2016.12.21
This Is Where I Live This Is Where I Live
William Bell

This Is Where I Live (2016)

 2016年もあと数日で過ぎようとしています。ところで、皆さんの音楽生活はいかがでしたか?新しい音楽や琴線に触れる歌との出会いを持たれたでしょうか。そういう私ですが、歳を重ねるごとに音楽に対する感受性、感覚が鈍くなり、また新しい音楽を受け入れる容量が減り、右往左往している私の音楽生活の一年でした。
 そのような私の音楽生活の中で、YouTube 他のネットを通じてアメリカの NPR(公共ラジオ放送)の Tiny Desk Concerts という15分程度のライブの映像をよく見ました。
 この Music Book でも取り上げた Lake Street DiveSister Sparrow & The Dirty Birds を初めとするバンドやミュージシャンの音楽との出会いは、この Tiny Desk Concerts の映像を見なかったら、なかったことかもしれません。Peter Frampton や Graham Nash 他の懐かしいミュージシャンとの再会も得ました。
 その中でも、特に印象深かったのは、男性 R&B 歌手の William Bell でした。William Bell と聞いても私は名前を記憶している程度でした。彼の歌唱は、77歳(!)だから醸し出せる、渋み、苦味がいい按配の味のある歌唱は甘いものばかりを口にしていたものには得がたいものでした。
 詳しいソウル・ミュージック、R&Bファンにはあの歌手とピーンと来る方も多いでしょう。バイオによると、1939年にメンフィスに生まれ、1961年に Stax Records から「You Don't Miss Your Water」でデビュー、「Everybody Loves A Winner」ほかのヒットを放ち、また「Born Under A Bad Sign」でも知られているということです。
 前作から10年ぶりになるこのアルバム「This Is Where I Live」は、デビュー当時の古巣の Stax Records からリリースされました。プロデューサーには、女性 SSW の Shawn Colvin やカントリー歌手の Johnny Cash の娘で歌手の Rosanne Cash 他のプロデューサーで知られる John Leventhal が担当しているのに意外なものを感じました。
 中でも、アルバムのタイトル曲「This Is Where I Live」がいいんですよ。

I Was Born In Memphis/In A Different World/Now That Time Has Come And Gone/
I Was Just A Little Boy/When I heard Sam Cooke Singing/A Change Is Gonna Come
の出だしから、歌詞の内容は、彼の自伝的なといったら大袈裟でしょうが、16のとき、NYへ出て、大きなバンドで歌い、ホテルの部屋で曲を書いていたとか、しかし、
This Is Where I Live/This Is Where I Live/This Is Where I Give/
All Of My Love, All My Time, All My Money, Every Dime/This Is Where I Live
と私の生きる所はここですと歌われます。情感たっぷりに望郷感といったらおかしいかもしれませんが、自分のいるところはここだというメッセージ。彼の人生を垣間見るようような歌唱に浸りました。


今日の1曲


(伊東 潔)




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