2017.07.02
所縁 所縁
阿佐ヶ谷ロマンティクス

街の色 (2017)

 ここ一ヶ月、私にとってのまさにヘヴィ・ローテションといっていいCDがあります。それは、阿佐ヶ谷ロマンティクスの『街の色』です。
 私と彼らの音楽との出会いは、偶然、YouTubeで彼らの「所縁」のMVを見て、耳に心地よく響く女性ヴォーカルの歌唱とバンド・サウンド、そしてふっと懐かしさを感じるメロディに惹かれました。

今日の1曲

 阿佐ヶ谷ロマンティクスは、2014年春に早稲田大学の中南米研究会のメンバー6人によって結成されたバンドです(現在、5人になりました)。レゲエのリズムにのったサウンドをベースにしたシティ・ポップ、ポップ・ロックのバンドという印象を私は受けます。彼らは、インディーズで2014年12月にミニ・アルバム『阿佐ヶ谷ロマンティクス』をリリースした後、2015年7月にシングルCDの「春は遠く夕焼けに」(CW「後ろ姿」)をリリース、そして、2017年1月にP-Vine Recordsから前述のシングル2曲を含むメジャーでのフル・アルバム『街の色』をリリースしました。
 『街の色』は、メンバーとの共作の2曲を除いて全曲作詞作曲をギター担当の貴志朋矢さんが担当しています。
 「所縁」はギターのイントロからホーンセクションをバックにレゲエのリズムにのってリード・ヴォーカルの有坂朋恵さんの歌唱がそのサウンドにマッチして、気持ちよく耳に響きます。それに加えて「後ろ姿」で聴かれるような、コーラス部分での有坂さんのヴォーカルと貴志さんのヴォーカルがユニゾンで平行して歌われる部分が、彼らのサウンドにうまく溶け込んで彼らの音楽の魅力のひとつといえましょう。
 アルバム全体を通して聴くと、「シティ・ポップ」という言葉が私の頭に中に浮かびます。これに関連した、かれらのインタヴュー記事の中で、あるインタヴュアーから、彼らに「シティ・ポップ」というより、「タウン・ポップ」という言葉を投げかけいるのは私には面白かった。私は、彼らの音楽は、渋谷、新宿などの都市の音楽というより、中央線沿線、都内近郊ほかの街の人々の時間や風景などの移ろい、情景を歌っている、漂わせているように感じます。「春は遠く夕焼けに」、「道路灯」、「後ろ姿」などはそんな「タウン・ポップ」の魅力を感じさせる曲です。
 少し彼らの声に耳を傾けてみましょう(以下は貴志さんのコメントです)。阿佐ヶ谷ロマンティクスのロマンについて、

 
うーん、ゆったりとした曲調をみんな受け入れてくれることかなと思います。あとはたとえば「所縁」だけを1時間2時間とループさせて聞いていられるような、そういう音楽をつくっていきたいですね。
それはロマンかどうかは分かりませんが、自分の野望としては、リスナーの方が自分たちの音だけで一日を終えられるような音楽を作りたいです。

 私は、そういう音楽を作ろうとする阿佐ヶ谷ロマンティクスのこれからがとても楽しみであり、少し期待を込めてエールを送りたい新人バンドであります。

(参考)
  • キープ・ジュブナイル-阿佐ヶ谷ロマンティクス、インタヴュー (ele-King)
  • 【INTERVIEW】阿佐ヶ谷ロマンティクス『街の色』(Indiegrab)



(伊東 潔)




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