2016.10.20 - Songwriter
If We Try If We Try
Rod Temperton [Songwriter]

(1980)

(2016年10月16日SSB、Rod Temperton 追悼で、The Heatwave "All You Do is Dial" がかかったので、)

Songwriterシリーズ、今回は Rod Temperton を取り上げます。

Rod Temperton は1949年イギリス生まれ。2016年66才で亡くなりました。本国イギリスでキーボード・プレーヤーとして活動を始め、1975に結成されたバンド、Heatwave に参加します。Rod Temperton は Heatwave の大部分の楽曲の作詞作曲を担当します。1976年にリリースしたシングル "Boogie Nights" が UK Singles Chart 2位、US Billboard Hot 100 でも5位になります。1977年にリリースしたバラード、"Always and Forever" もUK Singles Chart 9位と高記録。レコード会社はイギリスでは GTO Records、アメリカでは Epic Records からのリリースでした。

Michael Jackson が Motown Records から Epic Records へ移籍。その移籍後の第一弾アルバムのプロデュースを担当したのが、Quincy Jones でした。Quincy Jones は Michael Jackson の事実上の再デビュー・アルバム『Off the Wall』(1979) の楽曲制作に Rod Temperton を抜擢します。Rod Temperton は3曲を提供しましたが、"Rock with You" と "Off the Wall" はシングルリリースされ、大ヒットとなります。
以降、Rod Temperton は Heatwave への楽曲制作も続けながら、特に Quincy Jones が手掛けたミュージシャンへ楽曲提供していくようになります。

例によって一部ですが、Rod Temperton が書いた作品を聴いてみたいと思います。


Boogie Nights (Rod Temperton) / Heatwave (1976)

1976年リリース、Heatwave として3枚目のシングル。日本でもラジオでよくオンエアされてました。久し振りに聴いて冒頭のハープ、ジャズ風に始まるのはまったく忘れていました。
プロデュースを担当した Barry Green という人は、シンガー出身のソングライター、Barry Blue のことで、Lynsey de Paul の "Sugar Me" の共作者です。


All You Do is Dial (Rod Temperton) / The Heatwave (1976)

本国イギリスでは "Boogie Nights" のB面としてリリース。ディスコ調以外でもこういったミディアム調もとてもいい感じ。こういった様々な楽曲が書けるところを Quincy Jones が評価したのではないかと思います。


Rock With You (Rod Temperton) / Michael Jackson (1979)

1979年の Michael Jackson のアルバム『Off The Wall』はよくできたアルバムだと思っています。Quincy Jones は Motown 時代のスタッフを一新して、作家陣に Rod Temperton、David Foster など若手を抜擢。アレンジメントに関しても、リズムセクションのアレンジは基本的に書いたその作家陣に任せ、それにストリングス・アレンジに Benjamin Wright 、ホーン・アレンジに Seawind の Jerry Hey が各々担当。当時はストリングス・アレンジとホーン・アレンジは同じ人が担当するのが主流でした。バラード曲には Johnny Mandel も起用しています。アレンジ全体の調整役を Quincy Jones がやったんだと思います。そして一番重要なのは、Quincy Jones が今まで以上に、Michael Jackson がやりたい音作り(感覚、直感、センス)をしっかり聞き出し、具現化したことだと思います。


Love X Love (Rod Temperton) / George Benson (1980)

1980年、Quincy Jones がプロデュースを担当したGeorge Bensonのアルバム『Give Me the Night 』から。表題曲 "Give Me the Night" も US R&Bチャート1位と大ヒット。今回は冒頭の George Benson のギターをフィーチャーしたこの曲を。


If We Try (Rod Temperton) / Karen Carpenter (1980)

Midnight (Rod Temperton) / Karen Carpenter (1980)

初出は1989年リリースの Carpenters『Lovelines』ですが、元々は1979年から1980年にかけてニューヨークで行われた Karen Carpenter のソロ・アルバム『Karen Carpenter』で録音されたもの。このソロ・アルバムは録音から13年経った1996年に正式リリースされました。
プロデュースを担当したのは Phil Ramone で、賛否あると思いますが、今までにない Karen Carpenter のコンテンポラリーな魅力を引き出したかったんだと思います。Phil Ramone が作家陣の1人として起用したのが、Rod Temperton。ちょっとクールな感じがしますね。後者の "Midnight" は当時未発表だった曲。


Someone In The Dark (Alan Bergman-Marilyn Bergman-Rod Temperton) / Michael Jackson (1982)

映画『E.T. the Extra-Terrestrial』(1982)の企画として生まれた楽曲を最後に。上り調子の Michael Jackson に対して Rod Temperton の貢献度はとても大きかったと思います。


*写真は Heatwave。一番左上が Rod Temperton。

(富田英伸)




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