2018.03.03
Pow Pow
Graham Central Station

My Radio Sure Sounds Good To Me (1978)

ファンク・ミュージックの象徴と言ってもいいGraham Central Station(GCS)。Sly & The Family Stoneのベーシストとして頭角を現してきたLarry Grahamがリーダーとなって結成したバンド。
75年にベトナム戦争が終結した翌年はアメリカ建国200周年。アメリカ自体がちょっとした開放感に浸っていたこの時期、音楽界にも自由で明るい雰囲気が戻ってきたように思います。GCSが活動していたのはまさにこの時期に重なっており、彼らの屈託のない音楽性とも相まってヒットしていきます。

とりわけファンク・ミュージックがダンス・ミュージックと呼応していた70年代中期以降は彼らのようなスタイルの音楽は非常に幸運だったと思います。強いビートと覚えやすいメロディ。とりわけLarryの奏でる重厚なスラップ・ベースは踊れるビートでした。来たるディスコ・ムーヴメントとも呼応していました。

サタデーナイト・フィーバーで世界中がまさしくフィーバーした1978年にリリースした6枚目のアルバムが『My Radio Sure Sounds Good To Me』(いかしたファンキー・ラジオ)でした。ファンクの楽しさを体感しようと思ったらまずこのアルバムから聴くといいのではないでしょうか。とにかくカッコいい!

何はともあれこのアルバムは冒頭1曲目の「Pow」です。圧巻のベース。この低重心のうねるようなベース。知らず知らずのうちに身体がリズムを刻んでしまいます。理屈抜きにこの曲を聴くためにこのアルバムを買ってもいいと思うぐらいのファンクを代表する1曲と言えるでしょう。ギターがジミヘンならベースはラリー。

「Turn It Out」も超絶なベースとシンセの絡みに、Larry自身のヴォーカルが纏わりついてきます。暑苦しくて病みつきになる・・・(笑)。
これもまた身体が思わず反応するようなフィジカルなファンクです。

そうした粘りつくような彼らの魅力の重要な要素がLarry Grahamのヴォーカルにもあります。彼はベーシストというだけでなくヴォーカリストとしても重厚で味のある歌唱を披露してくれています。彼がソロとしても長く現役で活動しているのは歌のうまさにもあるのではないでしょうか。

ともあれ、JBから始まったファンクはここに円熟の到達点を迎えたようです。

今日の1曲


(Kazumasa Wakimoto)




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