2018.05.03 - Songwriter
Joanna Joanna
Tony Hatch

(1968)

Songwriterシリーズ、
Tony Hatch の第3回目です。

1960年代、Tony Hatch にとって大きな仕事は第2回目で取り上げた Petula Clark へのプロデュース。そして次回の4回目に取り上げる予定の奥方である Jackie Trent へのプロデュースでした。今回の第3回目ではそれ以外の活動等をみていきたいと思います。

イギリス本国の方々にとって Tony Hatch が作った音楽に親しみを持つのに多くのテレビのテーマソングやドラマの劇判を制作したことが挙げられます。
『Crossroads』、『Ben Casey』、『Perry Mason』、『Sportsnight』、『Man Alive』、『Emmerdale Farm』、『The Persuaders』といったテレビ番組です。一部は日本でも放送されました。

1960年代のイギリスと言えば、マージー・ビート・グループで、第1回目で触れたリバプール出身の The Searchers のプロデュース活動の功績が大きく、The Searchers のプロデュースのため、1963年に PYE Records と契約、Pomus-Shuman、Leiber-Stoller、Barry-Greenwich といったアメリカの作家陣の楽曲を積極採用しました。

Tony Hatch と The Searchers の関係性は、George Martin と The Beatles の関係と比較できますが、The Beatles 同様、マーケティングも含んだプロデューサーとして、The Searchers に接していたと思います。ただ、 The Searchers の場合は、Tony Hatch はグループのために楽曲提供もしていました。

Tony Hatch はアメリカの音楽シーンを常時アンテナを高くチェックし、いい曲と思えば積極的に採用する人でした。それらの楽曲を自分なりに消化、再構築し、新たな楽曲として生み出す人だったと思います。

第3回目では1960年代、Petula Clark 以外に提供された楽曲を聴いていきたいと思います。


That's How It Goes (Tony Hatch) / The Breakaways (1964)

The Breakaways はイギリスの女性3人組のボーカルグループで主にスタジオでバックボーカルを担当していました。特に Tony Hatch 作品では "Downtown" を始め、多くの作品でバックボーカルを務めました。また、Burt Bacharach も英国録音の際は、この The Breakaways をバックボーカルとしてよく採用していました。このシングルは聴いての通り、Phil Spector "ウォール・オブ・サウンド" を意識した音作りとなっています。


Roundabout (Tony Hatch) / Connie Francis (1965)

アメリカを代表する歌姫、Connie Francis が取り上げた作品で元々は Petula Clark 向けに書かれた曲です。プロデュース、アレンジのみなず、指揮も Tony Hatch がとっています。Connie Francis がイギリスを訪れて録音したようです。当時、日本語バージョンも作成されました。


You've Got To Be Loved (Jackie Trent-Tony Hatch) / The Montanas (1967)

Run To Me (Jackie Trent-Tony Hatch) / Montanas (1968)

The Montanas へ提供した楽曲を2曲。The Montanas は1964年に結成されたグループで、1966年に Pye Records と契約、Tony Hatch がプロデュースに就きました。聴くとわかる通り、コーラスがうまいグループです。Tony Hatch はそのコーラス・ハーモニーの特徴を生かした楽曲を提供しました。


Major To Minor (Jackie Trent-Tony Hatch) / The Settlers (1967)

The Settlers は1960年中期、イギリス、ウェスト・ミッドランズで結成された女性1人を含む、フォーク寄りのグループで、これまで Gordon Lightfoot などの曲を歌っていました。1967年、Pye Records からシングルリリース。どことなく、The Seekers を思わせるサウンドです。


One In A Million (Jackie Trent-Tony Hatch) / The Duprees (1968)

オリジナルは Petula Clark 。このThe Duprees はそのカバーに当たります。
"You Belong To Me" で知られる White Doo-Wop グループ、The Duprees ですが、Jerry Ross のレーベル Heritage からリリースされた作品。こういうシャッフル・ビートはこの The Duprees の方がいい感じです。アレンジは Joe Renzetti。


Joanna (Jackie Trent-Tony Hatch) / Scott Walker (1968)

Scott Walker の素晴らしい歌唱もあって Tony Hatch の代表曲の1つとなりました。音楽ディレクターは Tony Hatch ではなく、当時、Scott Walker を手掛けていた Peter Knight が担当しました。
この曲が生まれた背景についてはここを参照してください。


第4回目に続く

(富田英伸)

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