2017.03.04
The Smile Has Left Your Eyes The Smile Has Left Your Eyes
Asia

Alpha (1983)

前回の続きです

かなり上手くいっていた Fripp / Wetton / Bruford の King Crimson 1972-74 ですが、Fripp の不意打ちのような解散宣告で、Wetton は戸惑ったのではないかと思います。Wetton はクリムゾンの再結成も願ったようなのですが、結局クリムゾンが70年代によみがえることはなく、Wetton はいくつかのバンドで活動することとなります。その中には Bill Bruford をさそって結成した U.K. もありました。そして次なるステップが80年代前半に大ヒットを飛ばしたグループ Asia でした。

Asia は Wetton のほか、Yes から Steve Howe と Geoff Downes、ELP から Carl Palmer が参加して結成されたプログレ・スーパーグループでした。ここでプログレ・メンバー樹形図の話をしたくなるところですが、誰も興味がないと思いますので飛ばすと、King Crimson / Yes / ELP の各バンドは(音楽性が違うにもかかわらず)メンバーのやりとりが盛んで、Asia はそのハブとなって特別展やってたみたいな感じです。


Only Time Will Tell / Asia (1982)

"Only Time Will Tell" は、大ヒットした "Heat of the Moment" に続く彼らのセカンドシングルで、こちらもヒットしました。この曲は実はリズムのノリがすごく変、ばらばらなのです。変拍子ならぬ変ノリ。ベース・ヴォーカルの Wetton が突っ込み気味の前ノリで気持ちよく飛ばす中、キーボードとギターがクールにジャスト、そしてドラムの Palmer は Palmer で独特の後ノリ(もったり)。このばらばらは気持ち良いはずはないのですが、繰り返し聴くと、快感に。危ないからだ(笑い)になってしまっているのかもしれません。


Asia はプログレなどの硬派の文脈では〈産業ロック〉などと揶揄されてかわいそうなところがありましたが、素晴らしい曲を多数残しています。

The Smile Has Left Your Eyes / Asia (1983)

"The Smile Has Left Your Eyes" は、Asia のセカンドアルバムからのシングルカットで、これまたヒットしました。泣きのメロディーは Wetton の持ち味で、彼はライブでもこの曲を大事に歌っていました。サウンドは実はスペクターサウンドや「明日に架ける橋」の系列に並べても良いもので、80年代の良質なポップスだと思います。


Voice of America / Asia (1985)

"Voice of America" は Asia のサードアルバム収録曲です。なかなかの1曲ではないでしょうか。もうプログレとかロックバンドどうのという話ではなく、MOR のとても良い曲です。Epic は郷ひろみにカバーさせればヒットしたのではないでしょうか。


ここで Asia の全盛期の映像を見てみましょう。確か日本からツアーを開始させるとかの鳴り物での武道館公演だったのですが、来日直前に John Wetton が脱退し(音楽性の相違とも酒でクビとも)ヴォーカルがなんと Greg Lake に変わっていました。これは驚きました。

Asia Budokan (1983)

Asia の危機を救ってくれた Greg Lake ですが、その後 John Wetton が Asia にもどり、Lake の参加は一時のトラで終わりました。

そんな John Wetton と Greg Lake ですが、Lake が昨年末に (2016.12.7)、Wetton が年始に (2017.1.31) に相次いで亡くなってしまいました。プログレ界の、歌える二人。John Wetton と Greg Lake のご冥福をお祈りします。




(たかはしかつみ)




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