2018.04.19 - Songwriter
Look For A Star Look For A Star
Tony Hatch - Songwriter

(1960)

Songwriterシリーズ、
イギリスのソングライター、Tony Hatch を4回に分けて取り上げてみたいと思います。

まずは Tony Hatch のバイオから。
Tony Hatch こと本名、Anthony Peter Hatch は1939年、イギリス、ミドルセックス州のピナーで生まれました。ピアノ奏者でもある母親の影響で幼少時代からピアノが堪能、地元の教会の合唱団で歌っていたそうです。教会やコンサートのオルガン奏者になるが夢だったそうです。

1950年中期に音楽業界入りして、ピアニストとして活動を開始します。Tony Hatch が最初に曲を書いたのは1959年、 Gerry Dorsey という歌手に提供した "Crazy Bells" という曲だと言われています。この Gerry Dorsey という歌手は後に名を Engelbert Humperdinck と名前を変えて、イギリスを代表するエンターテイナーとなっていきます。同年、Tony Hatch は Top Rank Records に所属し、ソングライター、アレンジャーとして本格的に活躍します。

1960年にイギリスで映画『殺人鬼登場』(原題: Circus of Horrors -1960) というホラー映画が公開され、その挿入歌に Mark Anthony 名義で Tony Hatch が書いた "Look For A Star" が採用されました。歌ったのは Gary Mills というイギリスのシンガーで British Hit Singles の7位を記録。日本国内では Billy Vaughn 楽団のバージョンがFM音楽ラジオ番組のテーマ曲として使われ、広く浸透します。しかし、アメリカではまったく別のバージョンがヒットします。その顛末はここを参照してください。

Tony Hatch は1960年初頭、Mark Anthony 名義で、Julie Grant、Adam Faith などにも楽曲を提供。自身の楽団、The Tony Hatch Orchestra でもレコードリリースするようになります。

1963年、Tony Hatch はこの時期台頭してきた マージービートのグループにも興味を示し、Pye Records 所属の The Searchers のプロデューサーに就任します。Fred Nightingale 名義で書いた "Sugar and Spice" が British Hit Singles の2位となります。

1回目は1959年から1964年辺りまでの楽曲を聴いていきたいと思います。


Crazy Bells (Hatch-Lacey) / Gerry Dorsey (1959)

Tony Hatch が最も最初期に書いた作品です。前述の通り、 Gerry Dorsey、後の Engelbert Humperdinck に提供した楽曲。楽しい雰囲気のクリスマスソング。やっぱりボーカルに力がありますね。


Look For A Star (Mark Anthony) / Garry Mills (1960)

Look For A Star (Mark Anthony) / Billy Vaughn & His Orchestra (1960)

Tony Hatch にとっても出世作となった楽曲。Garry Mills のバージョンは British Hit Singles の7位を記録。Billy Vaughn 楽団のバージョンも合わせて。邦題は「星を求めて」。NHK-FMでやっていた関光夫さんの番組のテーマ曲だったと思います。懐かしいです。


Stork Talk (Tony Hatch) / The Mike Sammes Singers (1961)

1961年、Pye Records からリリースした作品。The Mike Sammes Singers は当時、テレビやラジオ番組のジングルをたくさん歌っていたグループだそうです。この曲もそういった曲の1つ。この頃、Tony Hatch はテレビやラジオ番組のテーマ曲等を多く手がけていました。


Sugar and Spice(Fred Nightingale aka Tony Hatch) / The Searchers(1963)

1963年、Tony Hatch がプロデュースした The Searchers のデビューヒット、"Sweets for My Sweet" (Pomus-Shuman) は The Drifters のカバーでした。第2弾シングルは、この曲調を意識して、Tony Hatch が書下ろしました。The Searchers のサウンドイメージを決定づけた作品となり、The Searchers は人気グループとなります。


Lonely Without You (Tony Hatch) / Julie Grant (1964)

Pye Records 所属の Julie Grant に提供した曲。1963年、Tony Hatch が提供した "Count on Me" は UK Singles Chart の24位のヒットとなりました。今回は Bacharach スタイルのこの曲を。終盤部分のアレンジも素晴らしいです。


I Love The Little Things (Tony Hatch) / Matt Monro (1964)

イギリスを代表するシンガー、Matt Monro に提供した楽曲。楽しい雰囲気の楽曲。1964年、ヨーロッパの音楽コンテスト用に書かれた作品だそうです。


第2回目に続く。

(富田英伸)




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