2015.08.09
Magic Mona Magic Mona
Phyllis Hyman

The Fish That Saved Pittsburgh (OST) (1979)

今年の夏のこの異常な暑さ。日本の夏はいつからこんな熱帯の砂漠のような気候になったんでしょうかね。くれぐれも熱中症には気を付けましょう。

せめて少しでも涼しげな音楽を聴いて一服の清涼剤にしたいなと思い、涼しい音楽って何だろう、涼しい、クール・・・。ひとしきり考えました。クールねえ、クールと言えば僕にとって最もクールな女性シンガーはPhyllis Hymanだなと思いが辿り着きました。

Phyllisのクールはとにかくカッコいいのクールですね。その佇まいのカッコよさが文字通り涼しげ。艶のある高域はもちろんだけど、低域で張って歌う時の腕っ節の強さと言うか、その伸びやかでしかもこともなげに歌ってしまうところがもう、「Phyllis姐さんどこまでもついて行きまっせ」って感じ。

彼女はフィラデルフィアの出身ですが、キャリア初頭の70年代はBuddahからアルバムを出したのちAristaを経て、地元Philadelphia International Recordsがもうほとんどヒットを出さなくなった80年代にPIRにアルバム4枚を残しています。ここで御大Thom Bellと仕事をしているのですが、それよりも前の1979年にThom Bellがサウンド・トラックを手掛けた映画”The Fish That Saved Pittsburgh”(日本未公開)に参加しています。

映画はNBAの選手が出演したプロのバスケットチームを描いたコメディ映画のようで、ストーリーとの関連性はよくわかないのですが、サントラは全面的にThom Bellが手掛けています。SpinnersやFour Topsなども参加しており、Thom Bellプロダクションによる佳曲が揃っていて、サントラですがフィリーソウルの一枚として十分すぎるほど楽しめます。

Phyllisはここで1曲のみ、この「Magic Mona」を歌っています。何かが起きる前の胸騒ぎのようなThom Bellのオーケストレーションに絡みついていく、彼女のセンシュアルな歌声。ゾクゾクとします。

95年に44歳で夭逝してしまったPhyllis Hyman。亡くなったというニュースに接した時にはちょっとびっくりしたことをよく覚えています。今も元気だったなら、どんなにクールで妖艶な歌声を聴かせてくれていたのだろうと思うと、やっぱりちょっと早すぎたなと思ってしまいます。

暑くて寝苦しい夜、彼女の歌に寄り添ってもらっていると次第に暑さも忘れて、そうしているうちに夏の夜が更けていきます。


今日の1曲


(kazumasa Wakimoto)




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