2018.02.28
Bette Davis Eyes Bette Davis Eyes
Kim Carnes

Mistaken Identity (1981)

2月を歌った曲として先日のサンソンでこんなサイケなソフトロックが紹介されました。

February Sunshine/ The Giant Sunflower (1967)


この曲には思い出があって、大滝さんのラジオ『ゴー・ゴー・ナイアガラ』の幻の放送として知られる「フィーリングジョッキー」という50曲タイトルも含め何もコメントしない放送があったのですが、その曲探しで最後の最後までわからなかったものだったのです(いきさつはこちら)。


それはさておき、そのサンソンで達郎さんから「The Giant Sunflower のリーダー格は後に "Bette Davis Eyes" のプロデューサー Val Garay」という紹介がありました。

???

Kim Carnes の "Bette Davis Eyes" (1981) はシンセを前面に出したニューウェーブっぽいサウンドでした。西海岸、しかもサイケとのつながりが??? これにはびっくりしました。



Val Garay は The Giant Sunflower のあと、Sound Factory Studio で働くようになり、The Mamas & The Papas や Buffalo Springfield と仕事をしたといいます。そしてレコーディングエンジニアとして腕を上げていきます。彼のホームページには次のようなアルバムに関わってきたと紹介があります。

70年代の中頃、西海岸音楽そのものですね。

Heart Like a Wheel / Linda Ronstadt (1974)
Prisoner in Disguise / Linda Ronstadt (1975)
Hasten Down the Wind / Linda Ronstadt (1976)
Simple Dreams / Linda Ronstadt (1977)
The Pretender / Jackson Brown (1977)
JT / JT (1977)

80年代の声が聞こえると、それなりに時代に対応しています。

Dad Loves His Work / JT (1980)
Mad Love / Linda Ronstadt (1980)

また、モーテルズもやってたんですね。ヒットしました。

All Four One / The Motels (1982)
Little Robbers / The Motels (1983)

面白いところでは、なんとこの作品にも関わっていたとのこと。Sound Factory で録音したからなのでしょうがこれまたびっくり。

Who Loves You / The Four Seasons (1975)

(注、上記諸作はエンジニアリングとプロデュースが混在していると思われます。Val の関与や創意工夫はもっとちゃんと調べると面白いと思っています)



さて、今日の1曲です。Kim Carnes の "Bette Davis Eyes"。1981年のビルボード年間1位、翌1982年のグラミー賞で Song of the Year と Record of the Year を獲得しています。というか、賞もそうだけど、キム・カーンズは美人・パツキン・ハスキーの三冠王ですね。なおこの曲のオリジナル(1974)は作曲もした Jackie DeShannon でした。ふつうののどかなリズムアンドブルースで、よくこれを緊迫感ある80年代ニューウェーブサウンドにしたものだと思います。Val Garay のプロデューサー冥利に尽きるカバー。

改めて聴くと、サウンドはニューウェーブにまぶされたほのかなディスコ味、ヴォーカルはキム・カーンズのこれぞハスキーというみごとな節回しでロッド・スチュアートに聞こえたりディランに聞こえたり、映像はイモ欽トリオの元ネタになってないか、みたいな混然とした魅力たっぷり。

Bette Davis Eyes / Kim Carnes (1981)


それにしても、サイケ〜西海岸〜ニューウェーブの流れがわからない(笑顔)。どうしてこうなった。プロの仕事ですね。

(たかはしかつみ)




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