2018.09.01
針切じいさんのロケン・ロール 針切じいさんのロケン・ロール
植木等

シングルCD (1995)

2018年8月15日、さくらももこさんが亡くなりました。


『ちびまる子ちゃん』のテレビアニメは1990年1月放送開始でしたが、私はすでに社会人になっていたにもかかわらず、毎週日曜18時を楽しみにしていました。さくらさんは出身の静岡県清水への愛が(次郎長をはじめ)高かったのですが、彼女がまる子に登場させたサッカー少年が当時エスパルスでプレーしていた長谷川健太だということを知り、とても親近感を覚えました。また健太選手とさくらさん自身が同級生だということから、自分と1学年下だということを知りました。

『まる子ちゃん』は主題歌でも有名です。エンディングテーマの「おどるポンポコリン」は社会現象的なヒットでした。ただ「ポンポコリン」はあっさり最初の3ヶ月で下がってしまう。代わりに起用されたエンディングが秀樹の「走れ正直者」でした。印象的でしたよね。その間一貫してオープニングテーマは「ゆめいっぱい」という純前向きなポップソングでした。この3曲は全て織田哲郎の作編曲でした。とてもいい仕事だと思います。

実は『まる子ちゃん』の放送は3年もたたず終了してしまいます。これは作者が「サザエさんにはなれない、したくない」と当時報じられていたと記憶しています。そして、惜しむ声にこたえる形で番組が復活したのが、2年と少しの空白を経た1995年の1月でした。その新装放送のテーマ曲を担当したのが大滝詠一でした。

オープニング「うれしい予感」 渡辺満里奈
エンディング「針切じいさんのロケン・ロール」 植木等

という豪華?な組み合わせで、大滝詠一も久しぶりの新作であったので軽く興奮しました。

さて本題の「針切じいさんのロケン・ロール」に入っていきます。
これは、さくらももこ作の歌詞がすごいのです。

♪ 盆暮れ 正月 やたらと忙し
♪ 年がら年中 大さわぎ
♪ どのみち このみち まわりみち
♪ シンマイ シシマイ テンテコマイ

この調子で始まります

♪ あれより これより どれよりも
♪ やっぱり これだよ お母さん

なんだこれは

♪ こうなりゃ みんなで はりきろう
♪ 楽しく 生きよう この人生

けっきょく「はりきり」で乗り切るというよくわからない(しかし植木さんが歌うとわかる、本当に納得させられる)歌詞でした。どうでもいいことですが、大滝本人のセルフカバーでは「シュウマイ シシマイ テンテコマイ」と唄われてます、なおさらよくわからない。このまる子だかナイアガラだか、友蔵(まる子祖父)だかスーダラだかわからない世界観の背景に、大滝詠一とさくらももこの間でどういう創作活動があったのかとても興味があるのですが、植木さん含め三人ともあちらにお送りしてしまいました。

音楽も含めた「ちびまる子ちゃんワールド」のファンとして、さくらももこさんに心より感謝します。


蛇足ながら、オリジナル。
内容は「人喰い宇宙人が地球にやってきたがロックを歌う」(ひどい説明かな)というもの。さくら版は訳詞とクレジットされてますが、新規創作もいいところ。Wikipedia(英語)をみたら、「Purple は Eater に係るのではなく People に係り宇宙人は紫でない」、みたいな講釈が書いてあって笑ったこと、オリジナルは1958年と古いのに色々織り込みソングで、「テキーラ」とか「タモリ倶楽部」とか出てくること、等々お楽しみください。

Purple People Eater / Sheb Wooley (1958)

(たかはしかつみ)

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