2017.04.30 - Live
ONE ON ONE JAPAN TOUR 2017 ONE ON ONE JAPAN TOUR 2017
Paul McCartney

(2017)

Paul McCartney の2017日本公演が終わりました。武道館&東京ドーム3DAYS、夢のような1週間。水を飲まないとか、74歳の年齢とかが話題になっていましたが、ノンストップ37曲2時間半、もう物理的な制約から離れ、ただただ音楽の楽しさと、曲の良さを表現するシステムが完成されたように思います。たとえば今日の "Let It Be" はすごかった。何千回聴いたところでポール先生の曲に「わかった」はないと改めて思い知らされたところです。どんな曲もポール自身がその楽しさを一番わかっている。それをポールとバンドが表現することで、曲の旋律や歌詞やリズムの機微に触れ、ぼくたちは混乱と陶酔の中に放り込まれてしまうのです。


ONE ON ONE JAPAN TOUR 2017 SET LIST
27, 29, 30 Apr 2017 Tokyo Dome

01. A Hard Day’s Night
02. Junior’s Farm (or Save Us)
03. Can’t Buy Me Love
04. Jet (or Letting Go)
05. Temporary Secretary
06. Let Me Roll It
07. I’ve Got a Feeling
08. My Valentine
09. 1985
10. Maybe I’m Amazed
11. We Can Work It Out (or I've Just Seen A Face)
12. In Spite of All the Danger
13. You Won’t See Me
14. Love Me Do
15. And I Love Her
16. Blackbird
17. Here Today
18. Queenie Eye
19. New
20. The Fool on the Hill
21. Lady Madonna
22. FourFiveSeconds
23. Eleanor Rigby
24. I Wanna Be Your Man
25. Being for the Benefit of Mr. Kite!
26. Something
27. Ob-La-Di, Ob-La-Da
28. Band on the Run
29. Back In The U.S.S.R.
30. Let It Be
31. Live And Let Die
32. Hey Jude

33. Yesterday
34. Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise)
35. Get Back (or Birthday or I Saw Her Standing There)
36. Hi, Hi, Hi
37. Golden Slumbers / Carry That Weight / The End

* 30日東京ドームを基本に作成
* アンコール M35は完全日替わり
* 他日に若干の曲順替えあり


それでは、演奏順に簡単に振り返りを。

オープニングの "A Hard Days Night" は本ツアーの基軸曲ですが、日本初お目見えで、ジョン色が強い曲の選択が嬉しく。M2 "Junior’s Farm" はようやく日本で聴けた Wings のスマッシュヒット。M3 ”Can't Buy Me Love" をはさんで、M4でまたもや Wings。M5 "Temporary Secretary" は、1980年に成田で逮捕された直後にやけくそで作ったソロアルバムから(本人「Electronic Song」と言っていましたが、テクノと言わないのか)。ここまではヘフナーを弾いて来ます。

M6 "Let Me Roll It" は定番のポール先生ブルースで、必ずジミヘン "Foxy Lady" まで演奏。M7は珍しいビートルズの曲("Let It Be" のルーフトップ曲です)。ポールは子供の絵がペイントされたレスポールのギタープレイを楽しみます。

M8-10 はピアノにて。M8 "My Valentine" は2012年製作の新しい曲であるも、もはやオールディーズの風格です。M9 "1985" は「Wingsfan!」と呼びかけ乗せる!M10 "Maybe I’m Amazed" のドーム初日はいい演奏で乗り切り、これで成功を確信した人も多いのでは。

M11-15 がアコースティックセットで、今回の目玉。M12 "In Spite of All the Danger" はビートルズ初録音とされるもので、デビュー4年前の1958年作。そして M14 "Love Me Do" でレコードデビューするのですが、この2曲の どカントリーアレンジが会場を一つにします。M13 "You Won’t See Me" は『Rubber Soul』からの珍しい曲で、しかも作曲原型を再現する貴重なものでした。

M16-17 はおなじみのアコギ弾き語り。武道館の "Blackbird" はポールが失敗して止まりかけたのですが、会場一体で励ます感ありありの思い出の曲になりました。"Here Today" は1981年作のジョンへの追悼曲。終盤の "You were in my song" という歌詞で毎日(小さな)拍手が起こるのです、いい客だなあ。

M18-21 は、昔から愛用のサイケペイントされた「マジックピアノ」を弾いての演奏。しかし、今回からマジックピアノがバージョンアップして、背面のペイントが液晶?になってサイケ度が激しく増していたのですがこれ重大事ですね:)

M22 "FourFiveSeconds" は、リアーナ、カニエと組んだポールの最新ヒット曲(2015年)。このスタジオ録音のヴォーカルはリアーナとカニエで、ポールはアコギのみだったのですが、今回のカバーでポールの関与の範囲が推定できるのではないかと考えられ、それも含めてあっと驚くナイス選曲でした。ちょっとリアーナ風に、カニエ風にも歌うのです。

M23 からは、黄金大団円への道のり。リンゴやストーンズでおなじみの M24 "I Wanna Be Your Man" は、今回のため仕込んできたサービス曲。M25 "Being for the Benefit of Mr. Kite!" は来たる Sgt. Pepper’s 50周年記念リイシューに向けた景気付けの1曲(しかしベースラインと主旋律が全く異なる変態曲)。M26 "Something" はジョージトリビュート。ウクレレからバンドサウンドへ流れ込むアレンジがウクレレで演る意味をまじまじと。そして大爆発の "Live And Let Die" を経て "Hey Jude" へなだれ込みます。

アンコールは今回4曲、"Get Back" "Birthday" "I Saw Her Standing There" の3曲は完全日替りでありました。連日ファンをステージにあげるサービスも(ハグまで!)。"Golden Slumbers / Carry That Weight / The End" で、すんごい演奏をしていった5人の男たち。ポール先生は「マタ、アイマショウ」の言葉が。ポールありがとう。また会いましょう。


おまけ、ポール先生の日本語学習

ポールの日本語MCはかなりのものだと思います。前回の来日時の成果は「ナンシーのためにカキマシタ(ドヤ顔)」でしたが、今夏はポール先生カタカナ英語に目覚めるの巻です。
初日(武道館)に披露したのが「ざ・びいとるずぅ」、カタカナ英語です。ついでドーム初日の成果が「とうきょうどーむぅ」、ドーム二日目が「ぼくはぽぉるまっかぁとにぃ」という頭の痛いもの。ドーム3日目はさすがに飽きたかと思っていましたが「ごおるでんういいくぅ」と来たもんだ。

今回、自分のコメントがサンスポに掲載されることから始まって、いろんな楽しいことがありました。ポールとメンバー・スタッフ、それに一緒に楽しんでくれた仲間たちに感謝です。
(武道館のことも追って加筆する予定です)



武道館公演についてなど(5月1日追記)

ポール先生ですが、30日のドーム公演後そのまま羽田に向かい(ホテルには寄ったらしい)離日されたもよう(唖然)。タイムラインは 4/23(日)羽田着→24(月)武道館リハ→25(火)武道館→27(木)ドーム→29(土)ドーム→30(日)ドーム→5/1(深夜のうち) 羽田発(速や!)となりました。

ポールの武道館公演は前2015に続いて2回目、前回同様に追加公演ですが、今回は初日前となりました。気になるセットリストは、ドームのダイジェストといったところで、武道館のみが2曲ありましたが「聴けずにじだんだ」ということはないと思います。ポール先生のパフォーマンスですが、実はあまりよくなかった。武道館が昨年10月にこの ONE ON ONE ツアーを中断した時からの初ステージではあったのですが、少し心配をしました。体が鳴っていない感じ。武道館の後半には少し持ち直します。それがドームに場を移して連日の復調、復調、完調へ、スゴイ。

前回の武道館は(お互い)妙な緊張感がありましたが、今回はより自然でありました。"Love Me Do" 時に66年の武道館公演を率直に回想したシーンがこの日のハイライトであったと思います(このことをたまたま取材のサンスポの記者の方に話したところ紙面に掲載していただく幸運となりました \^_^/ )。しかしビートルズが演奏したホールでそのまま残っているのってどれだけあるのだろうか。なお今回は主催者側の武道館演出はとくになく、かわりにドーム最終日の "Hey Jude" で5万観衆でサイリウムを振ってポールに応えました。

(おまけ1)
パンフがおもしろい。今回も読み応えがあります。ポール先生は「技術習得には練習とバンドと過ごした時間の長さ」とおっしゃっています。なお、パンフにはぬり絵とシールがついてます。3Dプリンタ用の先生のデータダウンロードのURLも載っています。ワケワカラナイ。

(おまけ2)
ライブ中の撮影は動画と録音禁止、プロ機材禁止、フラッシュ禁止ということで、事実上スマホの写真撮影は容認の運用がされていました。そのせいでかなりの数が(動画も…)ネットに上がっています。興味がある人は各自でですが、スタッフによると思われる映像が面白いのでひとつここに。

Paul McCartney in Tokyo traffic - 29 April 2017


ONE ON ONE JAPAN TOUR 2017 SET LIST
25 Apr 2017 Budokan


01. A Hard Day’s Night
02. Jet
03. Drive My Car*
04. Junior’s Farm
05. Let Me Roll It
06. I’ve Got a Feeling
07. My Valentine
08. 1985
09. Maybe I’m Amazed
10. We Can Work It Out
11. Every Night*
12. In Spite of All the Danger
13. Love Me Do
14. Blackbird
15. Here Today
16. Queenie Eye
17. Lady Madonna
18. I Wanna Be Your Man
19. Magical Mystery Tour
20. Being for the Benefit of Mr. Kite!
21. Ob-La-Di, Ob-La-Da
22. Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise)
23. Back In The U.S.S.R.
24. Let It Be
25. Live And Let Die
26. Hey Jude

27. Yesterday
28. Hi Hi Hi
29. Golden Slumbers / Carry That Weight / The End

*印の曲が武道館のみの演奏

(たかはしかつみ)




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