2018.06.10 - Live
わたしはベイベー わたしはベイベー
のん

SUPER HEROES (2018)

「のんだよぉ」の自己紹介で始まったライブ。こちらは飲んでるビールをマジでこぼしそうになったのですが、本人がなんども「楽しいたのしい」と繰り返した通りの楽しいライブになりました。のんシガレッツ、2018年5月8日、渋谷ライブ・クアトロでの彼女の初のワンマンライブのレポートです。

会場のクアトロはぎっしり。筆者はチケットを買ったのが直前だったので、整理番号740番。その後も列がありましたのでまさにキャパ一杯。目の前を あんべちゃん が通った、来れる人はみんな応援に来たいよね。

のんシガレッツとは、のん (Vo,Gt)、若森さちこ (Dr)、岩崎なおみ (Bs)、ヒグチケイ (Gt/この日お休み) → 弓木英梨乃 (代Gt from KIRINJI) の4ピース "ガール" バンドで、のんは昨秋の学園祭などからこのバンドで演奏をし、アルバムの多数の曲もこのメンバーで録音しています。

このメンバーが登場し1曲目が、のん自作の「正直者は行く」。いいパンクテイストの曲です。Jam とか Ramones とかそういう感なのですが、のんの自作はどれもパンク(どうしてこうなった)、他からの提供曲はポップでした。のんはグリーンのドレスに赤のテレキャス、髪はバックにベタッと掻きあげられてて清志郎ヘア?バンドが上手いのですが、のんのギターも上手いというか意思のあるストロークで、バンドをリードしているのがとてもよくわかるのです。思ったよりよどまないステージトークも含め、とても驚きました。〈あんたが歌手になるの?バーカ〉という例のドラマ上のセリフがどこか筆者の頭の片隅にあったのですが、ドラマを上回る現実のドラマが目の前で起きています。

5曲を演奏し、「ひとり目のスーパーヒーロー」高野寛が登場。高野作シングルの「スーパーヒーローになりたい」を演奏。高野曰く「いい曲書けちゃった」自賛も、「のんに引き出されてこの曲が書けたこと」の感謝が伝わってくる好演。続いて一緒に「タイムマシンにお願い」を演奏。高野が間奏ソロを弾くのですが、イントロのリフはのんが弾いてるのですよ。

しっとりとした曲をはさんで、「ふたり目のヒーロー」大友良英が登場。アルバムに書き下ろした「おやすみ」とシングル「RUN!!!」を演奏。大友の師匠だか使用人だかファンだか係員だかよくわからないトークが彼の気配りであり本心であるようで。

ライブは、翌日発売のファーストアルバム全曲と、シングル曲全てを演奏し出し切って終了。アンコールは「もう本当に何もないのでリクエスト」とのんが客に問うのも嬉しいびっくりでしたが、自作の代表作「へーんなのっ」の声がかかり再演して終了。〈たのしいからに決まってるべ〉。音楽という表現手段を手に入れた自然体のんが強く印象付けられ、その幸福な空気感は(今これを書いている)一月後でも変わらずに残っているのです。

終演後、客が帰り始めた時にクアトロの上手壁面に投影されたのが「私はベイビー」。プロモビデオの披露目でした。ご存知、矢野顕子がのんのために書き下ろしの忌野清志郎へのオマージュ。

「清志郎なら歌ってくれるはず 甘えちゃ駄目さ ベイベー」

清志郎に励まされたのんが、力強く、どこかとぼけた宣言をするころ、曲のアウトロに矢野の「ひとつだけ」の有名なイントロが重なってきます。「ひとつだけ」に乗って、ミュージシャンは過去にも未来にも行けるのです。




今日の1曲

(たかはしかつみ)




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