実でした。このライブの意味が、当時いち観客として理解できなかったことがCDリリースを経てわかり、ようやくこの作品が完結されたのだと思うのです。選曲もよく、ラッツの「Tシャツと口紅」こそ間に合っていませんが、この時点での全てがこのライブにあったのではないでしょうか。『Each Time』へのつなぎの選曲と感じていた自分がいたのですが、むしろ「全てを出し切った」と考えないといけないことに今更ながら気がつきました。「出し切った」ことがこの後の『Each Time』の完成にどう関係したのかは、更に研究していきたいところであります。

なお、このCDのタイトル名『NIAGARA CONCERT』を見てビックリしたのですが(当時は西武球場ライブと呼んでいたと思う)、これはご本人がノートにそう書いていたのですね、二度ビックリですが納得しました。


Niagara Song Book (1982年6月) から
 夢で逢えたら, Summer Breeze, Water Color, 青空のように, カナリア諸島にて, 夢で逢えたら、もう一度
Niagara Triangle Vol.2 (1982年3月) から
 オリーブの午后, ♡じかけのオレンジ, 白い港
提供曲 (1982年11月から1983年5月) から
 探偵物語, すこしだけやさしく, 夏のリヴィエラ
A Long Vacation (1981年3月) から
 雨のウエンズデイ, 恋するカレン, FUNx4, 君は天然色
新曲 (1983年7月)
 Cider’83

俺が酔わせるぜ!(桑田)大滝詠一のサウンドシャワー
パンフレット最終ページの広告
俺が酔わせるぜ!(桑田)
「大滝詠一のサウンドシャワー」なるコピーも

(たかはしかつみ)

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