2018.03.21
What Is Hip? What Is Hip?
Tower Of Power

Tower Of Power (1973)

これまでSly & The Family Stone(SFC)、Graham Central Stationと見てきましたが、彼らはいずれもサンフランシスコを中心に活動をしていました。サンフランシスコという土地柄なのでしょうか、自由な空気が彼らの音楽を育んできたようです。人種差別の激しかった南部や格差の問題に喘ぐ北部の都市からも離れていたサンフランシスコは、寛容で多様な個性を受け入れる土壌があったのだと思われます。

そんなサンフランシスコにもう一組重要なバンドがいました。正確に言うとサンフランシスコ湾を挟んだ対岸のオークランド出身のTower Of Power(TOP)。SFCがそうであったようにTOPも白黒混合の大所帯のバンドです。現在まで活動を続ける息の長いキャリアのTOPは何度もメンバーが入れ替わっていますが、T.SaxのEmilio CastilloとB.SaxのStephen "Doc" Kupkaが中心となって1967年頃からTOPとして活動を始めます。

その後トランペットのGreg Adams、ドラムのDavid Garibaldiが加わってバンドの骨格が固まり70年に地元の”サンフランシスコ・レコード”というレーベルから最初のアルバム『East Bay Grease』をリリースします。その後72年に『Bump City』でメジャーのワーナーに移籍。そしてヴォーカルのLenny Williamsが参加してきた73年あたりから彼らの音楽は緩やかに離陸を始めます。ギターのBruce Conte、キーボードのChester Thompsonらも加わって放った『Tower Of Power』は彼らの代表作の1枚と言ってもいいでしょう。1曲目に収められている「What Is Hip?」でまずはJB以来のファンク・マナーを披露します。ドラムとオルガンの隙間を縫って展開されるスリリングなブラスのテンション。そしてLenny Williamsの艶のあるヴォーカル。カッコいいです。

ただそれだけではなくバラードやジャズの影響を受けたじっくり聞かせる曲が多いのも彼らの際立った個性と言えます。それもJB’sの流れをくむような大所帯のバンド構成のゆえだと思われるのですが、それについてはまた次回。

今日の1曲


(Kazumasa Wakimoto)




Copyright (c) circustown.net