2016.05.30 - Songwriter
For All We Know For All We Know
Fred Karlin [Songwriter]

(1970)

Songwriter シリーズ、今回はアメリカ映画やテレビで主に劇判の作曲家として活躍した Fred Karlin を取り上げます。

Fred Karlin はポピュラー音楽では1971年 The Carpenters のヒット曲、"For All We Know"(邦題「ふたりの誓い」)の作曲で知られる人です。SSB 2012.02.12 [オリジナル・ヴァージョン特集(ヒットソング、本当はこっちがオリジナル)] でオリジナルにあたる、Larry Meredith の歌唱のものがかかりました。

For All We Know (Fred Karlin-Robb Wilson-Arthur James) / Larry Meredith (1970)

ご覧の通り、元々は映画の主題歌です。映画の題名も邦題『ふたりの誓い』(原題『LOVERS AND OTHER STRANGERS』-1971)。
作詞のクレジットは Robb Wilson-Arthur James となっていますが、グループ Bread に在籍していた Robb Royer と Jimmy Griffin だそうです。
この曲は翌年アカデミー主題歌賞を受賞。1971年、Carpenters が取り上げ、US Billboard Hot 100 最高位3位となります。Carpenters のバージョン、やはり素晴らしいですね。聴き比べを。

映画の方は残念ながら未見。でも映像に登場する花嫁さん、どこかで見たことありませんか?ボニー・ベデリア (Bonnie Bedelia) という女優さんで後に1988年大ヒット映画『ダイ・ハード』(DIE HARD) で主人公、マクレーン刑事 (Bruce Willis) の奥さんを演じた女性です。


Fred Karlin は1936年シカゴ生まれ、2004年に亡くなっています。ニューヨークでジャズのミュージシャン、ホールのアレンジャーとして音楽活動を開始したそうです。1960年代後半から映画音楽を担当。テレビドラマの音楽も多く担当しました。

Fred Karlin が書いた曲で広く知られている曲がもう1曲あります。The Sandpipers が歌った"Come Saturday Morning"。その後、The Sandpipers 以外にも多くの人が取り上げました。これも元々は映画の主題歌。これも残念ながら未見の映画。題名『くちづけ』(THE STERINE CUCKOO-1968)。主演は若き頃のライザ・ミネリ (Liza Minnelli)。監督は後述するアラン・J・パクラ (Alan J. Pakula) です。
タイトルバックに流れる"Come Saturday Morning"はいつも聞き慣れているバージョンとは異なり、かなりゆっくりした曲調です。作詞はジャズ・ミュージシャンの Andre Previn の奥さん、Dory Previn。
とってもいいタイトルバックですね。

Come Saturday Morning (Fred Karlin-Dory Previn) / The Sandpipers (1968)


Fred Karlin が関わった映画で "映画" として僕にとって忘れられない映画が2つあります。その2作品について書いてみたいと思います。2つの作品ともDVD化は当分望めない状況ですが、遠い記憶を辿って。


『下り階段をのぼれ』(UP THE DOWN STAIRCASE-1967)

この映画は10代の頃、淀川さんの日曜洋画劇場で観た映画。
いわゆる学園ものです。冒頭、下り専用の狭い階段を、新米の若い女性の先生が規則を破って登っていく姿。すぐにベテラン先生に注意されてしまいます。教師として挫折、苦難、悩みを抱えながらも、清々しく前向きに生きていく姿がとても素敵でした。

このタイトル、『下り階段をのぼれ』には、"これまでの慣習とか規則にとらわれることなく、まっすぐ上を見て、自分を信じて生きていく"、という意味が込めらていました。
アメリカ南部の黒人裁判問題を描いた『アラバマ物語 (TO KILL A MOCKINGBIRD-1962)』と同じコンビ、アラン・J・パクラ (Alan J. Pakula) 制作、ロバート・マリガン (Robert Mulligan) 監督による作品です。


『ジェーン・ピットマン/ある黒人の生涯』(THE AUTOBIOGRAPHY OF MISS JANE PITMAN-1974TVM)

これは劇場用映画ではなくテレビ用劇映画で、やはり10代、NHK総合テレビで観た作品。
時代は1960年代末、公民権運動の時代。物語は110歳になる黒人女性、ジェーン・ピットマンが記者のインタビューに応え、これまでの人生を回想する形式で進んでいきます。幼い頃経験した南北戦争から、奴隷解放、様々な人種差別....。その中で、幸せをつかみとって、力強く生き抜く姿が描かれていきます。
そのインタビューと重なって、「白人専用の水飲み場」をめぐる、白人と黒人とのトラブルが発生。

そのラストシーン、老いたジェーン・ピットマンが問題の白人専用の水飲み場にゆっくり、ゆっくり、歩いていきます。多くの人に見守られながら。
この最後のシーン。ほとんど涙で見えていなかったです。

主役を演じたシシリー・タイソン (Cicely Tyson)(マイルス・デイヴィス (Miles Davis) の元奥さんだった女優)は同様の公民権運動を扱った最近の映画『ヘルプ 心がつなぐストーリー』(The Help-2011) にも出演していました。この作品へのオマージュも含まれていると思います。


今回記載にあたって生前、Fred Karlin さんとアルバムCD制作を通じて親交があった高瀬さんのブログを参考にさせていただきました。

http://goodtimegraphics.seesaa.net/archives/20120212-1.html

(富田英伸)




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