2015.12.23
The Christmas Song The Christmas Song
Laura Nyro

Live From Mountain Stage (2000)

温暖化の影響なのか今年は冬の訪れがいつになくゆっくりと感じられます。12月も中旬を過ぎたのにコートを羽織ったのはまだ数回。それでも昼間の時間は日に日に短くなり、宇宙の営々としたプログラムは進行していきます。
秋から冬に入れ替わる瞬間が好きです。まだ夜が明けるかどうかという時間に窓を開けると冷えた空気がすっと入りこんできて、その凛とした透明な寒さの中に身を置くのは悪くないなと思います。空気が入れ替わり寒さを初めて感じる頃。あれ?これって清少納言じゃないか。すごい刷り込み。

この季節になると彼女の歌が聴きたくなります。Laura Nyro。
季節柄、せっかくなので彼女のクリスマス・ソングをご紹介しましょう。一度2000年のクリスマス・ソング特集の時に富田さんが紹介してくれた彼女のライブ・アルバムに収められている曲です。
このアルバムは1990年に録音されたライブ・アルバムですが、リリースされたのは彼女の没後しばらく経った2000年のことでした。ウエスト・バージニアで様々なアーティストのライブの模様をラジオで30年に渡ってオンエアしている”Mountain Stage”という老舗のライブ番組があります。このライブ盤はその番組に彼女が出演した際のもので、90年11月11日に行われたライブ録音です。

ところで僕はライブを観に行った時のチケットの半券をそのアーティストのCDのインナーに挟んでおくということをよくやります。忘れたころにそのCDを取り出して聴いていると思いがけず中から半券が出てきて、しばしライブの思い出に浸ることになります。

このアルバムからはただ一度だけ見た彼女のライブの半券が出てきました。今頃の季節のような寒い時期だったということをよく覚えているのですが、日付を見ると1994年2月19日となっています。もう20年以上も前のことだったのか・・・。日の当たらない会場の入り口で寒さに震えながら開場を待っていたことを覚えています。彼女は病に倒れ97年の4月に帰らぬ人となっているので、本当にぎりぎりのタイミングで彼女の歌声を生で聴くことのできる幸運に恵まれたのだと思います。この来日公演の様子は2003年にライブ盤として出ているのでCDで聴くことができます。

Laura Nyroは冬の寒さによく合うと思います。思わず背筋が伸びるような、きんとした寒さと彼女の纏っている空気感。レコードから感じられるそんな彼女の雰囲気はライブでも変わらないものでした。
ただ、今も何枚かライブ盤として残っている40代で録音された彼女のライブを聴くと、センシティブな雰囲気に留まらず長らく家庭生活を送ってきた女性らしい芳醇な生活感も感じられます。まもなくクリスマスを迎える秋の日のライブ。リラックスした雰囲気で演奏されたクリスマス・ソング。それは彼女の何気ない穏やかなクリスマスの一日の幸せを切り取ったかのようなライブでした。



今日の1曲


(Kazumasa Wakimoto)




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