2015.12.18 - Songwriter
Ain't No Woman Ain't No Woman
Dennis Lambert

(1972)

【Lambert-Potter ブラック・ミュージック編】

Lambert-Potter の最終回です。

1972年、Dunhill Records に Motown Records で素晴らしい数々の実績を残してきた黒人名門ボーカル・グループ、Four Tops の移籍話が舞い込みます。これまでほとんど黒人ボーカル・グループを手掛けてきていなかった Dunhill Records でしたが、A&Rプロデューサー Steve Barri ら首脳陣は、Four Tops を Dunhill Records に受け入れる決断をし、Lambert-Potter チームに全面的にサウンド・プロデュースを任せることになります。これは Dunhill Records にとって冒険であり、Lambert-Potter にとっても大きな転機になったと思います。

同年1972年に Steve Barri と Lambert-Potter によってロサンジェルス、ABC Recording Studios で移籍後初アルバム『Keeper of the Castle』のレコーディングが行われます。翌年1973年、このアルバムからシングルカットした "Ain't No Woman (Like the One I've Got)" がミリオンセラーを記録、 Four Tops の復活に大きく貢献します。この実績を以って、Lambert-Potter は黒人ミュージシャンからも厚い信頼を得て、Dunhill Records 以外にも多くの楽曲を提供、プロデュースを担当することになります。

Dennis Lambert はニューヨーク時代に多くのスタジオワークで黒人ミュージシャンと交流し、ブラック・ミュージックのプロデュースのノウハウも得ていましたし、また本人自身もいつかブラック・ミュージックに戻りたいと思っていたのではないかと思います。

ここでは同名曲、そして1970年代から1980年代にかけて、Lambert-Potter が手掛けたブラック・ミュージックの中から僕の好きな曲をいくつか聴いていきたいと思います。

Ain't No Woman (Like the One I've Got) (Lambert-Potter) / Four Tops (1972)

1973年ミリオンセラー。この曲がその後のブラック・ミュージックに与えた影響についてはここを参照。元々は Hamilton, Joe Frank & Reynolds に提供されたナンバーですが、Dennis Lambert のミュージシャンの各々の特長に合わせたアレンジが素晴らしいです。Hamilton, Joe Frank & Reynolds との聴き比べを。


Talk a Little Less (Lambert-Potter) / Chuck Jackson (1973)

Doo-Wop グループ、The Del-Vikings 出身の Chuck Jackson 。これまでScepter Records や Wand Records で数々のヒット曲を出してきた Chuck Jackson ですが、1960年代後半は Motown Records に在籍しており、Four Tops 同様、Motown Records から ABC/Dunhii Record に移籍した人でした。

It Only Takes a Minute (Lambert-Potter) / Tavares (1975)

僕が初めて "Lambert-Potter" を意識した作品はこれでした。ディスコ好きの友達から貸してもらったシングル盤の中の1枚から発見。当時カッコいい〜!と思いましたね。アレンジはこの時代、 Lambert-Potter の信頼厚かった Michael Omartian 。

All I Can Give You is Love (Lambert-Potter) / Cuba Gooding (1978)

The Main Ingredient のリードシンガー、Cuba Gooding のソロアルバム『The 1st Cuba Gooding Album』は全面的に Lambert-Potter が手掛けました。折り目正しい気持ちいい曲です。俳優の Cuba Gooding, Jr(ジュニア)のお父さんですね。

It Couldn't Hurt (Lambert-Potter) / Manhattans (1980)

1980年、Manhattans に書いた晴れやかなダンスナンバー。その後のアレンジ手法等、日本の楽曲達にも影響を与えたと言われています。アレンジは Benjamin Wright が担当。


かつてニューヨークの音楽スタジオで黒人音楽に魅せられた10代のモジャモジャ頭の青年は、その後、数々の素晴らしい"ソウル・ミュージック"を送り出し、多くの黒人ミュージシャンの信頼を勝ち取りました。
最後に Dennis Lambert の自身ソロ作品を聴きたいと思います。

Ashes To Ashes (Lambert-Potter) / Dennis Lambert (1972)

(富田英伸)

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