2016.10.18
Pillow Talk Pillow Talk
Sylvia Robinson

Pillow Talk (1973)

先日の達郎さんの「サンデー・ソングブック」はヒットした曲のB面特集という、なかなか面白い企画でした。A面の陰に隠れてしまっているB面にもいい曲がたくさんあるんだなあと、改めて気付きを与えてもらいました。僕らはアナログ・レコードの世代ですからB面の立ち位置みたいなものも何となくわかるのですが、ただ世代的にシングルよりもアルバムの世代なんですよね。もちろんシングルも買っていましたけど、60年代や70年代の初頭よりもアーティストがよりアルバム・オリエンテッドな活動に重きを置き始めていた時期でしたし、曲単価の安い(笑)アルバムを小遣い貯めて買うというほうが多かったような気がします。アルバムの方が“所有している”という確かな手ごたえもありましたしね。

話が横道にそれてしまいましたけど、番組ではEPOの83年のシングル・ヒット「う、ふ、ふ、ふ、」のB面「無言のジェラシー」がかかりました。彼女の高校の先輩でもある清水信之がアレンジを手掛けたこの曲は、リズムパターンが73年のSylvia Robinsonの「Pillow Talk」にインスパイアされています。Sylviaのそれを「寝物語」とでも訳すとすれば、「ジェラシー」のEPOはアンサー・ソングというか返歌の趣が漂います。「Pillow Talk」をしっかりとリスペクトしていて曲、詞、アレンジの三位一体の完成度が高くB面にしておくのがもったいない出来です。

Sylvia Robinsonはかつて夫のJoe Robinsonと共にAll Platinumレーベルを立ち上げてThe Momentsを世に送り出し、後にはSugarhill RecordsからThe Sugarhill Gangを育て上げて“ヒップホップの母”とも呼ばれている、プロデューサーとしてもレーベルオーナーとしても成功を収めた才女でもあります。
そんな彼女がAll Platinumからリリースした最大のヒット曲がこの妖艶な「Pillow Talk」です。今の時代からするとこの当時のセクシー・ソウルもどことなく奥ゆかしく感じられなくもないですが、秋の夜長に「無言のジェラシー」と一緒に聴くと心地よい揺らぎに身をゆだねているうちに夜が更けていきます。



今日の1曲


(Kazumasa Wakimoto)




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