2017.09.29 - Live
鈴木祥子の今夏のライブに寄せて 鈴木祥子の今夏のライブに寄せて
鈴木祥子

(2017)

 私の好きな女性シンガー・ソングライターの鈴木祥子さんが来年(2018年)デビュー30周年を迎えます。
 私が鈴木祥子さんの歌を知ったのは、ラジオから流れる1990年リリースの四枚目のアルバム『Long Long Way Home』の「Little Love」。歌唱とともに歌声の魅力に惹きつけられました。それから、彼女のアルバムをデビュー作から順番に聞き、そして、当時の彼女のライブにも足を運ぶようになりました。
 私が初めて見た彼女のライブは、1990年7月の日比谷野音での小倉博和さん、佐橋佳幸さん、渡辺等さんらをバックにしたライブでした。2008年にデビュー20周年でリリースされた『SHO-CO-SONGS COLLECTION VOL.1』に収められてDVDに映像が残っています。閑話休題。
 さて、昨年から彼女は音楽活動復帰後の順調な足跡を見せており、その基盤としてのライブ活動を積極的に進めています。昨年から今年にかけて3回に渡り、銀座のレコーディング・スタジオの Onkyohaus で行われた観客を入れたレコーディング・ライブがその足跡の証と受け取れます。
 ところで、今夏、私は7月、8月と彼女のライブに足を運ぶ機会を得ました。
 7月17日、川崎の新百合ヶ丘の川崎アートセンター内のアルテリア小ホールで行われた彼女の新しいライブ・シリーズの「Syoko. With Klavier」と題するライブで、いろいろな鍵盤楽器の弾き語りでした。
 ステージ上に、チェンバロを真ん中に、彼女が小さいころから愛用してるアップライト・ピアノ、そしてクラヴネットの三つの鍵盤楽器、歌に合わせて三つの鍵盤楽器を移動しながら、最近リリースしたCD『鈴木祥子最新録音集』の新作、旧作、カバーなどが歌われました。また、ライブの中には、三つの鍵盤楽器を説明されたり、Puffyに提供した歌「Sweet Drops」(『最新録音集』にデモVer.が入っています)に、Captain & Tennile、Slade、The Bobby Fuller Four のカバーを織り込むで楽しく歌う場面もありました。
 また、8月19日、午後から雷鳴とどろく土砂降りの雨の土曜日。渋谷の100人入ると満席になりそうな Saravah というライブハウスで彼女の誕生日 eve eve のライブがありました。
ライブは、ピアノとクラヴィネットの弾き語りで、第一部はデビュー曲の「夏はどこへ行った」や、「優しい雨」「電波塔」「名前を呼んで」ほかによる来年デビュー30周年のプレ・イベント風のオールタイムベストを意識した選曲でした。第二部では、ファンからリクエストを募った夏歌のカバー。Seals & Crofts の「Summer Breeze」に Eagles の「I Can't Tell You Why」と Paul Davis の「Cool Night」を織り込んだ彼女の言葉を借りれば、大人の雰囲気をかもし出した’80年代の夏歌、また大滝詠一の「泳げ!カナヅチ君」や稲垣潤一の「夏のクラクション」なども歌われました。加えて、新曲の「星のまばたき」、アンコールでは、観客とともに「風の扉」がアカペラで歌われました。
 今夏の二回のライブ、私は、彼女のバラードからロッケンロールまで幅の広い歌唱を楽しめたし、シンガー・ソングライターの面とポップス歌手の面を併せ持つ歌手としてこれからも楽しみな歌手であることを再確認できました。
 来年デビュー30周年を迎える鈴木祥子さんですが、どのような30周年を迎えるのか。2008年リリースの『Sweet Serenity』以来のオリジナル・アルバムのリリース、記念ライブの開催ほかをファンのひとりとして期待と楽しみを持って待ちたいものです。

(伊東 潔)




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