2016.07.28 - Songwriter
Are We Losing Touch Are We Losing Touch
Mark James [Songwriter]

(1972)

(2016年7月17日SSB『Chips Moman 追悼』で、Elvis Presley "Suspicious Minds" がかかったので、)

Songwriter シリーズ、今回は主にメンフィス周辺で活躍した Mark James を取り上げます。

Mark James は1940年テキサス、ヒューストン生まれ。本名は Francis Zambon。同じヒューストン生まれの2才年下の B. J. Thomas とは若い頃からの知り合いだったそうです。
1963年に地元のレコードレーベルからシングル Ventural Records から 自作の曲、"River Of Tears" という曲をリリース。シンガーネームは Mark James で、作詞作曲のクレジットは本名の Francis Zambon が記載されています。 Francis Zambon 名義で Barbara Lynn に "Running Back" という曲を提供。

1960年代中期にはメンフィス、ナッシュビルで活躍していたプロデューサー Chips Moman が主宰していた An American Studio Production に所属したようです。その Chips Moman プロデュースで1968年、シングル "Suspicious Minds" をリリース。作詞作曲のクレジットはまだ本名の Francis Zambon のままとなっています。録音もメンフィスの American Sound Studio だと思われます。

翌年1969年、Elvis Presley のアルバム『From Elvis in Memphis』が制作されます。制作を担ったのは先の Chips Moman。録音は American Sound Studio で行われました。この流れを引き継いで Chips Moman は Mark James の楽曲、"Suspicious Minds" を抜擢し、Elvis Presley に推薦。同年シングル・リリースとなり、その年のプラチナレコードに輝きます。

その後、Mark James はソングライターとして以下のミュージシャンに楽曲提供していくことになります。The Box Tops、Merrilee Rush 、B.J. Thomas、 Petula Clark(アルバム『Memphis』)、Brenda Lee、Helen Reddy、Mac Davis、Bob Crewe 等々。An American Studio Production 所属のソングライター、Gren Spreen、Wayne Carson、 Johnny Christopher などとの共作も含まれています。

特に盟友、B. J. Thomas には多くの楽曲を提供しました。以下に挙げる曲以外に "The Eyes of a New York Woman"、"I've Been Down This Road Before"、"Mr. Mailman"、"It's Only Love" などがあります。

1972年には Wayne Carson、Johnny Christopher との共作となる "Always on My Mind" を Elvis Presley が取り上げヒットとなります。この曲は Wayne Carson が主体で作られ、Johnny Christopher と Mark James はサポートに回り、 Gwen McCrae という黒人女性シンガーが最初に歌った曲とのこと。Elvis Presley が歌ったバージョンはメンフィス録音ではありませんでしたが、1982年に Chips Moman プロデュースで Willie Nelson が歌い、プラチナレコードになります。

1973年には自身のソロアルバム『Mark James』を Bell Records からリリース。Electric Lady Studios での制作です。

例によって、一部ですが、Mark James が作ってきた曲を聴いてみたいと思います。


I Can't Let You Go (Francis Zambon aka Mark James) / Mark James (1965)

1965年、Liberty Records から、シンガーネーム "Mark James" でリリースした自作曲。落ち着いた、いい曲です。アレンジはその後に共作もすることになる Glen Spreen。Electric Lady Studios 中心で活躍していたストリングス・アレンジャーの名手です。プロデュースはその後、Scepter Records で活躍することになる Steve Tyrell が担当。作詞作曲クレジットは本名の Francis Zambon となっています。


Suspicious Minds (Francis Zambon aka Mark James) / Mark James (1968)

1968年、Scepter Records からリリース。Mark James 自身が歌った "Suspicious Minds" のオリジナルです。翌年リリースされた Elvis Presley バージョンと聴き比べを。後に、B.J. Thomas など多くのカバーが生まれました。


Hooked on a Feeling (Mark James) / B. J. Thomas (1968)

"Suspicious Minds" と同じ年1968年に B. J. Thomas に提供した名曲。An American Studio Production でプロデュースは Chips Moman。冒頭のエレクトリック・シタールの音色が印象的です。Billboard Hot 100 の5位のヒットとなります。


Blue Horizon (Spooner Oldham-Mark James) / Eternity’s Children (1969)

グループには The Box Tops に多く楽曲提供しましたが、ミシシッピー州クリーヴランドで結成された Eternity’s Children に提供したこの曲が気に入っています。Spooner Oldham との共作曲。プロデュースは Chips Moman と ベーシスト、ギターリストの Tommy Cogbill。


It's Worth It All (Mark James) / Donna Theodore (1970)

1970年、Scepter Records からリリース。Donna Theodore という女性歌手については詳細不明。プロデュースはアトランタの Buddy Buie と Steve Tyrell が当たっています。オリジナルは1968年の Merrilee Rush & The Turnabouts


Are We Losing Touch (Mark James) / Nancy Wilson (1973)

1972年 B. J. Thomas の Scepter Records での最後のアルバム『Billy Joe Thomas 』に収録されていた1曲。
大好きな1曲です。翌年、Nancy Wilson がこの曲を取り上げました。 キーボード=Joe Sample、ベース=Wilton Felder、ドラムス=Stix Hooper と The Crusaders によるリズム・セクション。Don Sebesky のストリングス・アレンジも素晴らしいです。


Roller Coaster (Mark James) / Blood, Sweat & Tears (1973)

1973年、 Blood, Sweat And Tears のプロデュースを Steve Tyrell が担当した関係で Mark James の楽曲を取り上げます。同年、Steve Barri、Lambert-Potter チームも Chuck Jackson のアルバム『Through All Times』でこの曲を取り上げ、競作となりました。どちらも甲乙つけがたいグルーヴです。聴き比べを。


Who's Loving You (Mark James) / Dobie Gray (1979)

1970年代後半の作品を最後に。1960年初期からナッシュビル中心に活躍したベテランシンガー、Dobie Gray に1979年に提供したバラード・ナンバーです。

(富田英伸)




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