2017.11.27 - Live
All The Hits All The Hits
Huey Lewis and the News

(2017)

ヒューイ・ルイスは眼鏡をかけたのを除くとな〜んにも変わっていませんでした。ゴールデンヴォイスも、愛嬌も、そしてあの優しい眼差しも。

Huey Lewis and the News 2017来日公演は、渋谷3回大阪1回の計4公演が組まれましたが、渋谷最終が『一夜限りの特別公演「ALL THE HITS」』と企画されたもの。勇んで参加してきました。ステージは、80年代に本当によく聴いた『Picture This』『Sports』『Back to the Future (OST)』『Fore!』からのヒット・シングルをずらりと並べたものでした。

まずはセットリストを。

世界初!全米チャートを席巻した大ヒット曲を全て披露する究極のセットリスト
一夜限りの特別公演「ALL THE HITS」
Huey Lewis and the News
2017.11.22 渋谷オーチャードホール
  1. The Heart Of Rock & Roll (1984)
  2. If This Is It (1984)
  3. Jacob's Ladder (1986)
  4. Hip To Be Square (1986)
  5. I Know What I Like (1986)
  6. Do You Believe In Love (1982)
  7. Doing It All For My Baby (1986)
  8. Perfect World (1988)
  9. Walking On A Thin Line (1984)
  10. Little Bitty Pretty One (1995)
  11. Back In Time (1985)
  12. Heart And Soul (1983)
  13. I Want A New Drug (1984)
  14. Couple Days Off (1991)
  15. The Power Of Love (1985)
  16. Stuck With You (1986)
  17. Workin' For A Livin (1982)


バンド News のメンバーは5リズム+3管の8名。ベースとリードギターが退団していたのは知っていたのですが、ギター&サックスの Johnny Colla、ドラムの Bill Gibson、鍵盤の Sean Hopper は80年代当時のままでした。うれしい。また管楽器は当時 Tower of Power のホーンセクションが ToP の名のままで参加していたのですが、いまは別の管のメンバーが加わって News の一員というようです。


ヒューイたちの80年代の活動とあわせてステージを振り返ってみたいと思います。

彼らは苦労人の集まりで、Huey Lewis and the News のデビューアルバムはヒューイが30になる1980年までかかります。
そして、1982年セカンドアルバム『Picture This』が大ヒット。日本盤のタイトルはあろうことかの『ベイエリアの青い風』で鈴木英人氏のイラスト(本人むさいのに)。しかし、これがハマりました。その中心が "Do You Believe In Love"、ぼくらの西海岸への憧憬そのもの、熱かった。ただこの曲だけは、オリジナルアレンジと違い、ちょっとたそがれバージョンでした。これもまた聴けてよかった。


『Picture This』(1982)
"Do You Believe In Love", "Workin' For A Livin" が演奏された。



続いて、彼らをアメリカンロックの代表と印象付けたメガヒット作『Sports』。どれも大ヒット。元気な曲中心ですが、この時代に "If This is it" のような3連のロッカバラードもヒットさせる彼らの力量は当時にあって稀有なものだと改めて認識(あとで出てくる "Doing It All..." も3連バラードだ!)。


『Sports』(1983)
"Heart And Soul", "I Want A New Drug", "The Heart Of Rock & Roll", "If This Is It", "Walking On A Thin Line" が演奏された。



そこにもってきて映画『Back To the Future』と主題曲の大ヒット。ヒューイも先生役で出てました。この映画の日本公開とほぼ同時にメガヒットひっさげて1985年末に初の日本ツアー。東京では武道館やNHKホールというでかいところで演りました。しかし "Power of Love" は曲のどこをとってもいい。分厚い「パワー」ホーンのイントロ、キレのいいリズム、つなぎ旋律(They say that ..のとこ)の大合唱、どれをとっても、最大のヒットが、最高の楽曲という幸せな組み合わせ。「来る日も来る日も歌う曲になるとは」とヒューイはおどけていたけれど。


『Back to the Future』(1985)
"The Power Of Love", "Back In Time" が演奏された。



快進撃はとどまることを知らず、4枚目のアルバム『Fore!』。"Stuck with You" は地味だなーとおもったけど、いまだにじわじわくる。これをひっさげ、1987年夏に2度目の来日、弟分の Bruce Hornsby and the Range を前座においての後楽園球場(個人的には私のこの球場のお別れでした)。


『Fore!』(1986)
"Stuck With You", "Hip To Be Square", "Jacob's Ladder", "I Know What I Like, "Doing It All For My Baby" が演奏された。



この後もヒューイたちのヒットは続き、その次に来た時は、東京ドームでの年越し&元日(1990年)のイベント。トリをつとめていました。このとき、ぼくは有楽町のデパートでヒューイにばったり会ってしまって、あわててチケットを買いに行きました。ドームのヒューイはまぶしくて、ビールがとてもうまかったことを覚えています。


さて、2017年のオーチャードホールでは、ビールこそ飲めませんでしたが、本当にあの日のまま。な〜んにも変わっていないヒューイ・ルイスがいました。アカペラも1曲、"Little Bitty Pretty One。もちろんメンバー全員がフロントに出てきて、スタンドマイクで歌います。

「俺たちは、自分たちがやってることが本当に好きなんだ。でもそれは、お前らみんながいるからだよ」と、ヒューイ。また「アリガトウゴザイマス」と丁寧に日本語でお礼を言ってくれるのも、とても印象的でした。

なお、この晩は、世界初だの、この夜限りだのの触れ込みのスペシャルセットだったのですが、聴いた感じは、毎日のライブとおそらく何も変わらないような安定感。どうやら、どの曲も時折ステージにかけているようで、それなら「新しめの曲を外して全部ヒットで」という構成が企画された模様です。それゆえ、いつものメンバーで、いつもように、いつもの音楽を心を込めて。Huey Lewis and the News、80年代のぼくらの「ハート・オブ・ロックンロール」。

(たかはしかつみ)




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