2018.01.20
Feel The Need Feel The Need
Graham Central Sation

Release Yourself (1974)

ファンク・ミュージックを体現している、というかファンクそのものと言ってもいいのがGraham Central Station(GCS)ではないかと思うわけです。今日私たちがファンクと言って想起するスタイルの音楽はまさにGCSのそれではないでしょうか。というわけで今日はGCSを取り上げてみたいと思います。

余談ですが、今年はファンクを1年通して聴いてみようと大仰なことを言ってファンク特集を始めたのが5年前の今日でした。5年経っても一向に筆は進まないしファンクの何たるかもわかっていません。今日でようやく10回目。まあぼちぼち続けていきたいと思います。

James Brownから始まった”ファンキー・ミュージック”を”ファンク”というジャンルに昇華させていったのはJBに影響を受けたヴォーカル・インストゥルメンタル・グループだったのではないかと思います。自由で幅広い表現形態がファンクの特徴の一つだとすれば、そうした音楽的な多様性はバンドだからこそ実現できたと言えるのではないでしょうか。

先に見てきた、JB’sを始めとしてFancadelicやBootsy’s Rubber Bandもヴォーカル・インスト・グループでした。枠にとらわれない自由なスタイルが模索されていく中、自在な表現でメインストリームに躍り出てきたグループが先に取り上げたSly & The Family Stone(SFM)でした。そして天才的なSlyの陰で目立つことはありませんでしたが、彼らの躍進の核になっていたのがベースを弾いていた、後にGCSを結成することになるLarry Grahamです。SFM最大のヒット曲「Thank You」で彼の存在感は大きなものになります。ベースが跳ねてシンコペーションし旋律を奏でる、ヴォーカルはそのベースと呼応する・・・。ベースという楽器をバンドの黒子から一気に前面に押し立てたのがLarry Grahamでした。

LarryはSlyと同様、テキサスに生まれサンフランシスコへ移り住みます。そして母親の音楽活動に付いてクラブで演奏活動を始めます。最初はギターを弾きながら打楽器の代わりにオルガンのペダルを踏んでいました。オルガンが壊れたのでベースを弾きながらベースのリフとフレーズを両方弾きこなしたことで、ドラムなしに母と二人で演奏ができるようになったのです。ベースを親指で弾くことによりドラムの代わりにしたことが彼の演奏の画期的なところでした。今日スラップとかチョッパーと呼ばれる、ベースを叩くような演奏方法のパイオニアがLarry Grahamその人です。

その後、Slyに見出されてSFMに加わったLarryの特徴あるベースがバンド躍進の象徴ともなるのですが、Sly自身が次第に精彩を欠いていったことでバンドは実質的に崩壊。Larryは活動の場を自らのバンドに移していきます。彼がプロデュースしていたHot Chocolateというバンドに自ら加わりGraham Central Stationとして新たにスタートを切ることになるのです。

それでは初期の彼らの作品を聴いてみましょう。1974年の2作目のアルバム『Release Yourself』からGrahamの高速スラップが聴ける「Feel The Need」。これぞエネルギーが充満するファンクの醍醐味です。


今日の1曲


(Kazumasa Wakimoto)




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