2017.11.22 - Songwriter
This Diamond Ring This Diamond Ring
Al Kooper - Songwriter

(1964)

Songwriterシリーズ、今回は Al Kooper を取り上げたいと思います。

今回は Al Kooper が1960年代初期に関わった楽曲をみていきますが、そのクレジットの多くは Irwin Levine と Bob Brass との共作となっています。特に Irwin Levine は多作で知られている人です。Irwin Levine については次回以降、あらためて取り上げたいと思います。

Al Kooper は1944年ニューヨーク、ブルックリン生まれ。1959年に The Four Seasons の Bob Gaudio が在籍していたことで知られる The Royal Teens にギターリストとして参加したことでその音楽キャリアをスタートさせました。

1960年になると Eric Krackow という人と The Musclemen というグループを組んでシングル"Sick Manny's Gym" C/W "Plunkin' というシングルをリリースします。いずれも 作曲に Alan Kooper = Al Kooper のクレジットがあります。このシングルをプロデュースしたのが、Elvis Presley に楽曲提供していたことで知られる Aaron Schroeder でした。 Aaron Schroeder は当時、音楽出版社を経営しており、Al Kooper にその音楽出版社に所属していたソングライター・チーム、Irwin Levine-Bob Brass と共作するように薦め、このチームに参加するようになります。

Al Kooper と Irwin Levine-Bob Brass と共作曲の中で以下に挙げたもの以外で有名なのは、Gene Pitney に "I Must Be Seeing Things"、"Hawaii" という楽曲があります。たぶん、Aaron Schroeder が Gene Pitney がマネージメントをやっていた繋がりで楽曲提供したものだと思います。

ここからは1960年から1965年にかけて、Al Kooper-Irwin Levine-Bob Brass の作品を中心に聴いていきたいと思います。


It's Rainin' Outside(Al Kooper) / Pat Lundy(1963)

1963年にリリース。クレジットは Al Kooper 単独です。歌っているのは1960年代から1970年代にかけて活躍した黒人女性歌手、Pat Lundy という人で、とてもパンチある歌唱です。


Penn Station(Brass-Levine-Kooper) / Henrietta & The Hairdooz (1963)

1963年、Liberty Records からリリースしたガールグループもの。Henrietta & The Hairdooz は Baby Jane & The Rockabyes、The Lullabyes とグループ名変え、メンバーチェンジを行ってきたガール・グループです。多くはスタジオ・セッションの・コーラスの女性達だと思います。


This Diamond Ring(Brass-Levine-Kooper) / Gary Lewis And The Playboys(1964)

Brass-Levine-Kooper チームの楽曲で一番知られた曲です。元々は The Drifters に書かれた曲だったそうです。1964年、Liberty Records からリリース。アレンジは Leon Russell、プロデュースは Snuff Garrett。この同じプロダクションチームで "(Gary, Please Don't Sell) My Diamond Ring / Wendy Hill(1965)" というアンサーソングも作られました。同じ曲ですが、題名が面白いです(笑顔)。


You Can't Lose Something That You Never Had(Brass-Levine-Kooper) / Bruce Scott(1965)

1965年リリース作品。とても美しいバラードです。まるでバカラックが作ったようなメロディ。 Bruce Scott は歌手兼俳優で当時アイドルで人気だったようです。


Tell It Like It Is(Brass-Levine-Kooper) / Lulu(1967)

これがオリジナルなのか不明ですが、イギリスの歌姫、Lulu が歌っています。
これもとっても好きな曲。Brass-Levine-Kooper の作品はビートの強いものが多いのですが、ミディアム調もいいです。


I'm Over You(Brass-Levine-Kooper) / Lenny Welch(1967)

元々は1966年に Lorraine Ellison に提供されたものがオリジナルのようですが、この Lenny Welch 歌唱の方がいい感じです。憂いを持ったいい曲です。


Where Were You(When I Needed You) (Levine-Kooper) / Ernie Andrews (1965)

Where Were You When I Needed You(Levine-Kooper) / Al Kooper(1972)

1965年、Capitol Records からリリース。Bob Brass が参加していない楽曲。スケール感あるいい曲です。初期の Al Kooper の作品の中でも一番好きな曲です。

Al Kooper は先の Ernie Andrews に提供した "Where Were You" を1972年のソロアルバム『Naked Songs 』でセルフカバーします。オリジナルを完膚無きまで変え、グルーヴ感たっぷりの素晴らしいアレンジ。冒頭の Al Kooper 自身のオルガンに何度聴いてもシビレます!ギターも Al Kooper。ストリングス・アレンジに Jimmy Wisner を起用しています。


Al Kooper は1965年に Bob Dylan のライブ・コンサートにハモンド・オルガンで参加。そして、その Bob Dylan のシングル "Like a Rolling Stone" の印象的なオルガンのリフを刻み込むことによって、ここから新たな "Al Kooper伝説"が生まれることになります。


(富田英伸)




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