2017.02.28
Fallen Angel Fallen Angel
King Crimson

Red (1974)

今日は、ぼくが大好きな歌い手、ベーシスト、そして作曲家である John Wetton の曲を聴いていきたいと思います。まずはこの曲、1982年 Asia の大ヒット "Heat of the Moment"。

Heat of the Moment (John Wetton, Geoff Downes) / Asia (1982)

この曲は売れました。ヴォーカルが John Wetton です。

John Wetton はプログレ畑の人で King Crimson、U.K.、そして Asia での活躍で知られています。

King Crimson には 1973年に参加し、3枚のアルバム製作に関わりました。

Larks' Tongues in Aspic(太陽と戦慄)(1973)
Starless And Bible Black(暗黒の世界)(1974)
Red (1974)

クリムゾンはリーダーの Robert Fripp 以外のメンバーはしばしば入れ替わるのですが、この2年強の期間は筆者が最も好きなクリムゾン、お勧めします。メンバーは Robert Fripp (Gt)、John Wetton (B/Vo)、Bill Bruford (Dr) のスリーリズムが軸。Bruford は絶頂期の YES をやめて加わって来ます。掲出ジャケットの3名。メンバーの顔だけのアルバムジャケットは、クリムゾン後にも先にもありません。

特に聴いていただきたいのが『Red』のA面。このA面3曲はハードロックとしての強さ明快さを持ち、他方歌ものとして泣けます。プログレなのでしょうが、無駄なインプロビゼーションもなく、変拍子も気づかないほどに。しかもA面の3曲が非常に統一的な雰囲気を醸し出しているけど、無理やりプログレ的組曲化されてないのもいい。普通のロックアルバムとしてもお勧めできるものです。

Red (1974) by King Crimson

A1. Red (Fripp) / King Crimson
A2. Fallen Angel (Fripp, Wetton, Palmer-James) / King Crimson
A3. One More Red Nightmare (Fripp, Wetton) / King Crimson

A1 タイトル曲 Red を聴いてみます。

Red / King Crimson (1974)

鍵盤なしのスリーリズムインストなのですが、どの楽器も歌っていて引き込まれます。この曲をして、クリムゾンはヘビメタだという人もいます。

続いて A2、これこそ John Wetton の真骨頂で泣ける旋律に、情感豊かなヴォーカルです。Wetton の歌は、声楽的な上手いのうまくないのを超えた良さがあります。またこの曲の Robert Fripp の伴奏がすごい。アコースティックとエレキギターを使い分け、正確なタッチで「歌伴」に徹しています。佐橋佳幸のやってることとほとんど変わらない。

と、紹介したところで音を紹介したのですが、タダで聴ける音が(おそらく Fripp の方針で)転がっていない。なので、最近の John Wetton のパフォーマンスです。District 97 というはアメリカの(クリムゾンフォロワーの?)バンドが Wetton を担いだライブ映像から。演奏上手いです。無論 Fripp がいないのでクリムゾンではありませんが、Wetton の歌唱の、そして彼自身が歌好きなことが素直に出ている演奏ではないかと思います。

Fallen Angel / District 97 with John Wetton (2013)

続く A3 は、今度はドラムの Bill Bruford が大活躍。Wetton のイモーショナルな歌と相まって、無二の世界を作っているのではないかと、今だに思います。

One More Red Nightmare / someone's drum cover

こちらもクリムゾンの適当な音がないので、知らない人がドラムの演奏カバーをしているのですが、かなり Bruford の特徴を掴んでいるので紹介します。後ろはもちろんクリムゾンの音です。

こんなすごいアルバムを製作した直後、Fripp はバンドを解散してしまいます。そしてこのクリムゾンのラインナップが戻ることはなく、別メンバーでクリムゾンが再開されるには1980年代の到来まで待たされたのでした。


John Wetton について書ききれなかったので、後編をそのうち書きたいと思います。

(たかはしかつみ)




Copyright (c) circustown.net