2016.07.22 - Songwriter
Little Things Like That Little Things Like That
Russ Titelman [Songwriter]

(1965)

(2016年7月3日SSB『WARNER POP MUSIC NUGGETS 2回目』特集で、The Hollies "Yes I Will (I'll be True to You)" がかかったので、それを記念して)

Songwriter シリーズ、今回は Russ Titelman を取り上げます。
Russ Titelman は1970年代以降の Warner/Reprise Records のプロデューサーとしての仕事が広く知られていますが、今回は1960年代、ソングライターとしての Russ Titelman にスポットを当てたいと思います。

Russ Titelman は1944年ロサンジェルス生まれ。父親はロシアからの移民だったそうです。Russ Titelman の2歳年上の姉、Susan Titelman は Phil Spector のグループ The Teddy Bears のメンバー Marshall Leib のガールフレンドだったそうです。その姉を通じて Phil Spector との交流が始まったとのこと。その Phil Spector とのセッションでは Paris Sisters 辺りが最初期で、バックボーカルやギターを担当。その後も Gold Star Studio でいくつかのセッションに参加したそうです。この Susan Titelman という人は後に写真家となり、Ry Cooder の奥さんとなります。

Russ Titelman は "Just A Little Touch Of Your Love" という曲を書き、 Lester Sill の紹介の元、Don Kirshner の Screen Gems/Columbia に売り込みをかけます。Don Kirshner はその曲を気に入り、1964年、Saundra Franklin という歌手が歌い、Russ Titelman はソングライターとして出発することになります。その曲を聴いた Barry Mann は Russ Titelman のことを気に入り、 Mann-Weil のチームとのコラボレーションを申し入れます。Dimension Records で The Cinderellas に楽曲提供。また、Carole King-Gerry Goffin チームからも声がかかり、ここでもコラボレーションを開始。同じく Dimension Records で The Cookies を手掛けます。

1970年に Warner Bros Records に入社。プロデューサーとして1971年の Little Feat のデビューアルバム『Little Feat』を皮切りに、Randy Newman、James Taylor、Rickie Lee Jones、Ry Cooder など主に Lenny Waronker との共同で、多くの大物ミュージシャンのアルバム制作に関わっていくことになります。


Just A Little Touch Of Your Love (Russ Titelman) / Saundra Franklin (1964)

Russ Titelman 単独クレジット作品。上記に書いたように Russ Titelman がソングライターとして出発した作品。プロデュースも Russ Titelman が担当。録音は Gold Star Studio。


Little Things Like That (Larry Kolber-Russ Titelman) / Suzy Wallis (1965)

Russ Titelman が書いた曲で一番好きな曲。Larry Kolber が詩を書いています。アレンジを担当したのは David Gates 。いいメロディです。David Gates がこの曲に目をつけたのも頷けます。


Please Don't Wake Me (Cynthia Weil-Russ Titelman) / The Cinderellas (1964)

Mann-Weil チームとのコラボを2曲程。
1964年、Dimension Records からリリース。Cynthia Weil との共作曲。プロデュースは Barry Mann と Russ Titelman。聴いての通り Phil Spector を意識した音作りとなっています。


I Wanna Make You Happy (Cynthia Weil-Russ Titelman) / Margaret Mandolph (1965)

Margaret Mandolph という当時13才の女の子が歌った曲。これもいいメロディしています。アレンジとプロデュースはまたまた David Gates 。
同年、Jackie & Gayle というガール・デュオもこの曲を取り上げています。


What Am I Gonna Do With You? (Gerry Goffin-Russ Titelman) / Skeeter Davis (1964)

ここからは Goffin-King とのコラボレーションをいくつか。
Gerry Goffin との共作曲。しっとりとした、いいメロディです。プロデュースは Chet Atkins 。同年1964年、ガールグループ The Chiffons もこの曲を取り上げています。こちらがオリジナルかもしれません。1967年には The Inspirations も Shelby Singleton のプロダクションでカバーしています。


She Don't Deserve You (Gerry Goffin-Russ Titelman) / The Honey Bees (1964)

The Honey Bees なるガールグループは The Cookies と同じメンバーと言われているグループ。King-Goffin 作 "One Wonderful Night" のB面で、ボーカル・プロデュースに Gerry Goffin、アレンジに Carole King のクレジットがあります。King-Goffin との最初期のコラボ作品だと思われます。 


I Never Dreamed (Gerry Goffin-Russ Titelman) / The Cookies (1964)

Gerry Goffin-Russ Titelman で一番有名な曲だと思います。1964年、
Dimension Records からリリースした The Cookies に提供した多くの人に愛された曲。プロデュースは Gerry Goffin-Russ Titelman でアレンジは上記の曲同様、Carole King です。


Guess I'm Dumb (Stereo Remix) (Brian Wilson-Russ Titelman) / Glen Campbell (1965)

The Beach Boys の Brian Wilson との共作曲。たぶん、当時、Phil Spector にシンパシーを感じていた Brian Wilson から Russ Titelman に声をかけたのでしょう。Brian Wilson 主導で作られた作品。同年1965年に The Beach Boys の "Sherry She Needs Me" を共作しています。
Russ Titelman は Brian Wilson の1988年の事実上の復帰作品となるアルバム『Brian Wilson』のアルバム・プロデューサーの1人として、Brian Wilson を支えることになります。

*写真は Russ Titelman(左)と Brian Wilson(右)


(富田英伸)




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