2016.07.23
Tardes Cariocas/See You in Rio Tardes Cariocas/See You in Rio
Joyce Moreno

Rio (2011)

国立競技場に始まり、エンブレム、リーダーの2度の辞任・・・。何かと問題に事欠かない東京オリンピックですが、間もなく始まるリオデジャネイロ・オリンピックもブラジルの不況や治安、ここにきてロシアのドーピング問題とネガティブな話題ばかりが先行しています。
肝心のアスリートたちのことが置いてけぼりにされて周辺ばかりが騒がしいですが、あと2週間と迫った平和の祭典。4年に1度訪れるスポーツの感動には純粋に浸りたいと思うのですが・・・。

さて、そのリオ、Rio de Janeiro。“1月の川”という意味だそうです。ネイティブには“ヒオ・ヂ・ジャネイロ”と発音するのだそう。初めてこの地に立ったポルトガル人たちが湾と川とを間違えて名付けたのだそうですが、何ともそそられる地名ですよね。
そんなリオの風に吹かれてみたいと思いませんか?

“2010年の夏、リオ市の招請を受けて、私はイパネマ海岸でソロ・ライブを開いた。ヴィオラォンの弾き語り。ビーチから戻ってくる人たちのための、月夜の宴のようなライブだった。ビキニの上にワンピースを着て、ビーチサンダルを履き、手の届くところにココナツ・ジュースを置いて、私は歌った。”



ほら、リオの海岸に行ってみたくなったでしょ?
歌っているのはリオの歌姫、Joyce Moreno。同世代のElis ReginaやNara Leãoは早逝してしまいました。Joyceは途中子育てなどで休業していたこともありますが、今も精力的に歌い続けています。

リオは世界三大美港の一つと言われており、コパカパーナの海岸やリオのシンボルとして知られるキリスト像が立つコルコバードの丘を始めとした景観が、「山と海との間のカリオカの景観群」として世界遺産に登録されている美しい街。

“砂浜には人の海、ちょっとしたスポットの数々に観光客。私と同じくこの海岸で育った友人たちの姿。たくさんの人々に楽しんでもらえることの楽しさ・・・。そうしたすべてのおかげで、このライブは、私がこれまでやってきた中で最も幸せなものの一つになった。あれだけの人たちが一緒にリオのオフィシャル・ソング「素晴らしき街」(Cidade Maravihosa)を歌ってくれる感動は他では味わえない。”

この美しい街はまた独自の文化を醸成してきました。リオのカーニヴァルはつとに有名ですが、サンバのリズムとダンスはこの街が生み出した華やかな祭典です。そしてショーロやボサノヴァが生まれたのもリオでした。

Joyceは十代の頃にデビューを果たし、様々なグループで歌ってきましたが、80年にヒットしたアルバム『Feminina』以降コンスタントにアルバムを発表し、日本でも毎年のように公演を行うなどブラジル音楽界の第一線で活躍を続けています。

そんな彼女が故郷リオに思いを馳せたその名も『Rio』というアルバムを発表したのは2011年。彼女のギターと歌のみで構成されるアルバムは素朴で、それだけにリオへの率直な愛情が聴き手にストレートに伝わってきます。前年にイパネマで開いたライブが契機になって制作されたアルバム。次のゲームが始まるまでの間オリンピックの熱狂の余韻をクールダウンさせるのにはもってこいのアルバムかもしれません。

“このCD『Rio』は、その時に生まれた。ドイス・イルマォンスの丘の向こうに沈んでいこうとする太陽に、人々が拍手を贈っていた。何年も前、私たちがティーネイジャーだった頃、そうしていたように。たんなる日没に拍手を贈る人たちなのだ。とても善い人たちに違いない。”

さて、今大会。日本勢は男子短距離界がついに10秒の壁を打ちやぶるのか、競泳女子の新星池江選手は7種目どこまで頑張れるか、オリンピック4連覇がかかる女子レスリングの吉田選手は今大会も盤石なのか?! 新種目の7人制ラグビーでは世界にどこまで肉薄できるのか、お家芸体操ニッポンは中国に勝てるか、サッカーは女子の分まで頑張ってメダルに手が届くのか・・・。普段は見ないボートやフェンシングや馬術とワクワク楽しみは尽きません。そして日本のみならず世界からどんなスターが出てくるのか・・・。

陽気なカリオカと美しい海と山が世界中のアスリートを迎え入れ、大会が成功裏に始まりそして終わることを祈りつつ、今はリオのサンバを聴きながら待つことにしましょう。

“あなたがリオに来ることがあったら ぜひお会いしましょう 生ビールの一杯か二杯をご一緒に”


今日の1曲




(Kazumasa Wakimoto)




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