2016.04.23
Call Off Your Dogs Call Off Your Dogs
Lake Street Dive

Side Pony (2016)

 YouTube の映像を見ていたら、NPR Music(アメリカ公共ラジオ)の Tiny Desk Concert という、まさに小さな部屋で机を前にしていろいろなミュージシャンやバンドが主にアコースティックな楽器を弾きながら、歌い演奏するライブの映像に出会いました。それらの映像の中で、私はある4人組のバンドの歌と演奏に聴き入ってしまいました
 そのバンドは、耳に響くパワーフルなヴォーカルを聞かせる女性、アップライト・ベース奏者の女性、エレキ・ギターをリズミカルに弾く眼鏡の男性、そしてパーカッションを叩くおひげの男性からなる4人組です。
 私は、その Tiny Desk Concert の彼らの映像の中で初めに歌った「I Don't Care About You」という歌から彼らの音楽に引きこまれました。
 その歌は、ジャズのスタンダード・ナンバーのようなサウンドに加えて、ふっとほんの一瞬ですが、女性ジャズ歌手の Carmen Mcrae のような力強い歌唱を聴かせる女性ヴォーカルにぐいぐいと引き込まれました。
 後に、今回紹介する曲も入っているアルバムを聴き、この歌が彼らのメンバーのひとりのオリジナルと知りました。彼らの音楽の土台の一部がジャズの要素があることがうかがえました。そして、私は他の彼らの YouTube の映像を見聞きし、一気に彼らの歌とサウンドのファンになりました。
 そのバンドが Lake Street Dive です。Lake Street Dive は、2004年にボストンのニューイングランドの音楽学校(ジャズ専攻)出身の4人で結成されたバンドです。メンバーは、リード・ヴォーカルの Rachael Price、アップライト・ベースの Bridget Kearney、エレキ・ギター、トランペット他の Mike Olson、ドラムスの Michael Calabrese からなる4人組です。今までにインディーズで数枚のアルバムをリリースし、今年2月(日本では4月)にメジャーの Nonesuch Records から『Side Pony』というアルバムをリリースしました。
 私のアルバムの中でお気に入りは「Call Off Your Dogs」です。
 「Hello/I'm not gonna bite you〜」の歌いだしから、Rachael Priceの伸びのあるちょっとファンキーな歌唱に加えて、フィリー・ソウル他の要素を感じるサウンドが耳に心地よいのです。コーラス部分の「Call off your dogs / Give someone a call〜」では思わず口ずさみたくなります。60年代のポップスのような3分間ミュージックの雰囲気も感じさせます。
 彼らの音楽は、前述したジャズを土台にして、60年代のポップス他の要素を彼ら流に咀嚼、消化したサウンドであり、そして、豊かなアメリカのポピュラー音楽の伝統といえば大袈裟ですが、その継承をアルバムを通して受け取れます。
 なお、日本盤には、彼らが YouTube で注目された Jackson 5 の「I Want You Back」と Hall & Oates の「Rich Girl」のカバーがボーナス・トラックとして、収録されて、彼らのコーラスの魅力を感じることができます。それは Lambert, Hendricks & Ross、The Manhattan Transfer などのコーラス・グループの継承にも感じられます。


今日の1曲

(伊東 潔)




Copyright (c) circustown.net