2017.09.04 - Songwriter
Some of Your Lovin' Some of Your Lovin'
Carole King [Songwriter]

(1965)


Songwriterシリーズ、 Carole King、その第2回目です。

第2回目は、イギリスで制作された作品を聴いていきたいと思います。
それに先立って、Carole King が職業作曲家としてスタートした頃の周辺についてみていきます。

Aldon Music と契約した Carole King と Gerry Goffin の2人。作曲活動のために、ニューヨーク、マンハッタンのブロードウェイにある雑居ビルの個室が与えられます。Carole King だけでなく、多くのソングライター、レコード出版社、プロモーター事務所がこの界隈に集合。いわゆるブリル・ビルディング・サウンド時代の到来です。
特にソングライター達の多くはチームを組んで楽曲制作を行っていました。そのチーム同士は時にはライバルとなり、時には助言したりして切磋琢磨して、より良い楽曲を生み出そうと努力していました。ここで Carole King を助けたソングライターの仲間たちについて少し触れておきたいと思います。

Howard Greenfield は主に Neil Sedaka そして Jack Keller とのチームで知られている 作詞家ですが、Tina Robin "Play It Again" の作詞補やThe Everly Brothers "Crying In The Rain " で詩を担当しました。
Teddy Randazzo は歌手時代、Goffin-King から "Echoes" という楽曲の提供を受けていますが、その曲の作詞補だったのが、Cynthia Weil でした。
Tony Orlando が別名、Bertell Dache 名でリリースした "Love Eyes" は Goffin-King の作品ですが、その Teddy Randazzo がアレンジを担当しました。
Barry Mann-Cynthia Weil チームが Tony Orlando に提供した曲、"Bless You" のアレンジを担当したのが Carole King 。
Carole King が Andy Williams に提供した楽曲、"Help Me" の詩を書いたのは Cynthia Weil でした。
Goffin-King がTony Orlando に提供した曲、"Happy Times" では Cynthia Weil が作詞補を行っています。
Russ Titelman と Gerry Goffin が共作した曲の多くは Carole King がアレンジに回っています。

このように当時のソングライターチーム同士のコラボレーションは多く見受けられ、当時は活気ある音楽制作現場だったと推察できます。
特に、Cynthia Weil とは女性同士、主婦仲間として、公私ともにいい友人ではなかったかと想像できます。

では、イギリスで制作された作品を聴いてきましょう。


I Want To Stay Here (Carole King-Gerry Goffin) / Carol Deene (1963)

初出は同年の Steve And Eydie のバージョン。Carol Deene は以前に Joanie Sommers で知られる "Johnny Get Angry" をイギリスでヒットさせたことのあるキュートなアイドルシンガー。Steve And Eydie のバージョンもいいですが、こちらはちょっとリズムを早くして軽快に。とっても可愛らしく仕上がっています。


When My Little Girl Is Smiling(Carole King-Gerry Goffin) / Craig Douglas(1962)

初出は The Drifters のバージョン。Craig Douglas は1959年に Sam Cooke の "Only Sixteen" や Teddy Randazzo の "Pretty Blue Eyes" をカバーし、イギリスでヒットさせたシンガー。The Drifters のバージョンに比べ、爽やかな仕上がりになっています。


Softly In The Night(Carole King-Gerry Goffin) / The Three Bells(1964)‎

初出は Cookies のバージョン。The Three Bells はリバプール出身の3人組のガールグループ。後に The Satin Bells と名前を変えて活動しています。ディレクションは Helen Shapiro ‎や Dusty Springfield を手掛けた Ivor Raymonde 。Cookies のバージョンよりも派手派手です。


How's About Trying Your Luck With Me(Carole King-Gerry Goffin) / Freddie and the Dreamers(1965)‎

1965年に Freddie and the Dreamers に提供した作品。あまり知られていない作品ですが、ちょっととぼけた Freddie and the Dreamers の世界観にぴったりの曲です。


I Need You(Carole King-Gerry Goffin) / The Walker Brothers(1966)‎

初出は Chuck Jackson のバージョン。しかし出来は この The Walker Brothers のバージョンが勝っていると思います。ドラマティックに展開、素晴らしい Scott Walker のボーカルです。UK EP チャートで1位を獲得。


The World I Used To Know(Carole King-Gerry Goffin) / Kenny Lynch(1966)‎

Kenny Lynch はロンドン出身のシンガー、ソングライター兼俳優。1962年には "Up on the Roof" をイギリスでヒットさせています。アメリカでは Bobby Goldsboro が取り上げています。


Some of Your Lovin'(Carole King-Gerry Goffin) / Dusty Springfield(1965)‎

アメリカ本国では The Honey Bees、The Paris Sisters が歌いましたが、このボーカルが素晴らしい Dusty Springfield がやはり本命だと思います。Dusty Springfield にとっても代表曲となりました。Ivor Raymonde がディレクションしています。


Some of Your Lovin'(Carole King-Gerry Goffin) / Carole King(1966)‎

1966年、"Some of Your Lovin'" をCarole King 自身がセルフカバーしています。その曲を最後に。Tomorrow Records という Carole King の個人レーベルからリリース。


3回目に続く。

*写真は、Goffin-King 夫妻と Mann-Weil 夫妻

(富田英伸)




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