2017.11.23
You've Got A Friend You've Got A Friend
Carole King

Tapestry: Live In Hyde Park (DVD+CD) (2016)

わたしはまた泣いています。「You've Got A Friend」の同じ場所、ブリッジの部分で。訳詞がテロップで示されます。

「友達がいるのがわかると嬉しいものよね
人はときにとても冷たくて
あなたを傷つけ、一人ぼっちにしてしまう
あきらめたらあなたの魂まで奪ってしまう
そんなことさせちゃだめ」。

そして、「You just call out my name」と続くから余計に泣いてしまうのです。観客の歌声も、いっそう大きくなります。この曲がリリース当時の世相にリンクし、たくさんの人々の想いを代弁し、必要とされたことはよく知られているけれど、極東の果ての島国に住んでいる、英語があまりよく分からない少女にはジェームス・テイラーの歌うこの曲が先に届きました。そして程なくわたしは『Tapestry』というアルバムでキャロルの歌う「You've Got A Friend」に出会ったのでした。ピアノを弾きながら歌うというスタイルに大いに憧れて、真似ごとに勤しんだものでした。

わたしにとってのキャロル・キングが、職業作曲家としてよりもシンガーソングライターとしての印象が強いのは、このアルバムの影響であろうと思います。曲調が偏らず、ロックでもあり、ブルースの要素もあり、でもポップでもある。そして、少しハスキーな声で心情に静かに語りかけてくる歌詞。
自分が歳を重ねてきたせいか、彼女は音楽家としてだけでなく、まさにこれからの生き方のお手本にしたい女性でもあります。
1曲目、「I Feel The Earth Move」のイントロのピアノの力強いこと! 歌詞も見ず、譜面も見ず、メドレー含めて25曲です!
演奏はもちろん現役バリバリなのだけど、曲間のMCでは皺くちゃな笑顔を振りまき、ギターを抱えて跳ね、コールアンドレスポンスをし…
74歳ということを忘れそうになるくらいパワフルです。

ハイドパークに夕陽が落ち、次第に空が暮れなずむ様子の美しさも見ものです。そして、観客がみんなそれぞれの想いを歌に乗せている様子が良くわかります。ああ、観に行った方が羨ましい!

残念ながら、世の中はあいも変わらず争いや諍いが絶えません。『Tapestry』に綴られた曲たちは、50年近くの間、誰かに必要とされ続けました。落ち込んだ時、前を向けない時、少し淋しい気持ちの時、わたしはこれからもこのアルバムに何度も針を落とすと思います。

11月26日午前0時15分から、NHKBSプレミアムでこのライブが放映されます。キャロル・キングの半生を描いたミュージカル『ビューティフル』の主役を演じた水樹奈々と平原綾香がナビゲートするそうです。観てまた泣くと思います(笑)わたしと一緒に泣いてくれる人募集します。

(なかのみどり)




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